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夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
最終章

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67、あの日の真相

やっと次で最終話です。

長々と申し訳ないです……


「なんだか、とても緊張するわ。落ち着かない……」

「姫様、おとなしくしてください。あ、動かないでください!」

「ご、ごめんなさい」



 今はお化粧中なのだが、レイが改めて求婚してくれたことで頭がふわふわしていた。


 昨日あのあと、ふと気になってなぜあの場所だったのか聞くと、テオ兄にも報告できるかなと思って、と言っていた。

 『テオ兄を想っているところも、すべてひっくるめてルーナが好きなんだ』と言ってくれたことを思い出す。今までの私を大切にしていてくれていることが伝わってきて、とても嬉しく思った。


 そして今日、公爵位継承の儀と婚約式が行われるのだ。


 レイと恋人になって初めての公式行事である。長年婚約者候補として一緒にいたが、正式に婚約者になると周囲に知らせるのはとても照れくさく感じた。

 どのような顔をしていればいいのか、わからなくなってしまう。それをナタリーに言うと、何を言っているんだとでも言わんばかりの顔をされた。



「もう、何もしてなくてもあまーい空気がすごくてこちらは大変な思いをしているんですよ。いつも通りにしてください」



 大変な思いとは。レイと恋人になってから、ナタリーにも報告したが、報告する前から「2人であんな甘い空気を醸し出しているから、すぐにわかりました」と言われた。

 そんなことはないと思うんだけど、と思っていると「レイモンド様、やっと……やっと想いが伝わってよかったです。おめでとうございます」と言われていた。



 そして公爵位継承の儀は恙なく進み。

 婚約式ではお互いの魔石のピアスの交換をした。

 レイがピアス用の魔石をもう一度作ってほしい、と言ってきたことが始まりだった。

 しかしそれなら私もレイの魔石のピアスが欲しいと思ったため、せっかくならとこのようなことになった。

 新たな流行が生まれそうですね、とはナタリーの言葉。

 確かに羨ましいというような視線は感じたが、それはレイと婚約出来てということだと思っていた。もしかしたら違うのかもしれない。

 


 そして、これからそれらのお祝いのパーティーである。

 一国の、一応王女の婚約式ということで大々的に開かれている。

 挨拶に来てくれる人たちと談笑しながらも、続々とくる人たちに少し疲れてきたころ。



「ルーナリア第一王女殿下、エスパーダ公爵。この度はおめでとうございます」

「テオドール殿下!あ、今は国王陛下ね。失礼いたしました。ありがとうございます。お久しぶりです」



 口調を改めたほうがいいかと思っていると、いつも通り話してほしいと言われてほっとする。

 思わず彼の名前を呼んだ途端、レイの腰に回されてた腕に力が込められ、よりぎゅっと引き寄せられていた。



「ふふっ、公爵も相変わらずだね」

「……テオドール陛下も」



 二人は一応にこやかに話しているようではあるものの、その目は全く笑っていなくて冷や汗が出てくる。

 私は空気を変えようと、慌てて口を開いた。



「そ、そういえば、私、謝らなければならないことがあって……このあと、時間はあるかしら?」

「もちろん、大丈夫だよ」



 それでは挨拶回りが終わったら、と約束をして別れた。


 ふと遠目にお兄様とフェリシアも挨拶をしながら談笑しているのが見えた。


 ──あの黒の魔女の事件あと、フェリシアにも心配かけたことを謝った。「無事ならいいのよ。この国の王女に何かあれば一大事だからね」と泣きそうな顔からそっぽをむいてツンとした顔で言われた。

 レイと恋人になったことを伝えると一転し、「レイモンド、頑張ったのね」と涙を流す場面もあった。


 みんな私ではなくレイに声をかける。それはいいのだけれど、なんだか複雑だった。


 そして今日フェリシアはお兄様にエスコートされている。

 何やら先日の反乱に参加する際の打ち合わせで、私を想ってくれているフェリシアにとても感銘を受けたそうで。それから一緒に過ごすこともあり、お兄様は今猛烈アプローチ中らしい。


 なんとか今日もエスコートの座を勝ち取ったとか。本当はとても優しいのに素直になれないフェリシアがとても可愛らしいとはお兄様の談。


 たしかにフェリシアはとても優しくていい子だから、私もとても賛成である。フェリシアも満更ではなさそうなので、恋人になるのも時間の問題だと思っている。

 王太子なのに婚約者がいないな、と思ってはいたから、ひとまず妹としては安心である。



 そしてパーティーも終盤になり、テオドール様と控室で話すことになった。もちろんレイも一緒である。



「ごめんなさい、テオ…バルト殿下の遺品を壊してしまって……」

「話は聞いたよ……無事でよかった。状況的に仕方ないと思う……ちょっと、見せてくれる?」



 私は石が砕けて無くなってしまったネックレスを、テオドール様に手渡した。するとまじまじとネックレスを観察し始めた。



「うーん……直接砕けたところを見ていないから、確実ではないけれど……これには、強力な守護魔法がかかっていたはずなんだ。つけた人を守るね」

「守護魔法……」

「うん。それこそ一度なら身代わりになるくらいには強力な」

「……でも、私は呼吸をしてなかったみたいで。あとそのとき私の魔石は割れてしまったの」

「なるほどね……あくまで仮説だけど。ルーナは仮死状態になったんじゃないかな」

「仮死状態?」

「魔力を全て取られて、本来なら死んでいるような状態で、おそらくその守護魔法で命を繋いでいたんだと思う……まぁあくまで推測だから、一つの考えとだけ思っておいて」

「たしかにそう言われるとそんな気もするわ。私ももう少し調べてみる」



 本当はこのペンダントはお母様の遺品で、妊娠期間中に作ったものだそうだ。まさか双子とは思ってなかったのか一つしかないという。そんな大切な品だとはは全く思っていなかったため、石は割れてしまったが返したほうがいいかと思ったが、テオドール様はネックレスを私に返してくれた。

 


「兄上がリアにあげると決めたものだから、リアが持っていて。もういらないならもらうけど……」

「私が持っていていいのなら、私が持っていたいわ。……ありがとうテオドール様」



 とても申し訳なく思うも、ずっと身に着けていたため愛着もある。お言葉に甘えることにした。


 そして推測の部分もあるが、いろいろなことがわかって私が思うのは。

 


「……私はまた、テオ兄に命を救われていたのね」



 言葉に出すと涙が溢れてきた。レイは私の泣き顔をみせないようにか、ぎゅっと胸におでこを押し付けるように抱きしめてくれた。


 テオ兄のお陰で私はまだ生きている。テオ兄がこのペンダントを持っていたら生きていたのかもしれない。そんな可能性も頭に過るけれど。


 それでも今思うのは、私のせいで申し訳ない、という気持ちじゃなくて。


(テオ兄……ありがとう……)


 感謝の気持ちだった──





読んでいただきありがとうございます!

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