表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/137

第92話 マン島、、前編


1905年5月


シラトリエレクトロニクス株式会社


白鳥社長

どうにか真空管やトランジスター、コンディサーなどがこの時代でも作れて音声を電波で送りだし受信機であるラジオを開発することができた。


日本海海戦でも警戒監視についてバルチック艦隊を見つけた信濃丸が無線式の電信で発見を報告するなど活躍をしていたと結城君から聞いていた。無線による情報のやりとりはこれからは非常に便利になるだろう。


この音声を送る電波発信機を屋外に作った高さ10m程の仮のアンテナ搭につなげて受信機をカザマの車に積んでどこまで届くか確認してみた。


高い建物やデカい山がなければ東京の街一円は十分使える事がわかった。仮にこれから関東一円の規模にするにしても増幅器を付けた電波塔があればまだまだ広げることができそうだ。さっそく結城君に連絡すると政府の方に話しをしてラジオ局の設立について相談してみるといっていた。しばらく会っていなかったが、、彼は今では政府の重要な仕事をしているようだった。


”玲子はどうしているかな~、三か月なんの連絡もないや~、元気かな~”と思っている娘思いの白鳥社長だった。



その頃、玲子はマン島にいたのである。



イギリスとアイルランドの間に浮かぶ島、マン島、リバプールから船に乗って二時間ほどイギリスの法律や習慣に束縛さえれない地方自治権をもったイギリスの王室属領である。


この時代、内燃機関であるガソリンエンジンの発展により車や二輪バイクの開発が盛んになり、ヨーロッパ大陸のように各国が陸続きのような場所では車やバイクの開発が盛んであった。その為、人が移動する道路も自動車の普及によって整備が進み街から次の街までの整備された公道を使った車やバイクのレースが盛んに行われていた。


蒸気機関を使って世界で最初の産業革命をした英国ではガソリンエンジンも開発していたが、それよりも蒸気機関の可能性を追求していた。そのためガソリンエンジンを使った車などは蒸気機関を信じる保守的な人々や駅馬車業界の反発などで、国内では人が走るくらいのスピードしか出せない法律ができてしまいレースどころではなかった。


エンジンの開発会社やバイクメーカーにとって、その性能を確認するためのスピードレースをどこでやるか考えた結果、英国の法律に影響を受けないこのマン島での車やバイクのレース開催が行われるようになった。産業のないマン島でも町おこしとして公道レースを歓迎したのである。


この時代のレースは島の舗装されていない曲がりくねった約25kmの三角形のようなコースを10周する形だった 約250kmを平均時速60km位で走行して4時間かけてレースの決着をつけるのである、その為に燃料補給と10分間の休憩が許されていた。



玲子

私達、カザマレーシングチームはフランスやドイツなどで行われていたバイクレースを秘密兵器も使わずに次々と地元メーカーのバイクを蹴散らしてきたわ

すでにエンジンの作りが違うのよ、未来の技術も入っているわけだし空気抵抗も考慮したカウルなんかはこの時代まだそんなもんはない、走ることだけが精いっぱいだろう。


だけど、英国のバイクとは今回が初めてのレースだわ、この国のビック4と呼ばれるトラ〇アンフ、ロイヤルエン〇ィールド、ノー〇ン・モーターサイクル BSA(バーミンガム スモール 〇ームズ)バイクチームは自国開催のこのレースきっと何かを仕掛けてくるかもしれない、、


そんな気持ちを持って私と明子ちゃんは五十嵐と吉田の二人の子分を連れてこの島の主都ダグラスの古い古城で行われた、前夜祭のようなウェルカムパーティーに参加した。


日本人と言えば着物であるが明子ちゃんは華やかな振袖を着て、私は胸を強調するドレスを着用した。そして私の未来の化粧品テクニックで二人は普段の10倍増しで化けることができた。


普段の私達を見慣れている二人の子分は”キ、キツネ、がでた~、雌キツネが化けた、、”と失礼な事を言ってわめくのでホッペを平手うちして正気に戻してやった。明子ちゃんは脇で笑っているだけだった。


マン島領主を名乗るイングランド貴族のスタンリー家の、古城の大広間で当主が挨拶して宴がはじまり、着なれないタキシードでぎごちない動きをする子分二人はさっそく料理と飲み物をもらい端のテーブルで大人しくしていた。


