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第97話 ユダヤ人移住計画


1905年(明治38年)9月4日アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの斡旋によってアメリカ・ニューハンプシャー州ポーツマス近郊のポーツマス海軍造船所において、日露講和のポーツマス条約が日本全権小村寿太郎(外務大臣)とロシア全権セルゲイ・ウィッテの間で史実通りに調印された。これによって一年半以上続いたロシアとの戦争が終わったのである。


史実では大学の学者や著名人などが日清戦争後の下関条約では、台湾の割譲のほか賠償金も得たため、大国ロシアならばそれに見合った賠償金を支払うことができると信じ、日本国民のあいだでは当時のお金で「30億円」「50億円」などの数字が一人歩きしていた、


そのため賠償金がない、この条約に不満を持つ人たちが東京の日比谷公園で小村外交を弾劾する国民大会が開かれ、これを解散させようとする警官隊と衝突し、さらに数万の大衆が首相官邸などに押しかけて、政府高官の邸宅、政府系と目された国民新聞社を襲撃、交番や電車を焼き打ちするなどの暴動が発生した。


その事を俺は知っていたので、以前から政府のスポークスマンとして日本にもう金がなく戦争を早く終わらせる為の講和だと説明していて、マスコミも政府への協力をして戦争を煽るような記事はなかった、さらに講和会談の出発の前にも賠償金については頑張るがと説明して賠償金がもらえない場合は国民の暴動が起きないような記事をマスコミにはお願いしてきた。


その事が幸いして東京の新聞社の一面には「金が欲しくて戦争した訳ではない」「平和を愛するがゆえに成された英断」と政府への決断を賛同するような記事が書かれていたのである。これにより一部の右翼系団体が藩閥政府批判とあわせて賠償金がもらえなければ戦争継続を煽っていたが、国民は冷静に受け止め普通に戦争の終結を喜んでいたのである。



   ~~~~~~~~~~


俺はいまニューヨークにきている、ニューハンプシャー州ポーツマスからは480kmほどだ。


これからドイツ生まれのアメリカの銀行家であり、慈善家のユダヤ人大富豪ヤコブ・ヘンリー・シフ氏58歳に面会しにいくつもりだ。


彼には大勢のユダヤ人を満州に移住させる計画を相談をして、その為のインフラ整備や住宅支援などの満州への投資をしてもらえるかどうかだ。すでに西園寺先生に相談しており了解はもらっている。


この先の時代に起きる、ドイツのユダヤ人迫害による大虐殺を少しでも避ける為には満州に各国のユダヤ人を移住させて時間をかけて清国そして中華民国などの内戦が起きた時にでもどさくさに紛れて米国のような多民族国家になってくれれば国際ユダヤネットワークを活かして、英国や米国から満州国を承認してもらえるはずだ。


我が国からも軍事支援をして将来にわたっても、共産国に対して自由主義の防波堤にもなり、世界中に散らばるユダヤ資本からの投資促進による満州国、ひいては日本の国力活性化にもつながるはずだ。


ユダヤ人大富豪ヤコブ・ヘンリー・シフ氏は、この当時アメリカ最大の都市ニューヨークのマス目のように区画整理されたマンハッタンの五番街そこには富豪たちのギリシャ・ローマ風建築の邸宅が立ち並んでいた。すでに駐米公使の関係者から訪問することについては連絡がしてあったので立派な豪邸に着くと黒人の執事が丁寧に出迎え、そして豪華な応接室に案内された、そこにはヤコブ・ヘンリー・シフ氏が満面の笑みで歓迎をして迎えてくれた。


俺は彼の向かいに立って政府の政務官として自己紹介をして、ソファーに座ると日本が大国のロシアに勝利したことを大変感激したと話してくれた。


シフ氏

「ユウキはユダヤ人が、なぜロシア人を嫌っているかわかりますか、」


ユダヤ人大富豪ヤコブ・ヘンリー・シフ氏は俺の顔をみつめながら聞いてきた


東欧でユダヤ人がこの時代に迫害を受けている事を知らない俺は正直に「知らない」と答えた。


「それでは「ポグロム」と言うロシア語は分かりますか?」


「いえ、それも知りません、「ポグロム」とはどう言う意味ですか、」俺は正直に聞いてみた。


「君は知らないかもしれないがロシア語で「ポグロム」は「破滅」、「破壊」を意味する言葉で特定の意味が派生する場合にはユダヤ人に対し行なわれる集団的迫害行為(殺戮・略奪・破壊・差別)を言う言葉だよ。」


シフ氏は悲しそうな顔をして説明をはじめた。


「17世紀から我々ユダヤ人は、東欧で迫害を受けてきてウクライナやロシアではコザック兵によるポグロムが頻発してユダヤ人集落を襲ってはひどい目にあって、大勢の子供や女性が殺害された。それにロシアの大都市には居住の権利さえない、とくにいまのニコライ皇帝になってから酷い状況になっている。」


「ユダヤ人にとって仇のようなロシア人と戦争して、勝ってしまうなんてこんな痛快な事はないよ、日本人を我々は尊敬しているよ。」


そんなユダヤ人のロシアでの扱いを聞いて、俺はいま満州で考えていたユダヤ人の移住に関する日本政府の支援について丁寧に説明をしてみた。


「そんな事が本当にできるのか、、」


「はい、日本人はユダヤ人だからといって迫害をすることはありません、欧州とは違う歴史を歩んできたので宗教による差別はないと思います。そもそもユダヤ教もキリスト教も区別がつきませんよ。」


「それで、満州の発展にはあなた方の人材と支援があれば、迫害のない明るい未来が待っていると思います、協力してもらえますでしょうか。」


「それができるなら、東欧からの迫害を受けている仲間に連絡をしてみるよどのくらいの仲間が移住するか分からないが、満州へのインフラや住宅の資金は必ず私が用意するから、日本政府とこの話を進めてくれないか、ユウキ、お願いするよ。」


こうして俺はユダヤ人大富豪ヤコブ・ヘンリー・シフ氏と今後の連絡先を交換してユダヤ人移住計画を進める事にした。



   ~~~~~~~~~~



