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第69話 旅順の戦い その6

いつも読んでいただいてありがとうございます。



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


203高地の向かいにある大頂子山

観戦武官用の天幕


結城

ここには数十人の海外から来た観戦武官がまるでサッカーの試合を見るように双眼鏡を片手に戦争をゲームのように見ていた。、、テーブルにはワインとグラスに食べ物がのっていた。



朝、6:00の一斉砲撃を見て、、すごい、、すごい、、と子供が花火の見物にきたように喜んで見ていた。双眼鏡でロシア軍の陣地が吹っ飛び大砲やロシア兵が宙にぶっ飛ぶところでは笑いながらタバコを吸って見ていた。、、この欧州組の観戦武官を見ていて俺はあと10年したらお前たちが砲撃か機関銃の的になって吹っ飛ぶんだぜ、と大声でいってやりたかったが、となりに、親友のマークがいたので静かにしていた。



それと、、冷静にこの203高地の戦いを見ている年配の米国の駐在武官が気になってしょうがなかった。、、マークの所に夕飯を御馳走になった時に参加していた観戦武官の方々には挨拶して回ってきたんだが、この人物はアーサー・マッカーサー・ジュニア駐日アメリカ大使館付き駐在武官として日露戦争を観戦

しに来ていると言っていた。



俺はさりげなく彼の近くに行って話しかけた。、、「日本軍の攻撃についてはどう思われますか、、」



「すごいよ、、これは軍の教本になるほどだよ、、歩兵の犠牲を少なくするために塹壕を構築して、機関銃からの犠牲を押さえながら敵に近ずき最大火力を

集めて最後は多方面からの一斉攻撃、、無駄が何もない、、勉強になるな、、儂でも思いつかん新しい戦術だ、、これは国にも報告させてもらうよ。ユウキ君は確か、、あのヘルメットも作ったそうじゃないか、、10個ほど売ってくれないかな、、」



「そんな~、、閣下にはまた東京でお会いしたいので差し上げますよ。、、東京の御邸宅に伺ってもよろしいですか、、」



「もちろん、、歓迎するよ、、」


「ところで、、閣下には御子息でダグラスさんでしたっけ、、そのような名前の息子さんはいらしゃいますでしょうか。、」



「なんで知っているんだ、、三男の名前がダグラス・マッカサーだよ今は24歳の陸軍士官だが来年になると、、駐在武官として儂の副官で日本に着任するんだよ。」



”ゲゲゲ、やっぱりこの方はあの第二次世界大戦後に日本を占領した連合国軍の最高司令官ダグラス・マッカーサーの父ちゃんだよ、日本にいたのかよ、”


(史実でもこの日露戦争の観戦武官で戦場に来ている。)



俺は心臓が飛び上がるほどびっくりしたが、、ここで一生懸命に自分を売り込み、桜が刻印された、、土産用に持ってきたジ〇ポーを差し上げたらめちゃくちゃ喜んでくれた、、いつでも遊びに来いと閣下に気にいられてしまった。、俺は来年になったら来日するダグラス・マッカーサーとの面会を考えるとなにしゃべろうかと今からわくわくしてしまった。




その頃姉さんは、、、一大事だった。


尚美

私は腕や足に敵弾を受けている兵士に止血して痛み止めの注射をしたり、、防弾プレートで弾を受けて失神している兵士にはアルコールの気付け薬で意識を戻し担架兵に任した。



一郎と庄吉は近くでやたら倒れてる兵士を見かけると、、、二人競うように黒いトリアージをつけているので私はそんなんに死んでいるのと思いながら、彼らが黒いトリアージカードを首につけた兵士に近づくと「う、、う~ん、、」と意識が混濁していてどうも気絶していたようだ、、、


「てめら~、、、、こっちにきやがれ~、、」


「は~い、、何ですか~、、」と、二人揃ってこっちにやってきた。


「この兵士に黒いトリアージカードつけたのはどっちだ!」



庄吉

「僕で~す、、」


「この兵士を見てみろ、、どこが、、黒いトリアージカードだ気絶しているだけだろ、、まちがえるな!、」


庄吉

「あ~、、よかった、死んでいなかったですね、、」


「ばかやろ~!、、てめ~が、、死んだことにしたんだろうが!、、、ここで見ているからもう一回二人でいしょに見直してこい、、」



そうして二人はもう一度、自分達がつけた黒いトリアージカードの兵士を見直しにいった。


「あれ、、生きてました。、、こっちも、、大丈夫です、、」



「このやろ!!、何人の兵士を生きたまま殺してんだよ、、バカヤロ!、」



「先生、この人も生きてましたが、出血がひどいです、、早く来て下さい、」



「何!、、」

私は急いでその兵士に近寄った、、何発もの銃弾が当たって気絶しており防弾プレートの端を砕いてその左の腹の端に弾痕があり出血していた。貫通はしていなかった。、すぐに弾を取り出し出血場所を止血しなければいけない、



