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第83話 西園寺 公望との面会


1905年1月

赤坂にある政治家御用達の料亭


結城

俺は現在の衆議院において第一党の立憲政友会の党首である西園寺さいおんじ 公望きんもち(55歳)と面会する為に渋沢先生(64歳)とこの有名な料亭に来ている。 


すでに渋沢先生とは打ち合わせ済みで俺が未来から来たことを正直に話してこれから起きる陸軍の暴走により、軍部は政治に深く関与し国家の方針に大きな影響を与えて国民は地獄を見る事になる。


これを俺は15分ほどのこれからおきる未来の歴史としていろいろなDVDなどから画像を編集してこのノートPCに入れてきた。なんとしてでもこの人物を仲間にして政治の力も利用してこの日本の未来を俺が考えている。 世界をリードする先進国の日本に育てていくんだ。


渋沢先生と西園寺先生は知り合いで渋沢先生の関わった企業の役員にもなってもらい政治資金の援助もしている。まあ、スポンサーのような関係だろう、、


料亭の一番いい部屋に案内されて、手入れされた庭の景色が灯篭で照らされていた。二人で出されたお茶を飲みながら西園寺先生が来るのを待っていたら女将さんの案内で洋装のかっぷくのいい紳士が部屋に入ってきた。上座に座ってもらい渋沢先生が先に切り出した。


「西園寺君、元気そうだね、忙しい時に悪かったよ、、」


「いえいえ、、渋沢先生から用事があると言われればどんな時でも都合をつけますよ、、今日はどうしましたか、、」


「実は君に紹介したい人物がいるんだが、、、」そう言って俺を見つめる渋沢先生


「初めまして五条結城と申します。、今日は立憲政友会の党首である西園寺先生にぜひ見て頂きたい映像があるんですが、、」


「私に見てもらいたい映像、、それは今はやりの活動写真のことですか、、」


「違います、これは120年後の未来の技術で作ったものです、これから起きる歴史を見てもらいます。、」


そう言って俺は高級な黒檀座卓の上にノートPCを置いて映像を見えるように向けた。


脇で聞いていた渋沢先生が、、

「西園寺君、驚くかもしれないが、この五条結城君はとんでもない現象が起きて2025年から、この時代にやってきたこの先120年後の日本人だよ。儂も最初その話を聞いて、信じられなかったが彼の話しを少し聞いてもらえないだろうか、」



西園寺

”二人は何を言っているんだ、125年後の未来からきた、2025年年の技術でこれから起きる歴史をみせるだって、、渋沢先生には悪いが何を言っているのかさっぱりわからなかった。”


私は何を言えばいいか、言葉に困り、この五条という青年のやることを黙ってみていた。


”しかしこのうすい、黒い板はなんだ、景色が映っているガラスの板に下の板には数字やアルファベットのボタンついているが何ができるんだ、”


「西園寺先生それではこの画面をみててください、、解説しながら始めますがご質問がれば言ってください、まずは日露戦争がどうなるかお見せします。」


そう言いながら俺は映像をスタートさせた。


      ~~~~~~~~~~~~~~~~~


西園寺

”私は言葉がでなかった、ガラス板には陸軍が1905年2月21日から3月10日にかけて行われた奉天会戦と表示されその戦いが写し出されていた。ロシア軍が撤退して、満州軍総司令官 大山巌元帥が奉天の街を威風堂々と勝利の行進をしていた。


その次には連合艦隊の三笠を先頭に戦闘艦が勇ましく海をかき分けるように日本海を進んでいるのである、どうやったらこんな艦船のようすが撮影できるのだ、、


その海戦は日本海海戦、日付は今年の5月27日になっていた場所は対馬沖、そこにはバルチック艦隊と激しく戦闘する様子がはっきりと写し出されロシアの艦船が次々に火だるまになり沈んでいくのである。”  


「ちょっと、ちょっとまってくれこれはどういう事なんだ、このガラス板はどうなっているんだ、それに、今、写っているの連合艦隊なのか、」


「驚かせてすみません。先ほどもお話ししましたが、これは未来のテクノロジー、、科学技術がいろいろと入っている万能の器械です、このように動画、、つまりこの時代の活動写真のようにこの器械に記憶させた画像を映す事ができます。何度も言いますが未来では先生のこの時代は歴史として過去の事になりますので何が起きたか当然知っているわけです。


ここに写っているのは日露戦争を最後に決定づけた日本海海戦を再現したCG画像です、、この海戦によってバルチック艦隊は壊滅して連合艦隊は小型艦数隻の被害だけで大勝利します。」


そう言って俺は続きをスタートさせた。


      ~~~~~~~~~~~~~~~~~


西園寺

”そこには私の盟友である、小村寿太郎外務大臣と高平小五郎駐米公使が写り、そばには米国のセオドア・ルーズベルト大統領が笑顔で立っており二人と握手をしていた。場所は米国のポーツマス海軍工廠内で日付は1905年9月5日となっており日露講和条約の調印がなされたと説明が入っていた。、、”


