表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/69

33、思い違い

レイモンド視点です


 あの襲撃から3日経った。

 ルーナは突然頭を抑えて気を失ったが、まだ意識は戻らないまま。


 ルーナが気を失った後、すぐに先生たちなどの応援がきた。気づけばあの女も魔獣も消えており、シャルロットだけが倒れていた。

 すぐにルーナを王城へ連れ帰り、婚約者候補なり護衛騎士なりの使えるものは何でも使って、ずっと側で見守り続けている。


 シャルロットは爆風に飛ばされたことで頭を打ち、気絶していたようだが、すぐに目が覚めた。それからは尋問をされているそうだ。


 一貫して「私は悪いことはしていない」と主張しているそうだ。



 一体ルーナに何が起きたのか。医者の診察を受けても、体に異常はないとのことだった。


 その青白い顔を見つめながら原因を考えるも、わからない。今までルーナがいきなり倒れたことはなかった。


 そんなとき、テオドール殿下が話があると俺に話かけたきた。

 無視しようかと思ったが「リアのことなんだ」という言葉で、昔一緒に育った間の俺も知らない何かがあるのかと思い了承した。


 ひどく嫉妬はしたが、そんなこと今は言っていられない。


 それでもあまりルーナのそばから離れたくなくて、ルーナの部屋から近い応接室に案内した。

 テオドール殿下は俯きつつも眉間に皺を寄せている。



「……それで、ルーナの話とはなんでしょう」

「……まだ確証はないんだが、リアが気絶したのは……僕のせいかもしれない」

「──は」



 いきなりのその言葉に目を見開く。理解すると同時に怒りと殺意が込み上げてくる。

 皮膚に爪が食い込むほど拳を握りしめる。

 テオドール殿下は俯いたまま言葉を続けた。



「……おそらく、僕の魔力に当てられたんじゃないかと思うんだ」

「……それは、どういうことですか?」

「これはネージュラパン王族の極秘事項でもあるから、他言しないでほしいのだけど……君を信用して話すよ」



 魔力にあてられるなんて聞いたことはない。他人の魔力の影響が、そこまであるものなのだろうか。なぜ俺を信用したのかはわからないが、話してくれるなら、理由がわかるなら、とうなずく。



「うちの王族は代々瞳が赤いんだ。そして魔力が高いのはこの国も同じだと思うけど……一つ、固有魔法があってね。リアが気を失ったのは、それのせいなんじゃないかと思うんだ」

「それは、なんなのですか……?」

「それはね、忘却魔法と僕たちは言っている。ただ消費する魔力も量と質によって多少違いはあるけど、大きい。だから滅多なことでは使わないんだが……」



(そういえば、あの女が「お久しぶり」と言っていたが、ルーナは困惑していた)


 それが関係しているのか。城に来てからは過保護に囲われていたから、きっと城に来る前だろう。つまりは孤児院にいたとき。



「昔……孤児院にルーナがまだいた時、使ったのですか?」

「そう聞いている」

「……そう聞いている?なぜ……」

「ん?……ちなみに、リアからは僕のこと、何か聞いてる?」

「いえ、特には……でも、あなたが昔ルーナがお世話になったという、テオ兄では?」

「え!違う違う!僕はリアの言っているテオ兄ではないよ!」

「──え」



 これはどういうことか。疑問が深まっていく。



「そこからか……うーん……リア、何も話してなかったのか。道理で……いろいろと納得したよ」

「納得?」

「うん、君の嫉妬具合とか」

「っ!?」

「まあ、今はそれは置いておこう。リアがいう『テオ兄』とは、僕の兄のことだよ。僕たちは双子なんだ」

「双子……」

「そう。ただ話すと長くなるな。時間はある?僕が兄上から聞いた話も含めて、君には話しておいたほうがいい気がする」

「時間は大丈夫です。しかし……」



 双子ということやテオ兄はテオドール殿下ではないと聞いて、驚きがないわけではもちろんない。

 しかしルーナから聞いていないことを勝手に聞いてもいいものか。本当であればルーナから聞くべきだとは思うのだが。


(テオ兄という言葉をあの王太子の誕生日会から、聞かなくなったとは思っていたが……)


 それまでは事あるごとに出していたその名前も、ピタッと言わなくなった。テオドール殿下の存在に意識をもっていかれていたから、そこまで深く考えていなかったが。


(てっきりテオドール殿下が留学してきたことで、言わなくなったのかと思ったが……そういうわけではなかったのか?)


 葛藤しつつも、ルーナが気を失っている今。原因がおそらくテオドール殿下の魔力、ということであれば、聞いたほうがいいのかもしれない。そう考え直し、テオドール殿下に向き直る。



「無理にとは、言わないけど……」

「いえ、お願いします」

「うん、わかった。僕もわからないところはあるけれど……」




 そして話し始めた内容は想像していたものとは全く違うものだった──


読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