第147話 静かな干渉――選ばれない力への手
昼下がり。
村の入口に、三組の客が現れた。
武装は控えめ。
態度は丁寧。
だが――目的は同じだった。
◆王国の“保護”
最初に名乗ったのは、王国。
地方官ではなく、
特命監察官。
彼は、村人に向けて穏やかに言った。
「反乱を疑っているわけではありません。
ただ……
最近、ここで“変化”が観測されていまして。」
村人たちは、首を傾げるだけ。
命令も、恫喝もない。
だが、
**“見られている”**という事実が残る。
リアが、小声で言う。
「……保護という名の、
管理準備です。」
◆教会の“導き”
次に現れたのは、教会の神官。
白いローブ、柔らかな笑み。
「信仰を強制するつもりはありません。
ただ……
心の拠り所を、
失わせたくないだけです。」
それは、
優しい言葉で包んだ再介入。
セリアが、低く呟く。
「……優しさで縛る気ね。」
◆帝国の“観測”
最後は、帝国。
使者は一人。
名も名乗らず、
村人にも話しかけない。
ただ、
全体を見ている。
ラウルが舌打ちする。
「一番不気味だな。」
リアは、静かに分析する。
「……帝国は……
“どう壊れるか”ではなく、
“壊れないか”を見ています……」
◆三つの視線、一つの核心
三勢力の視線は、
最終的に――
ミナへ集まる。
直接ではない。
だが、
誰が“中心”かは明白だった。
ミナは、胸が締めつけられる。
「……私……
また……
“守られる側”に……?」
カイルは、一歩前に出た。
「違う。」
三勢力の代表が、同時に彼を見る。
**「彼女は、
誰の管理下にも入らない。」**
◆“保護”への拒否
王国の監察官が、慎重に言う。
「……危険な存在を、
放置するわけには……」
カイルは、即答する。
**「危険かどうかは、
“誰が決める”。」**
教会の神官が、微笑みを崩さず言う。
「導きは、
必要悪でもあります。」
**「導きは、
選ばせない時点で悪だ。」**
帝国の使者が、初めて口を開く。
「……では、
どうするつもりだ?」
カイルは、ミナを見てから答えた。
**「彼女が、
自分で選ぶ。」**
◆ミナの言葉
沈黙。
ミナは、震えながらも一歩出た。
**「……私は……
誰かを従わせたくない……」**
神官が、優しく言う。
「それは、
未熟だからです。」
ミナは、首を振った。
**「違います……
“選ばせない”ことが、
一番怖いって……
知ってるから……」**
その場の空気が、
確実に変わった。
リアが、息を呑む。
「……拒否されない力……
拒否されない“意思”……」
◆三勢力の反応
王国は、引いた。
「……即時介入は……
見送ります……」
教会は、言葉を失った。
帝国の使者は、
小さく頷く。
「……理解した。」
◆残された課題
三勢力は、去っていった。
だが――
完全に引いたわけではない。
セリアが、静かに言う。
「……次は……
もっと直接的に来る。」
ラウルが笑う。
「ああ……
“試す”段階は、
もう終わりだな。」
ミナは、カイルを見る。
「……私……
逃げない……」
カイルは、短く答えた。
「知ってる。」
──第148話へ続く




