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夢に向かって猪突猛進な『不遇』王女には事情がある!?〜孤児院出身の王女は愛されることには慣れていません〜  作者: はな
第二章

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18、魔法研究所



「また黒焦げになったんだって?ルーナも懲りないね」

「なりたくてなったのではありませんわ。なぜか……爆発するのです……」



 そう言ってシュンとした私をみてお父様は慰めるように声をかけてくれた。



「セオドア、そこまでにしなさい。ルーナは頑張っているのだから」

「父上、バカにしているわけじゃないのですよ?ルーナが可愛くて」

「その気持ちもわかるがな……」



 夕食の席で家族団らんの会話を楽しんでいた。

 みんな多忙のため食事中にあまり褒められたことではないが、その日の出来事などを話したりわいわい話すことが許されている時間でもある。


 部屋には必要最低限の人だけ手配されている。


 レイは護衛中ではあるが、私の懇願により王族の3人と食事の席をともにしている。


 もちろんレイは会話に積極的に入るわけもないのでだいたいは聞き役である。


 それも最初はもちろん護衛騎士として食事中もそばで控えていたが、じっとみられることに私がいたたまれなくなった。


 「レイモンドも一緒に食事を」と最初に言ったときにはレイはもちろんのこと、お兄様もお父様も反対した。婚約者(候補)だしいいのではないかと説得したがうまくいかず。

 レイにも止められそうな気配を感じ、「それなら私はもう一緒にご飯は食べない!」と言い張ると許可がおりた。

 わがままなことは十分承知だが、聞いた話だと夕食は護衛業務が終わってからの22時ころと聞いたから仕方がないと思う。


 しばらくしてから、もしかしてレイ、ここの家族の団欒に居づらいのでは…?と気づいたが、いまさら撤回できるはずもなく。きっかけは置いておいても身体を心配しての提案だったが、精神的ダメージを与えているかもしれない。様子をみてつらそうに見えたら撤回することにしようと様子をみることにした。


 最初は戸惑っていた様子だったが、次第に慣れてきたのか少し嬉しそうに食事をしているように見えた。これならいいかなと思いそのままになっている。


 するとふいに何か思い出したようにお父様が声をだした。



「そういえばルーナ。魔法研究所の話なんだが…」

「私ももう行ってもいいのですか!?」

「ああ。やっと改修工事も終わったからな。魔法研究所の実験室は申請は必要だが、使用できるようになる」

「本当ですか!ありがとうございます、お父様!」



 魔法研究所。略して魔研。それはこの国一の魔法機関であり、最先端の魔法の研究も行われている。また、魔法師団も編成されており有事の際には駆り出される。そのため、研究のための頭脳と、戦闘力、サポート能力とあらゆる試験を乗り越えないと試験に合格することはできない。毎年、人員の募集が行われるが最低限のレベルが高すぎるがゆえに合格者がいない年もある。

 ぎりぎり合格に届かなかった人が見習いとして雑用から始める見習い枠もあるが、そこから正規のメンバーになれるかはわからないものでもある。


 しかし王族は代々魔力が多いことからこの施設の利用が可能である。



「よかったね!ルーナ」

「はい!ずぅっっっと楽しみにしていたんです!!」

「よかったですね。ルーナリア様」



 珍しくレイモンドの声が聞こえ、隣をみてみてると、自分のことのように嬉しそうに言葉をくれた。



「レイモンド、もっと表情にでるといいのだけどね。私たちはわかるけど、おそらくほかの人からみたら無表情で言葉だけ言ってやったとでも言わんばかりだぞ」

「善処します……」

「お兄様、そんなこといわなくても……」



 お兄様はときおりレイモンドに厳しい。これでもましになったほうではあるが。

 婚約者候補になった最初のころなんかはひどかった。「こんなことでは大事な妹を渡すわけにはいかない」というのが口癖なのかというくらい。「こんなこともわからないのか?」「それくらいできるだろう」そんな言葉でいじめているようにしか見えないことを言っていた。



「セオドア、それくらいにしなさい。大好きな妹に嫌われてしまうぞ」

「はい、父上…」



 少しシュンとしたお兄様は私をちらっとみて様子を伺っている。

 私のために言ってくれていると思うので、いつも何も言えないのだけど。ここまでがいつもの流れである。


 それにしても。これで今までは学校の実習室しか大掛かりな魔法も練習できなかったが、これからは王宮にある魔法研究所の実験室を使うことができる。申請が必要だけど、それでも使えることに変わりはない。



「来週……ルーナは春休みに入ったころかな。一応案内してくれるそうだ。後ほど話がいくだろう」

「わかりました!ありがとうございます!お父様」

「ただ、まだ学生なのだからあまり入りびたることがないように」

「う……は、はい。善処します……」

「施設などは好きに使っていいが、学園の成績を落としたら元も子もないからな」

「わかりましたわお父様!私、頑張りますね!」




 あっという間に春休みになり、魔法研究所のに案内してもらう日になった。のちほど届いた手紙の指示された時間に研究所にくると、所長補佐が出迎えてくれてくれた。


 私は一応王女だが、ここでは一研究員として扱われるそうだ。しかし護衛のためレイモンドがそばにいることはすでにお父様から伝えられているそうで、それは構わないとのことだった。


 説明を受けながら魔法研究所の見学をしていると、私語を話している人がいなかった。ぶつぶつと独り言を言っている人はいるが、みんなもくもくと本を読んだり、実験していたり、魔法陣を書いていたりしていた。魔法研究所の人は寡黙な人が多いようだ。


 今は研究所には50人ほどしか所属していないようで、各個人には大きくはないが部屋が与えられており、そこで生活もできるそうだ。ちなみに私は入りびたること防止するためかその部屋はない。お兄様はあるのに。


 そして最後に実験室に案内された。名前から小さめのものを想像していたが、中にはいるとそこはとても広い空間が広がっていた。なにやら拡張魔法というものが使われているようで、本来の広さよりも倍以上は広い空間が広がっているそうだ。


 明日から来て研究や練習をしていいとのこと。とてもざっくりで驚くが、みんな自分のしたいことを思い思いにやっているんだとか。



(ここなら、あの魔法についても……)



 まだ学園のことを優先しなければならないが、折をみて資料室とかにも籠ろう。資料は研究所から出してはいけないそうだ。古いものもあるから扱いは慎重にということらしい。


 学園以外で魔法の練習する場所ができたということは私の中でとても大きかった。





読んでいただきありがとうございます!

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