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第85話 玲子欧州に行く


1905年2月



私の名前は日野明子、横浜の山手町フェリス女学院を卒業して、この五条商会に英語の語学力を生かして業務派遣の仕事について3年がたったわ。英国企業の会社に派遣されて取り引き先の日本商社との通訳窓口業務をしていた。


日本商社が連れてくるいいところの大学を卒業した営業担当の自信満々の英語は全く意味がわからず私の上司はいつも”what ?”と言って私の顔をみていつも通訳を頼むので、、、


私は次々に来る商社の人に「すみません、英語でなく日本語でお願いします。」と言っていいとこの大学をでた傲慢で自信たっぷりな若い営業担当者の鼻っ面をへし折るのが最近は快感になっていたのよ。


そんな毎日を楽しく過ごしていたら五条社長からついに正社員への辞令がきて私は昨年から大幅に年収が上がり後輩の語学指導という責任ある立場になった


そしてついに私の夢だった欧州への出張の話しがきたの、世界を見にいけるのよ、社長からお願いされた事は二つあり、、一つは社長の友人で玲子さんという人がリーダーになったグループ会社の風間発動機のバイクチームを英国を拠点にして半年ほど遠征先の宿泊や移動の手配をしたり場合によっては同行もして各地をまわったりすることだったわ。


もう一つは英国にペニシリンや血圧を下げる薬などの医薬品工場を稼働させるため、王子工場から出張する数人の製薬担当者のサポートも頼まれたわ。


すでに現地にはエドワード卿との共同出資による会社もあり、日本人スタッフも行っていて工場はほとんど完成している。春にはこちらと同じ内容で医薬品が次々生産されるそうだ。こんな大事な仕事をまかされて私はやる気いっぱいでした。


そして今、私はでかい旅行カバンを持って横浜港に来ている、玲子さんとそのバイクチームを待っていました。


これからの欧州での生活を考えるとワクワクしながら出航時間をまっていたのである。




玲子

銀座の化粧品についてはすべて愛子ちゃんにお願いしてきた。、、彼女は私と同じ21歳でかわいいお嬢さんだが、おっぱいは私の方が大きいし中身も未来人の35歳大人の女だよ、、な~んて、この時代の女の子と張り合ってもしょうがないが彼女はセンスがいい、


すぐにこの化粧品の使い方を覚えた基礎化粧品に肌の潤いを保つ方法にファンデーションやらアイラインこの時代の女子がこの化粧によって未来の女子と同じレベルまで仕上げることができるようになったのよ。


後はこの技術を使い百貨店やお店にくるマダムやその子弟をとりこにして売り上げをあげてはじめて一人前だ。彼女なら大丈夫のはず、、


アイドル計画もこの遠征が終わってからよ。尚美もまた医者家業に重点がうつりすっかり松原チエさんや山田まつこさんに任せっきりになったし、、


まあ、、二人ともベテランでやり手だから問題はないけど尚美がたまに銀座にきて業務の様子を聞いてアイデアをだすだけになってきたわ。


欧州に出発する日に風間発動機に行くと、この時代の技術で作った真っ赤なカウルを付けた直列2気筒の500cc排気量の水冷エンジンを装備した私の愛車が

風間発動機が初めて作った軽トラックの荷台にしっかりとベルトで固定されていて防水カバーがかけてあった。


それと未来と違い板金技術がまだつたないので曲面が少ない角型の4人乗りで後ろにも荷物室のスペースがある小型バン、今は後部座席は倒されスペア部品や遠征用の荷物や味噌に米と鍋などといっしょに私の私物でいっぱいだった。


私は風間社長や社員たちに出発の挨拶をして横浜港から同行してくれる日野明子ちゃんと合流して欧州に向かう豪華な客船に乗り、この時代の初めての海外旅行でめちゃくちゃ浮かれて胸がいっぱいだった。、、このバイクで海外の技術者を驚かしてやるつもりだった。



      ~~~~~~~~~~~~~~~~~



日帝大学医学部、、第二外科医局


北大路秀一医師

「サリバン先生、このあいだの手術で使った材料はなんですか、、鉄ではないですよね、、」


尚美

「バカね、鉄なんか使うわけないでしょう、体内で錆ちゃって感染症起こして大変なことになっちゃうわよ、、」


「あれはね、体内親和性を良くした医療用のステンレスていう材料よ、弟が開発したのよ、、」


「よく、そんな材料を思いつきますよね、、それがあればいろいろな物が作れそうですけど、、」


「そうよ、今たくさん試作しているんだから、腕は前腕と上腕それに右左に合わせての骨折部位に合わせてのプレートでしょ、どんだけ種類があると思うの

足だってそうよ、大腿骨に下腿骨それぞれの骨折部位が上部か下部それに右足用に左足用、これだって大変よ、、」


「そうだ、、清く~んいたかな、、お~い、、清く~ん」


「ハ~イ、お呼びでしょうか、、サリバン先生、」

そう言って二人にお茶を運び目の前のテーブルに置く井上先生、、、


「あんたさ~、本当に気が付く奴だよ、旅順で教えていた学生二人にあんたの爪の垢でも飲ませたい、、」


「実はね、あなたに、この骨接合に関わる手技をまとめて四肢のどこの骨折においても、そうよ、、、両腕と両足に関するすべての骨折治療の方法それと骨折部位にあった金属プレートとスクリューの選択のガイドブックを清君作ってよ~、、お願い、ちゃんと教えるからさ~、、」


「エ~、、サリバン先生が作ればいいじゃないですか、そんなもんができればどれだけ医療が進歩できる事やら、大変な騒ぎになりますよ、、」


「私がそんな面倒くさい事するわけないでしょ、それに何度も言っているじゃないの、、女がそんな発表しても妙に勘ぐられ馬鹿にされてしまうのよ、、」


「それよりもこの分野はこれから首から下の骨、関節、軟部組織、腱、神経と関りが大きくなるわよ、、外科医が全部まかなえないわよ、、」


「そうね、あえて言うなら整形外科、、オーソペディックス・サージョン( orthopedic surgeon)整形外科医になるわね、、清がその専門医になるのよ。」


「私がしてあげるわ、、オーソペディックス・ドクター(orthopedic doctor)日本、いや世界で初めての整形の専門医よ、、ボーン・ドクター(bone doctor)もかっこいいわね~」



北大路先生

「それだったら私にもやらせてくださいよ~、、なんかかっこいいじゃないですか、、あんまし生き死には関係なさそうで面白いじゃないですか、、」

「骨接合以外には何があるんですか、、」


「そうね、、後は骨変形ね、とくに膝や股関節なんかの病気は大変よ~、、今どうしているんだっけ、、」


北大路先生

「先生もたまに変な事聞いてきますね、、そんな病気には治療薬もありません痛み止めの薬をだすだけです。」


「そういう患者には人工の関節が作れればいいんだけど、、」


「エ~、そんなものが作れるんですか、、」


「バカね、、作れるわけがないでしょうよ、、今は作れなくても体に害がないような素材を研究したりして作ろうとする意気込みが大事なのよ、、」


「まあ、、いろいろあるけど、基本は今、試作している各種の骨接合の為の金属プレートを使った術式をガイドブックを作って広めることよ、、」


「まずは、ここの外科で興味のある医者を集めて勉強会からはじめようか、、清く~ん、ガイドブックよろしくね~、プレートとネジについてはさ~本郷通りの加納医療器店の社長さんに会って聞いてきて、、私の名前を言えば何でも教えてくれるから、、よろしく、、」




そう言って面倒な事はいつも誰かに頼む尚美だった。





つづく、、、、




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