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第143話 守られない理由――介入の是非

夜は、静かすぎた。


虫の声が途切れ、

風が止まり、

村の輪郭だけが闇に浮かぶ。


リアが、低く囁く。


「……外周に、三。

動きが、訓練された兵士です。」


セリアが歯を噛みしめる。


「……傭兵というより、

“私兵”。

どこかの組織ね。」


ラウルは肩を落とす。


「村相手に、

ずいぶん丁寧な包囲だな。」


ミナは、胸の奥がざわつくのを感じていた。


(……守られてないのに……

狙われてる……)


カイルは、村の家々を見回した。


灯りは少ない。

起きている者は、ほとんどいない。


◆“介入しない”という選択肢


セリアが、カイルを見る。


「……やる?」


リアは、少し躊躇してから言う。


「今、介入すれば……

“ここが重要な場所だ”と

知らせることになります。」


ラウルが頷く。


「派手にやりゃ、

別の連中も寄ってくる。」


ミナは、唇を噛む。


「……でも……

何もしなかったら……」


カイルは、すぐに答えなかった。


**「守られない理由は、


“触れられない”からだ。」**


全員が、彼を見る。


**「誰かが守ると、


“価値”が生まれる。

価値が生まれると、

必ず奪い合いが始まる。」**


セリアが理解する。


「……だから、

誰も手を出さない……」


リアが続ける。


「……中途半端な力が、

“近づくな”と

警告している……」


ミナは、小さく首を振った。


「……でも……

それって……

選ばれないまま……

壊されるってこと……?」


カイルは、ミナを見た。


「違う。」


静かな声。


**「“選ぶ側”が、


まだ現れていないだけだ。」**


◆影、動く


その時。


村の外れで、

微かな悲鳴。


リアが即座に言う。


「……村人です!」


セリアが剣を抜く。


「接触したわね。」


ラウルが、歯を見せて笑う。


「……もう、

選択肢は一つだろ。」


ミナは、カイルを見上げる。


「……私……

選びたい……」


カイルは、一瞬だけ目を閉じた。


そして――


「最小限で行く。」

◆小規模戦闘――静かに、確実に


音を立てず、

闇の中を進む。


敵は三人。

互いに距離を取り、

連携を保っている。


リアが、短く詠唱。


結界ではない。

“視線を逸らす”魔法。


敵の一人が、

違和感に首を振った瞬間――


セリアが背後に回る。


一撃。


声も出させない。


ラウルが、二人目を押さえ込む。


拳ではない。

首筋への正確な打撃。


三人目が逃げようとした瞬間、

ミナの声が、震えながらも響く。


「……止まって。」


光が、足元を縫う。


拘束魔法。


完全ではない。

だが、“足りる”。


カイルが前に出る。


剣は抜かない。


「誰の命令だ。」


男は、歯を食いしばる。


「……答える義務は……」


次の瞬間。


カイルの拳が、

腹に入った。


音は、低い。


男は、崩れ落ちた。


◆情報


リアが、短く確認する。


「……帝国でも、

王国でもない……

“外部の契約部隊”……」


セリアが眉をひそめる。


「つまり……

誰かが、

“試してる”。」


ラウルが舌打ちする。


「……村ごと、

反応を見る気か。」


ミナは、拳を握りしめる。


「……嫌……

そんなの……」


◆“選んだ”結果


捕らえた男は、

縛られ、眠らされた。


村人は、まだ気づいていない。


介入は、

痕跡を残さない形で終わった。


リアが言う。


「……これで、

“守られている”とは

気づかれません。」


セリアが、ミナを見る。


「……初めて、

自分で魔法を使ったわね。」


ミナは、少しだけ笑った。


「……怖かった……

でも……

選べた……」


カイルは、短く言う。


「それでいい。」


──第144話へ続く

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