表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

169/231

第169話 反撃の形――黒星会頭領との直接戦闘

村の中心。

焚き火の光が、

二人を照らしていた。


カイル

──動かず。


アズリエ

──揺らがず。


風が止まり、

世界が息を殺す。


◆開幕


アズリエが一歩踏み込んだ。


見えなかった。

最初の一歩は。

ただ距離が消えていた。


セリアが息を呑む。


「っ……近い!」


ラウルが歯噛みする。


「なんだこの速度……!」


リアが解析する。


「術式を身体に埋め込んでる……

『魔力制御の限界値』を無視してる……!!」


ミナが叫ぶ。


「カイル!!」


しかし――


カイルは動かない。


アズリエの掌が、

カイルの喉元に触れた。


その瞬間。


重力の塊のような衝撃が走る。

大地が沈み込む。

空気が砕ける。


村の家々が揺れる。


ミナが目を見開く。


(止まってる……!!

完全に……力で押さえ込まれてる……!!)


アズリエが静かに言う。


「終わりの形が見える。」


カイルは、低く答える。


「いいや。」


掌が――離れた。


押し返したのではない。

砕いた。


空気を。

圧力を。

術式を。


アズリエが目を細める。


「……破れた……?」


カイルは一歩進んだ。


「壊したんだよ。」

◆交差する力


次の瞬間、

互いの姿がかき消えた。


見えない速度。

見えない角度。


ただ、音だけが――

世界中に散った。


ドンッ

ズガァッ

ガギィン

ガガガガ!


ラウルが目を凝らしても見えない。


「速すぎだろ……!」


セリアが歯を食いしばる。


「あれ……

人間の戦いじゃない……!」


リアは解析不能で立ちすくむ。


「攻撃……

防御……

反応……

全部同時進行……!!」


村人たちは息もできない。


ミナだけが――

動きを見ていた。


(カイルは……

押している……

押されている……

両方だ……)


◆戦闘描写:肉体 vs 理論


アズリエは、技巧の塊だった。

重力式、反射式、衝撃式、無数の術式を

肉体に直接流し込む。


一撃で骨を砕く拳。

影を断ち切る掌打。

空気ごと潰す蹴り。


それらすべてが、

カイルへ殺到する。


しかし――


カイルは止める。

拳で。

肘で。

肩で。

身体全てで。


アズリエが問う。


「なぜ折れない。」


カイルは答える。


**「力は折れるもんじゃねぇ。


曲がるもんだ。」**


次の瞬間、

カイルの拳が、

アズリエの胸に沈んだ。


空気が震え――

アズリエが吹き飛ぶ。


地面を削り、

土煙を上げ、

距離を広げる。


だが、アズリエはすぐに立った。


微笑みを浮かべる。


「痛みは、認識だ。」


◆戦闘変化:術式解放


アズリエの身体から、

黒い紋様が燃え上がる。


「術式――解放段階。」


空気が崩壊する。

風が震える。

地が割れる。


セリアが驚愕する。


「戦いながら術式を書き換えてる……!」


リアが青ざめる。


「構造理解の速度が……

カイルと同等……!」


ラウルが武器を握り直す。


「やべぇ……

次の一撃で決まる。」


ミナが叫ぶ。


「カイル!!!」


カイルは答えるように、

拳を握った。


「来い。」


アズリエが地を割り、

一直線に突撃。


衝撃が世界を裂く――


◆衝突


拳と拳がぶつかった。


音がない。

ただ世界が歪む。


地面が砕け、

空気が吹き飛び、

炎が揺れ、

風が止む。


双方が後退。


決着は――

つかなかった。


◆精神と精神の侵入


衝突の余韻の中。

アズリエがミナを見た。


「あなたに問う。

世界が壊れる。

その時――

選べるのか。」


ミナは胸を押さえる。


(答えなんて……

まだ……)


アズリエは続けた。


「痛みのない未来を選びたいか。」


ミナは――

はっきり首を振った。


「痛くてもいい。」


村人たちが息を呑む。


アズリエの目が揺れた。


ミナは声を強めた。


**「痛い未来を選べるのが……


自由なんだ!!」**


次の瞬間――


黒星会の戦士たちの動きが狂った。

術式乱壊。

魔力暴走。


リアが叫ぶ。


「不定性反応が跳ね上がってる!!」


セリアが剣を構える。


「いまだ――!!」


カイルが踏み込む。


「壊す。」


頭部破砕。

胸骨粉砕。

背骨断裂。


三体――沈黙。


◆アズリエの反応


沈黙。


アズリエは――

静かに笑った。


「……可能性。

小さくない。」


そして、ひとこと。


「退く。」


黒星会の残存戦士たちが、

影のように退去する。


戦闘は――

終わった。


だが終わりではなかった。


◆最後の言葉


アズリエは、森に消えかけながら言う。


**「また会う。


世界が動き出す前に。」**


その声が、夜風の中に溶ける。


村に、静寂が戻る。


ミナは――

その場に崩れ落ちた。


涙と息と震えを抱えたまま。


カイルは隣に座り、

静かに言った。


「上出来だ。」


──第170話へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