第91話 風間交通の立ち上げ
1905年5月
米国のニューヨーク・タ〇ムズ社に日本海海戦の戦況をつたえる第一報が電信で入ってきた。アメリカ白人特有の人種差別的感情から、バルチック艦隊が勝利する事を信じて街の賭博屋に金を掛けていた担当者は”勝ち戦で少し調子にのっていた黄色いサルどもこれで目が覚めたか!”と思い、その第一報に目を通すとそこには「日本艦隊がロシア装甲艦12隻を沈めた。日本艦隊は被害軽微、、」目を疑った。黄色いサルが我々白人に勝つはずはない、この第一報が絶対に間違っていると確信して「ロシア艦の水兵が反乱を起こし船底に設けられているキングストン弁を開放して自沈させた。」という報道をした。
英国にもこの海戦の内容が新聞にのると有名な大学の歴史講師だったアルフレッド・ジンマーンは教室に入ると、その日の朝のギリシャ史の講義を中止すると発表した。その理由は、現実の世界で起こった、ないしはこれから起こると思われる歴史的に最も重要な大事件について話をしなければならないからである。「有色人種がはじめて戦争で白人に勝ったのだ。、、」
この世界は欧米の白人のものだった、歴史も白人のものだった、それを日本人黄色いサルが塗り替えた事に世界は驚いたのある。、日本海海戦のでかい記事の脇には”欧州バイクレース界に日本の赤い魔女が大暴れ魔法のホウキではなくKAZAMAバイクで白人レーサーをごぼう抜き恐るべき日本人、女も強かった。”
そんな謎の日本人女性のバイクレーサーが赤いフルフェィスをかぶり赤いカウルのバイクで欧州のバイク好きな貴族や製造メーカー相手に勝負を挑みレースで勝ちまくっていたのである。負けた相手は彼女の事を赤い魔女と呼びKAZAMAブランドの輸出用原付自転車はその信頼性と人気で飛ぶように売れていくのである。
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各地で連合艦隊の大勝利に酔いしれて提灯行列がお祭りのようにあちらこちらで行われていた。大手の新聞は日本の財政が厳しい事を知らされており戦争の継続をあおるような記事は無くなり「勝って兜の緒を締めよ!」とか「大国ロシアとの講和は今だ!」といった国民を和平に向けた方向に民意をもっていこうとしていた。
カザマ株式会社
自動車運転講習コース
風間社長
私は結城君にいわれて風間交通を子会社として立ち上げた。これからの時代に乗り合いバスや小型自動車を利用させて車の時代を作りたいといっていた。
まだ大型エンジンは開発中だが 市販をはじめた大人3~4人乗れる600ccの軽のワゴン車を使って乗客を目的地へ運ぶために貸し切られた自動車で未来ではタクシーと呼ばれるそうだが、これを大量に東京の街を走らせて商売することにした。
そうなると人力車の車夫達の仕事を奪う事になるため、、東京の車夫達に声かけて30人ほどが応募の話しを受けてくれて、自動車のドライバーになるために
結城君が指導して作った自動車講習コースを走って運転技術を身につける為、みんな技術を覚えようと必死だった。
コースを走れるようになると、坂道発進やバックによる車庫入れや縦列駐車などをきちんとできるまで何度も検定試験を繰り返した。それを卒業すると街中のコースを走らせ人が優先と交差点は信号がないので必ず安全確認をして、右折や左折の練習をした。もともと人力車で街中を走っている為、土地勘や人との接触は十分に注意していた。
最初の卒業生で20名程が合格して上野駅やデカい駅にそれぞれの車に人気の行き先方面を書いて定額の乗り合いタクシーを配置して営業を開始した。事前に予約をしてもらえば馬車に変わって簡単に貸し切りもできる、需要はあった。流行のものに敏感な江戸っ子は安い運賃で車に乗れて人力車よりも早く着くのである。
雨の日は大人気で何度も往復して客をさばいていた。こうして東京の街中にはカザマ交通と書かれた軽ワゴンが独占して走るようになり、人力車を廃業した車夫が次々にやってきて自動車講習コースはたくさんの車でいっぱいだった。
そしてついに12気筒6000ccのエンジンが出来上がった。試験室に設置された固定台にエンジンは乗せられ耐久テストが続いていた熱に強いステンレス鋼を大量に使いラジエターには氷点下でも凍らないような特殊な冷却剤を入れてある
6気筒を並列に並べてそれぞれから出ている6気筒の排気を1本にまとめて2本の排気管を外に出し耐久性能を検査することにした。重く腹に響くエンジン音この6000ccのエンジンで大型バスや工事車両それに軍事関係の車両に幅広くつかえると彼はこれを見て喜んでいた。
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帝国ホテルスイートルーム
結城
俺はこの部屋の真ん中にあるキングサイズのベッドの脇でエロ・ユウキから元に戻り身支度をしていた。そのベッドの上には乱れたベッドシーツに裸でうつぶせになりでかい尻にシルクの薄いシーツを掛けて横たわっている40歳を過ぎた熟女の赤毛のマーガレットが欲望を満たし満足した顔で俺をみつめていた。
「ビックリしたよ、マーガレットが米国の駐日公使の奥方とは、てっきり君が帰国して終わったと思っていたのに、、」
「私もよ、主人が出世してまた日本にきたのよ半年もしないうちにあなたから会いに来るとは思わなかったわ、主人と打ち合わせしている、あなたの横顔を見てとってもドキドキしてたのよ、」
「フフフフ、、な~にその政務官て、あなたが政治に興味があるなんて、前はそんなこと一言も言ってなかったじゃないの、、」
「あの時は金を稼ぐことで頭がいっぱいだったんだよ、、ところで公使はちゃんと大統領に連絡してくれたのかな?、、」
「連絡してたわよ、まるで自分が今回のロシアとの仲介を考えたような言い方をして部下達にも話し大統領に書簡を送っていたわ、うまくいけば自分の手柄になるよう考えているのよ、そいう人なのよ、、」
”それも、想定していたこれは駐日公使にとってもいい話だ、史実ではこの海戦が終わってから米国駐在の日本公使が直接大統領にお願いにいき向こうの手のひらで調整されるが、今回は違う、うまくこのマーガレットの旦那、、サイモン・カーター氏をうまく使ってやる、”
「ところで、俺達の関係は旦那にばれないのかよ、マーガレットは不倫してるんだぜ、ばれたらどうするんだよ、俺はこの国の政務官だし大問題になるんじゃないかよ、」
「フフフ、何をいまさらあれだけ恥ずかしいことを私にしておきながら、大丈夫よ、あの人はメイドのユリコに夢中で私が知らないと思っているけど陰では何をしているのかしらお互い様よ、私には関心がないのよ、心配しないで何かあってもあなたには迷惑をかけないわよ、フフフ、、あなたは私の大事なペットなんだから、」
”フ~、これでひと安心だぜ、なんせ歴史を変えようとしているのに、女が絡んでまた違う歴史になるかと思ったが大丈夫のようだ、、”
「また、旦那に今回の講和条件について打ち合わせにいくけど、俺と外務次官については旦那にうまくゴマをすっておいてくれよ、、」
そう言いながら俺は彼女の魅力的なデカい尻を撫でながら先にスイートルームを出ると帝国ホテルの立派な受付カウンターで支払いをして、外にでると桜の花を散らせた木々が今度は緑の葉を広げて春の日差しを浴びている昼下がりだった。
つづく、、、、