1905年8月


小伝馬町にある松坂牛のすき焼き屋


帰国した玲子をねぎらう為に食事をしに来た尚美


玲子

「まじか~、これは、幻の松阪牛、この時代に食えるとは、」そう言って一口食べる玲子

「あ~、おいしい~、マジにおいしいよ~、幸せ~、」


正岡

「尚美ちゃん、このオッパイがデカい子、だ~れぇ、」


玲子

「あんたこそ、、誰よ、」


尚美

「あれ~、会うの初めてだっけ、、」


二人揃って

「はい、初めてです、」


「フフフ、玲子、驚かないでね、この人正岡子規よ、ほら教科書に横顔がのってた俳句の天才、知っているでしょ、」


「うそ~、あの、正岡子規、あれ~こんな太っていたっけ、頭も毛がフサフサだし、いゃだ~ただのデブのオジさんじゃないの、、ハハハハ」


「尚美ちゃ~ん、こいつずいぶん失礼じゃね~の、この子も未来からこっちにきたのかよ、」


「違うわよ、玲子は未来で私の親友だったのよ、事故で18歳で死んでこっちの世界に4歳児として転生したのよ、、」


「フフフ、そうよ初めまして正岡子規さん17年前にこの時代に転生してきた白鳥玲子デ~ス、、」


「転生、なんだそりゃ、なんかよく見ると可愛いね、おいらと遊ばない、玲子ちゃ~ん、」


「調子にのるな~マサオカ!、」と言ってその頭を思いっきり叩く尚美


「エ~、尚美、いいのそんな事して歴史に名前が残る人よ、」


「いいんだよ、もうこいつは俳句なんかキッパリと辞めているからもう歴史には名前はでないよ」


「それより、欧州でバイクのレースはどうだったのよ、」


「エ~、最高よ、欧州の貴族の坊ちゃんが道楽でやっているレーサーなんか目じゃないわよ、みんなの鼻っ面を折ってやったら急になついてきてあっちこっちの御貴族様の子息から求婚されちゃってもう大変、、そうそう英国の伯爵家の三男なんかゴール前でビュ~ンと抜いてやったらもう、ゴールして人生で初めて他人に負けたらしくて悔しくて大泣きよ、それも「日本のメスざるに負けた~」なんて言ってるのよ、あんまりひどい事、言うんでひっぱたいてやったらまた大泣きよ、もう大変だったのよ。」


「さすがに、尚美ちゃんの親友じぇね~か、手がすぐ上がるのは同じじゃね~か」


「フフフ、そうよマサオカ、玲子と二人で昔はやんちゃしていたの、、」


「昔じゃないでしょ、未来でやんちゃしていたのよ、」



そう言いながら美味しいすき焼きをマサオカのおごりで、腹いっぱい食べる玲子と尚美だった。






つづく、、、、







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