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第95話 日本の借金返済計画


この日露戦争で日本が借金した額は当時の金額で外債が13億、国債2億の合計15億の借金があった。当時の日本の国家予算は6億8千万円だというのにその2.2倍くらいの借金があったのだ。


その為に史実では締結された日露講和条約 (ポーツマス条約)では、賠償に関する規定がなかった為、日露戦争時に発行された外債はすべて日本政府負担となり、以降の元利償還が日露戦後の日本にとって重い負担として残り公債の元利償還を含む残務処理に必要な財源確保のために、戦中から実施されていた非常時特別税の継続などの措置がとられることになり国民は苦しむことになる。


日本の経済大国を目指す俺にとっては、この問題を解決するためにまだ未開発の秋田県の八橋油田と黒川油田に目をつけた。ここには日本で取れる原油の70%が眠っている年産15万キロリットル(約94万バレル)を超える大油田となり、十分に採算がとれる事業となるはずだった。



丸の内にある結城のビル

資源開発会社の奥野英太郎技師が秋田の調査から戻ってきた。


奥野

「社長、すごいぜ、間違いなくあそこには大量の原油が眠ってるよ。大当たりだぜ、、なんで社長はあそこに原油が眠っている事を知っていたんだ、、」


結城

「えっ、、えーと江戸時代の見聞録にたしか~秋田県に“くそうず”があると読んだことがありまして~」・・※天然に滲み出した石油から独特の臭気が漂うため草生水・臭生水・草水などと書き表しました。


”まさか未来の資料で分かっていた。なんて言えるもんか、”


「それで、あのお宝はこれからどうすんだよ、、」


「はい、採算がとれるようにそこを開発します。国営の石油開発企業・旭日石油が立ち上りましたからその業務受託で当社が管理します。奥野さんの方で土地の購入から井戸を掘るための器材や原油を精製するためのプラント工場を立ち上げるのに、その方面での下請け会社に協力をお願いしてもらえますか、予算はうちのグループ会社からすでに集めてありますので立派な石油精製の建築を責任持って進めてください。」


「あと旭日石油は大蔵省の直轄事業としてやりますので必要な連絡は私の方から大蔵省にいって説明しますので、国への必要な申請事項は先に教えてもらえますか」


「ああ、いいぜ、それは俺の得意の分野だ、知り合いの会社を使って立派な井戸と精油所を作ってやるよ、、任せろ!」


「あ、すみません、それと来年は樺太に油田調査で行くと思いますからよろしくお願いします。」


「なに!、こんどは樺太かよ、そんな寒いとこに油田があるのかよ、、」


「フフフ、ぜったい、ありますよ、、心配しないでください。」


こうして国の財政立て直しの秋田県の油田活用計画がスタートしたのである。


しかしまだまだ、借財返済には足りないと思い、俺はもう一つ世界の食料事情をかえる大発明を先に仕掛けた。この発明により食糧生産量を急増させ、20世紀以降の人口爆発を支えてきたのである。これにより発明者はノーベル化学賞を受賞したのだがこの世界ではその受賞はない、日本人が先に国際特許申請するからだ。


それは、史実ではドイツ出身の物理化学者で電気化学者でもあるフリッツ・ハーバー氏が1913年に工業化に成功した化学肥料だ、この時代まだ化学肥料なんてものはまだない、それはハーバー・ボッシュ法とよばれ「空気からパンを作りだす」と言われるほど画期的なものだった。


鉄を主体とした触媒上で褐炭から単離された水素と大気中の窒素とを反応させてアンモニアを合成させる方法である。


植物の生長に必要な3要素として窒素、リン、カリウム、中でも窒素はタンパク質の素となり、植物の根や葉や果実を大きく成長させるためになくてはならないものだこの窒素が十分に含まれたアンモニア態窒素の化学肥料によって食料生産量が急増して20世紀以降の人口爆発を支えてきた。それほどの大発見である。


その開発の為に西園寺先生にこの計画を話して国を動かし有名なクラーク博士がいた札幌農学校を史実より2年早く北海道帝国大学に1905年変更させた。


北海道には材料となる褐炭が豊富にある、それを使いここの農学部と物理関係の化学者が協力して北大式アンモニア合成法としてこの化学肥料を大量生産して海外に輸出するか、または世界中にこのパテントを売り国が管理するかしてこの財政難を乗りきるつもりだ。


