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第九話:「天地創造」

 美しい都が滅びゆくさまを背景に、僕はひたすら突き進んだ。そしてついに、月神の宮殿へと辿り着く。ふと背後で〝ドズゥン〟と振動が鳴る。

「終わったぞ…我が契約者よ。」

「そうか、ありがとう…クァチル。」

僕は、辺りを見回した。

「して、この後は如何様にする…。」

燃え盛り、崩れ去った世界…もはやそこにかつての美しい面影など、ひとかけらも無かった。

「じゃあ、はじめようか。」

僕は、おもむろに虚空へ手を伸ばす。

「新世界の創造を…!」

僕がそう言うとクァチルは、もとの魔剣の姿へと戻って、その手中に収まった。そして僕はその剣へ、ありったけの魔力を注ぎ込む。


そして…


空が、真っ黒に染まる。いや、この宇宙が、漆黒の闇一色に塗りつぶされた。時間をつかさどりし大いなる闇…全にして一、一にして全なる神「ヨグ=ソトース」の御身が召喚されたのだ。


僕は、願った。

「ヨグ=ソトースよ! その全能の力で、時間の外側をすべて喰らえ! そして…創ってくれ! まだ誰も見たことが無い祝福を、未知なる世界を!!」

闇の中に、静寂がこだまする……。

ふと、美しい螺旋状の光が…僕の手のうちの魔剣から、もれだした。


それは瞬く間に広がり、どんどん大きくなっていき、そして世界を包み込んだ。


「あぁ、ありがとう……神よ…!」



初めに、神は天地を創造された。 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。 神は言われた。

「光あれ。」

こうして、光があった。 神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。


神は言われた。

「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」

神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。 神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。


神は言われた。

「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」

そのようになった。 神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた。 神は言われた。

「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」

そのようになった。 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。 夕べがあり、朝があった。第三の日である。


神は言われた。

「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。 天の大空に光る物があって、地を照らせ。」

そのようになった。 神は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。 神はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、 昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。神はこれを見て、良しとされた。 夕べがあり、朝があった。第四の日である。


神は言われた。

「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」

神は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。神はこれを見て、良しとされた。 神はそれらのものを祝福して言われた。

「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」

夕べがあり、朝があった。第五の日である。

神は言われた。

「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」

そのようになった。 神はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。神はこれを見て、良しとされた。

神は言われた。

「我々にかたどり、我々に似せて、新たな人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」

神は御自分をかたどって新たな人を創造された。

神にかたどって創造された。

男と女に創造された。

神は彼らを祝福して言われた。

「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」

神は言われた。

「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。 地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。」

そのようになった。 神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

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