「これは、ロシアとの戦争が終結したのか、その交渉の様子なのか、、」


結城

「はい、、そうです、日本があの日本海海戦の大勝利のあとすぐに米国のセオドア・ルーズベルト大統領に仲介をお願いしてロシアとの戦争終結に向けて交渉が始まり、最終的には日本は賠償金は取れませんでしたが満州の利権で我慢することになります。」


西園寺

「そうか、やはり、、賠償金はとれなかったか、わが国も戦争を続ける金はもうないからな、どこかで幕引きを考えていたが、、、、」


私は後は黙ってその続きを最後まで見せてもらった。


”1912年7月30日に陛下の崩御の様子が写しだされ、、嘉仁よしひと殿下が新しい陛下となり明治が終わった。年号が大正となった。そして1914年7月28日から始まった世界大戦は塹壕戦の凄惨な映像が続き、、1918年11月11日に英国や仏蘭西それに後から参戦した米国の勝利で終わった。その間にロシア革命が起きて今戦っている ロシア皇帝ニコライ二世が1917年3月15日に家族ともども処刑された内容がでてきた


次の映像で私は息が止まった。1923年9月1日この関東でとんでもない大地震が起きて火災旋風とやらで、避難した住民が黒焦げになった遺体や被害を受けた街の様子が映し出された。死者・行方不明者は推定10万5,000人で、明治以降の日本の地震被害としては最大規模の被害となって関東大震災と呼ばれるそうだ


そんな大正時代も15年間で終わり、嘉仁よしひと殿下も1926年12月25日崩御した。そして現在、4歳の裕仁ひろひと殿下がりっぱに成人した映像が写り年号が昭和に変わった。


そこから先は軍による国政支配によって満州事変、五・一五事件、二・二六事件、日中戦争拡大と続き太平洋戦争、、神風特別攻撃隊、米国の原爆投下によって長崎と広島の惨状が写り瓦礫となった東京の映像で終わっていた。私と同じ陸軍の拡大を嫌う立憲政友会の盟友の原敬・高橋是清・犬養毅が次々と陸軍の危険な思想をもつ秘密の組織に殺害されていた。凄惨な未来の日本を見せてもらい私は知らないうちに涙を流していたのである。”


「こ、これが、日本の未来なのか、、こんなひどい事が起きるのか、、」


渋沢先生

「何もしなければこの未来がこの先にまっている。、儂もこの未来を知ってしまい、酷いショックを受けた、、」


「だから、こうならないように、衆議院において第一党の立憲政友会の党首で陛下にも助言できる公家の血筋の西園寺君に協力してもらおうと相談にきたんだよ、」


「五条君が不思議な力で未来からこの時代に来たことを信じてくれるかい、」


西園寺

「こんな画像とやらを見せられたら誰でも信じますよ、ましてまだ4歳の裕仁ひろひと殿下が成人した画像は面影もありまさしく本人に違いない」

「それで、私はどうすればこの未来を変えることができるんですか、、」


俺はその言葉をまっていた。

「西園寺先生、僕を先生の政策秘書にしてもらえますか、未来では政治家には自分の政策を進めるためのアドバイザー的な専門家が傍にいて、忙しい政治家にかわりいろいろな政策に関わる詳しい事を専門に考える人材です。


最初にやりたい事は、今年の9月この日露戦争の終結でロシアとの講和会議に小村寿太郎外務大臣に同行して陰でルーズベルト大統領と先に交渉して味方につけて、この講和条件を必ず日本有利に持っていきます。


その内容によって満州の歴史の流れを変えます。これを変えてもまた危険な思想をもつ陸軍の秘密の組織が何かしでかすかもしれませんが、、それも対処する事を考えても先生のそばで政策秘書として自由に立憲政友会の中で発言できるようにしてもらいたいです。」


西園寺

「それは書生のような感じ、いやちがうな側近になるのかな、、毎日、私に付き添うのかな、、」


結城

「あ、すみません、僕も仕事をしていて、たまにしか伺えませんが先生がお困りの時はご連絡をください、必ず策を考えます。」


渋沢先生

「君もあの結核の治療薬”ストレプトマイシン”の記事を読んだろう、あの治療薬はこのさき50年ほど後に米国でできるそうだったが、あれは未来からきた彼とその姉が未来の知識を使って大学医師を指導して作ったものだ。」


西園寺

「え~、、あの治療薬はそうだったのか、姉さんは何をやっているんだい、」


結城

「ちょっと、変人な女医で英国で学んだ医師という事でサリバン尚美と名乗っていますが。本名は五条尚美 未来では外科医をしておりました。」


西園寺

「サリバン、、サリバン尚美、、あの陸軍大臣を土下座させた、、あの女医の事か、、ハハハハハハハハ、、そうだったのか~、陛下がすごく喜んでいたよ

女性も男性と同じ権利があってもいいと思っているから、この日本で初めての女医さんが生まれて、陛下の嫌いなあの陸軍大臣を土下座させギャフンと言わせたと言っておったが、、結城君の姉さんだったのか、、未来からきているんだから怖いものなしだな~、、ハハハハハハ、、、」


(未来人じゃなくても、本人が化け物のように怖い姉さんですから、、と言いたかった弟の結城であった。)







つづく、、、、、










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