来年には国際発表して化学肥料の製品化を進めるのだ。すでにこの化学肥料を作る為の資料はこの計画の関係者達に渡してある必要な器材の予算もこちらで

用意した。後は日本の優秀な頭脳集団が、国益の為に開発するだけだったのである。



  ~~~~~~~~~~



1905年6月


浅草の洋食屋さん


尚美は正岡子規から松坂牛のすき焼きを御馳走になってからは、たびたび肉料理を一緒に食べに行っていた。今日は浅草にある洋食屋でステーキを食べにきていた。


部屋に案内されてくつろぐ二人さっそく頼んだビールがくると

「尚美ちゃ~ん、まず、冷たいビールをどうぞ、」


そう言って冷たいビール瓶から尚美が持っているグラスにビールを注ぐ正岡

その冷たさに「ゲゲッ、、マサオカ、どうして冷たいビールが、この時代にあるのよ、」


「あれ~、尚美ちゃん知らないのかよ、シラトリエレクトロニクスから業務用の冷蔵庫がでたんだよ、すげ~じゃねいか~、尚美ちゃんの時代の電気製品ができたんだぜ、、」


冷たいビールを飲みながら話しをする尚美

「そうなんだ、ついにできたんだ、ここの社長に私と結城が未来から来たことを教えて家電製品の製作をお願いしたのよ、」


「エ~、ここの社長もおいらや上杉先生と同じく、尚美ちゃんや結城君が未来から来たことを知っている仲間だったのかよ、、」


「マサオカと違って口は堅いけどね、、」


「エ~、、まだ怒ってのかよ、、」


「そうよ、これぐらいのお肉じゃだめね、、東京のおいしいお肉を出すお店を全部、制覇すれば許してあげるわよ、フフフ」


「あれから大変だったのよ、全国の結核患者の家族や担当医からいっぱい手紙が届いてさ~、藁にもすがる気持ちで”どうか助けてください、”なんていう内容ばっかりやっとひと段落よ、ほとんどの患者に具合の悪い人から順番で薬を送っていたけどやっと王子の製薬会社で大量に生産ができるようになったから今では余裕が出て来たわ、」


「それはよかったじゃねいか~ おいらが余計な事しゃべっちまって、迷惑かけたけど、まあそれで尚美ちゃん達が人助けしてくれてうれしいぜ、あの病気はなってみね~とわからないかも知れねがつれ~んだよ。泣きたいほどつれ~病気なんだ、、、尚美ちゃん今日もいっぱい、食べていってくれよ、、」


「フンッ、そうだよ、あんたのおしゃべりでたくさんの命が助かったんだよ」


「ところでさ、毎回、有名なお店で美味しいお肉をごちそうしてくれるけどそんなに、儲かってんの、、」


「ああ、これも尚美ちゃんのおかげだよ、おいらの病気を治している時に読んでた漫画が面白くてさ、それをパクッて冒険小説にしたらそれが大当たり、」


「エ~、何パクったの?、」


「あれ、言ってなかった、あの不思議な木の実を食べて、体が伸びる少年の話し」


「もうバカ売れ、もうすぐ国内は来月に4巻目が出るけど大変だよ、英国で売られた翻訳本が大ヒットしちゃってさ、それを読んだ欧州の各国の人が自国語で再販させてくれって依頼がきて、スペイン語にフランス語にドイツ語、イタリア語、あとはよく知らね国やらで本を売らせてくれ~、て言ってきてるみたいだぜ そんな金の事はみんな妹の律に任せたよ、」


「まじか~、それは売れるよ、未来でも大ヒットして日本のポップカルチャーを世界に広げた作品よ、ああ~もう知らないよ、あんたどうすんのよ、このままいったら間違いなく、あんたはこのファンタジー冒険小説の世界の第一人者になるわよ、それも未来のパクリ作品で、俳句はどうしたのよ、」


「俳句だって、ハハハ、そんなもん子どもが読んでもさっぱりわかね~よ、それは正岡子規が結核死んだ世界の事だろ、もうこの世界はおいらが死ななかった世界だぜ、おいらはもう腹をくくってこの世界の子どもが喜ぶならパクリでも好きにやるさ、、面白いものはみんなで楽しむのさ、、」


「確かにそうよね、すっかりこの世界は私と結城で変えちゃったからどんどん未来は変わっていくわね、はいはい、分かりました。ところでその英語版のタイトルはどうなっての、」




「タイトルは”King of the Pirates” (キング・オブ・ザ・パイレーツ)」



このあと、これが世界中で大ヒットとなり正岡の名前は世界の”MASAOKA”となり俳句ではなくこのファンタジー冒険小説の世界の第一人者となっていくのである。






つづく、、、、




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