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第74話 ある日の正岡子規


1904年10月

旅順に行っている結城と尚美の留守宅

幸子ちゃんが出してくれたお茶を飲み真剣な話をしている正岡子規と渋沢栄一


「渋沢先生よ~、これから日本はどうなっちまうんだい、、尚美ちゃん達がいない時にかってにDVDやらいろいろ歴史書なんか見てわかっちゃいるけど、大変な時代がくるんじゃね~か、、軍人が国を乗っ取ってとんでもね~戦争をおっぱじめるぜ、中国や台湾に朝鮮それにアジアの国々にとんでもね~ことをしやがって

最後は米国と戦争して原子爆弾とかで、大勢の国民が死んじまうんだ。、何とかなんねかな~、、、」と言いながらかりんとうを食べてる正岡子規


「儂も心を痛めているよ、本当にあんなひどい歴史がくるんだろうか、関東には大地震も起きて何十万も死んじゃうし、尚美ちゃんや結城もこの日露戦争で兵隊がいっぱい死ぬはずだったあの203高地の戦いも、そうならないようにガンバッテいるんだから、、儂らも何とかして、せめて軍人の暴走を止めるには新しい法律でも作らないとダメかな、、」と言って同じようにかりんとうを食べてる渋沢先生


「んだば、、政治家になったらいいべ、、おらが政治家だったら小作人の制度をなくして~だ、未来では小作人なんていねそうだ、自分の田んぼで楽な生活してんだべ、、あとはおなごの権利を増やすべ~、尚美姉様は未来ではおなごも男も同じ扱いで選挙権もあって国の指導者になったり、医者にも学者にもそれに軍人にもなれんだと、言ってたべ~、、そんな法律をつくるべ、」

と一番まともな事を言って自分専用の缶から、かりとうを食べてる幸子


「それってすげ~いいんじゃね~か、、渋沢先生よ~、、政治家にならね~か国のかじ取りをするのはやっぱり政治家だよ、軍人が国を動かすようじゃ終わりだぜ、、確か二・二六事件とかいってとんでもね~ことをやらかして武器をチラつかせ政治家を脅しまくってとんでもね~や、、そして幸子ちゃんの言うように小作人制度の廃止だ、、農地改革だよ、、それと男女均等法もいいじゃねか~、、女の医者や政治家や学者、女も軍人もなりたきゃなればいいじゃねえ~か、、」


「政治家か、う~ん、、いっそのこと今の衆議院第一党の立憲政友会と第二党の憲政本党を上手く使えないかな~、結城が帰ってきたら相談するか、あいつなら面白い事を考えそうだ。」と言いながら日本の未来を”かりんとう”を食いながら心配する三人だった。


     

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~




1904年10月


根岸にある正岡子規の自宅


同じ松山の出身で幼馴染の正岡子規の自宅を訪ねるのは第一艦隊旗艦「三笠」に乗艦する第一艦隊参謀、秋山あきやま 真之さねゆき海軍中佐


※秋山真之は幼名が淳五郎じゅんごろう、正岡子規は幼名がのぼる



「ごめんください、、のぼさん、いるかい!、、」


妹の律さん

「あらま~、じゅんさん久ぶりです、、どうぞあがってください、、」


居間に上がり正岡子規を見つめる秋山真之海軍中佐

「なんだよ、、のぶさん、また太ったんじゃね~のか、、いっときは労咳の喀血であんなに痩せていたのにこんなに元気になるもんかね、ほらのぶさんの好きな”かりんとう”土産に買ってきたぜ、、」


そう言って律さんに土産を渡して座布団に座る秋山


「あたりめ~だよ、前にも言っただろう、腕のいいおなごの先生が面倒みてくれて生き返ったのさ、それから律が作る飯がうまくてしょがね~や」


「ところで、じゅんさんはこっちにいても大丈夫なのかい、たしか、旅順の海で警戒してたんじゃね~のかい、、」


「あ~、陸軍さんがあの旅順艦隊を沈めてくれたおかげで船の整備で陸に上がる事ができたんだよ、、あとは強敵バルチック艦隊との決戦だけだ、、」


”おいらは知っていた、尚美ちゃんの家のDVDと歴史の資料を勝手に見て、ウラジオストク港を目指し対馬海峡を突破しようとしたバルチック艦隊を連合艦隊が阻止・邀撃する形となり、バルチック艦隊は艦艇のほぼ全てを損失した一方で連合艦隊の被害は小艦艇数隻のみの喪失に留まり連合艦隊は海戦史上稀に見る大勝利することを、、だがこいつは、それまで迷っていた。北の津軽海峡をバルチック艦隊が通過するのではないかと、、”