大勢のレース関係者やその奥方に地元の有力者やその子弟で古城のデカい広間であるが壮観であった。脇の方には楽団が静かな音楽を奏でていて中世の雰囲気をかもしだしていた。この時代に飛びぬけた化粧とドレスと着物でいる私と明子ちゃんの周りには、中身35歳の私にとっては美味しそうな青い目の品種改良された貴族の子息というサラブレットが周りを囲んできたのである


明子ちゃんも胸は大きく背も高い、それ以上に日本人特有の長くて艶がある黒い髪がきれいに後ろにまとめて、まるで日本人形のようにしておりオテンバの私にはマネができなかった、明子ちゃんが通訳して、たわいない話でサラブレット達と盛り上がっていたのだが、、歯の浮くような口説き文句に大人の私は騙されない、明子ちゃんは免疫がないので赤い顔をして恥ずかしそうしていた


それを柱の陰から見ていた、モンゴメリー伯爵の三男ウィリアムとクロムウェル子爵の次男トーマス


伯爵の三男ウィリアム

「あいつらが日本のカザマチームの赤い魔女か、どっちが魔女なのかな?、、明日のレースは俺の所属するトラ〇アンフチームが優勝する事で話しがついてるんだけど、あの日本のメスざるに貴族のしきたりを誰か教えてきてくれないかな~、、」


子爵の次男トーマス、、BSAチームのライダー

「お任せください、、ウィリアム様、、バーリー男爵家の長男デービッドにあのメスざるに英国式挨拶をさせてきますよ、、フフフフフ、」




それからしばらくして品の良いサラブレットに囲まれ、気分を良くしていた二人のそばに鼻もちならない連中がやってきた、ロイヤルエン〇ィールド・モーターサイクルのレースライダー、バーリー男爵家の長男デービッドそれとノー〇ン・モーターサイクルのレースライダーで平民のマシュー・ギルフォードの二人が何かを企む顔をして近づいてきた。


ワインの入ったグラスを持ちながら酔っ払って赤い顔で近づいてきた金髪のデービッド


「場違いな日本のメスざるが紛れ込んでいるな、誰が呼んだんだよ~、、」


平民のマシュー

「デビッド彼女らは明日のレースにでる日本チームだぜ、、」


金髪のデービッド

「へ~そんなんだ、あのさ~、、あの赤い魔女ってのはどっちだよ~、、」


私達を取り囲んでいた品のいいサラブレッド達は、このあばれ馬の登場でみんな去っていった。


明子ちゃんは少しビビッてしまい私は彼女を自分の後ろに引っ張り、こいつが何を言っているか私の英語力でもわかった。


「私がそう呼ばれているみたいだけど、、なんの用かしら、、」

私は睨みながらそう答えた、、


金髪のデービッド

「あんたが赤い魔女かよ、メスザルがいい気になるなよ、ここはサルがくるとこじゃないだよ、さっさと山にでもかえりな!、ハハハハハ、」


何を言っているかわかった。奴の見た目は20代半ば、私の見た目は自分で言うが子猫のようにかわいい21歳でも中身は35歳、高校時代はヤンキー相手に尚美とあばれまわった私、、ケンカを売られてこんなガキに負けるもんかよ!


私は奴のタキシードの蝶ネクタイを右手で掴み顔を引き寄せ奴の胸に私のデカい胸をグリグリさせて、化け猫になり夜叉のような目つきでドスを聞かせた声で、、




「コラ~!!!~このガキやあ!!、なにごちゃごちゃぬかしてんねん、じゃーかましぃーや!なめとったら、しまいにはこのたまひっこぬくで~!!」




そういって左手で奴の股間のふくらみをぎゅ~と握り締めてやった。



こういう事があった時の為に出発前に尚美からしっかりとレクチャしてもらいユウちゃんから教わった関西弁風の英語を脅しにつかったのである。


二人は天使のようにかわいい私が突然夜叉のような顔になり関西ヤクザのようなはったり英語で、去勢手術を受けた馬のように大人しくなり一礼して他のテーブルに移動していった。



これでロイヤルエン〇ィールド・モーターサイクルとノー〇ン・モーターサイクルには勝ったと思った。


あとは強敵、トラ〇アンフとBSA(バーミンガム スモール 〇ームズ)だけだと思ったが、明日のレースは荒れそうな気配を感じた前夜祭だった。






つづく、、、、





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