「なんたってバルチック艦隊は戦艦が8隻に対してこっちは4隻しかいないんだぜ、、砲撃力では向こうが上だよ、だからこっちは死ぬ気で訓練して命中率を上げるしかないよ、それに何があるかわからないからな、今のうちに知り合いにはみんな会っておこうと思ってきたのさ、、のぶさんの元気な顔を見られてよかったよ、、」


「そうかい、そうかい、大丈夫だよ、お前さんはぜって死にやしね~さ、、きっと大勝利に終わって帰ってくるよ、ほら、おいらは一回死にそうになっただろ、、あれから、妙にカンがよくなっちまってさ、、いいかいおいらの言う事をよ~く覚えておいてくれよ、敵は必ず対馬沖に来るから迷うんじゃね~よ、対馬沖だぜ、わかったな、、」


「ハハハハ、、そうだよな、、一回死んじまってもおかしくないのぶさんのいう事だ、、分かったよ、信じるぜ、、ハハハハ、、」


「そうだ、、そうだ、おいらを治してくれたおなごの先生が、おめ~さんにど~しても会いて~と言っているんだ、なんでも三番目に気に入っているとか言ってたな、この戦争が終わったら会ってやってくんね~かい、、」


「エッ、なんだい、その三番目ていうのは、、一番と二番は誰なんだい、、」


「あ~、聞いてなかったわ~、、本人から直接、聞いてみな、、」


「フフフ、、面白そうな女医さんだな、、バルチック艦隊との海戦で生きて帰ってきたらいつでもいいぜ、、、」


そう言うと律さんが、お茶を持ってきて三人で子ども頃の話で盛り上がるのだった。



        ~~~~~~~~~~~~~~~~~


1904年10月

またまた根岸にある正岡子規の自宅


そこを訪ねるのは夏目漱石、、予備門の同窓生だった2人は数年間苦楽をともにした親友であった。


妹の律さんは不在だった。


「お~い、マサオカ、、いるか、、勝手に上がるぞ!、、」


「お~、、あがれ、、あがれ、、」


「何だお前、また太ったな、、ほら、、土産だ、、」

と言って袋に入った”かりんとう”を渡す夏目漱石、、


”夏目漱石は日帝大で小泉八雲の後任として文学部で教鞭をとっていたが教え子の自殺にいろいろなトラブルと風評被害により心の病にかかり、職場を変えて今では他の大学で臨時の講師をしていた。そして、こいつのことは尚美ちゃんの家で最初に気になり勝手に百科事典とかいうやつで調べた。


これからこいつは他の友人のすすめで気晴らしに書いた処女作になる『吾輩は猫である』を執筆そして『坊つちやん』と立て続けに作品を発表し、人気作家として有名になるのだ、その内容もおいらは知っていた。”


「ずいぶん久しぶりだな、、おめ~さんどうしてたんだよ、、」


「あ~、今は他の大学の臨時講師で、どうにか食いつないでいるよ、前の大学では酷いめにあったからな、」


「わかるぜ、えれ~人ほどプライドが高いからな~、人間関係ほど難しいもんはね~よな、、」


「どうだい、いっそ気晴らしに、そんな人間様をなんか、他の生き物の目で見て思った事を小説にでもして書いてみちゃどうだい、、おめさんは文才があるから面白れぇもん書けんじゃね~か、、それに他の生き物が人間様を見て言う事だ、おめ~さんが言えなかった事を書きゃずいぶんと気晴らしになるぜ、」


「エッ、、なんだそりゃ、おもしそうだな、その生き物は何がいいんだ、、」


「そりゃ~、おめ~、いるじゃね~かよ、例えば、犬とか、ニワトリとか、そうそうネズミもいいな、、」”早く気づきやがれ、このトンチンカン、”


「おめ~、、好きな動物はいね~のかよ、、」


「そうだな~、ガキの頃は猫が好きでよくかまって遊んでいたな、、」


”デタ~~!!”

「それだよ!、それそれ、、てめ~が猫になったつもりで世間の事を見て思った事を書いてみな、、そうだな~書きだしは、”俺様は猫”も変だし、”猫になった俺様”、、じゃね~しな、、なんかいいのはね~のかよ」


「え~、、それだったらそうだな、『吾輩は猫である』が一番しっくりするかな~、、」



”キタ~~~~!!”

「それ~~、、、、最高~~~!!、、それで、おめ~さんが思った事を小説に書いてみろよ、面白い内容になるぜ~、、」


「う~ん、、”吾輩、吾輩は、猫である、名前が、いや、名前はまだ無い”、すげ~、なんかどんどん書きたい事が出てきたぜ、、悪いがもう帰るよ、マサオカありがとな、、、」


「お~、いつでもこいや、次のネタも考えてやるぜ、、フフフフ、、」



こうして夏目漱石の処女作になる『吾輩は猫である』は、ちょっとだけ早く出版される事になったのである。





つづく、、、、




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