私は肩からメディカルバックを下ろすとすぐに点滴の用意をして脇に立っていた庄吉に、生理食塩水の瓶をもたせ点滴の瓶側の金属針をそこに刺してクレンメを止めてラインの端のプラグも庄吉に持たせた。



そのあいだに一郎がすぐに着ている服をめくりあげ、痛み止めのモルヒネから適量注射器に吸って傷の周りに注射していた。


間違いないか薬の瓶を見たがちゃんとモルヒネから吸っていた。、、そして私は血管に留置針を刺すと点滴のラインを庄吉からもらいそのコネクタにつないで小さな硝子のチャンバーに落ちる点滴の量をクレンメで調節しながら出血した血液を補填するように生理食塩水を流し込んだ。


そして消毒液とガーゼを出して傷口を消毒すると、、愛用の外科用メスを取り出し弾痕を切り開き、指先に弾の場所を確認していたら今度は庄吉が右手でポケットからコッヘル鉗子を出して渡してくれた。



こいつら、と思いながらそれを受け取り左手の指さきで弾の位置を押さえながら右手のコッヘル鉗子でそれを掴むとうまく弾を取り出す事が出来た。



そこへすかさず一郎が大量のガーゼを渡してくれて、それを受け取り中の血液を吸わせて出血場所が分かるように何度もガーゼを入れ替えその場所が見えた私は左指でそこを押さえ一郎が渡してくれた、、ブルドック鉗子でその上部を挟み止血した。傷口をそのままにしてあとは救護所で血管を縫ってもらう為でかい止血バンドで腹部をまいて処置が終わった時だった。


”パ~ン、、パ~ン、、”と銃声が聞こえたと思ったら一郎が腹部の防弾プレートを撃たれて、、”ぎゃ~”と叫びながら倒れてしまい、、庄吉は”痛て~”と言って背中の防弾プレートを撃たれたが点滴瓶は大事に抱えながら顔面から倒れ込み鼻血を出していた、、点滴瓶は無事だった。



私は腰のリボルバーを抜きながら撃ってきた方を見るとすぐ近くの塹壕の上に若いロシア兵二人が立ち上がりニタニタと笑いながら、槓杆こうかんを操作して空薬莢を飛ばして次弾を装填するところだった。



私は腰だめに右手で銃をかまえるとその撃鉄に左手をのせ二人に向かって「このやろ~、死にやがれ~!、」と叫ぶと、、一気にパパパパ~~ンと全弾を撃ちこんだ。、、が一発もあたらなかった。



驚いたロシア兵は一瞬ひるんだが、、一発もかすりもしなくて、、二人は顔を見合わせてゲラゲラ笑ってから一人が尚美に向かってそのモンシ・ナガン銃の銃口を向けて狙いを定めた時、、後方から”パーン”と銃声が響き、、そのロシア兵は頭を撃たれてそのまま倒れて即死した。



それは若頭だった戦局が有利になったので尚美達が気になって一人下山してきたのだった。 若頭がもう一人を狙って引き金を引くと、、弾はでなかったジャム(Jam)たのである。、、、、※「弾詰まり」



もう一人のロシア兵が若頭をにらみつけて銃の作動不良に気がつき不気味な笑みを浮かべて若頭を狙い銃を構えようとした時、


尚美はおちていた愛用の外科用メスを拾い大きく振りかぶり「安じ~、、おねが~い、、奴を殺して~、、」と言って柄を握った外科用メスをこれでもか~と、、きれ~いなフォームで思いっきり、、投げた、、が少々明後日の方向だった。




”安じ~”

「ぎゃ~、全然方向違うじゃね~かよ、しょうがね~な~任せとけ!、ヨッコラセ~、、ヨッコラセ~、、ヨッコラセ~ときたら、、ヨッコラセ~、、、」



そう言いながら”安じ~”は自分で外科用メスの軌道を変えはじめた。




それは、、フリスビーのように横へ大きく変化する。スイーパーと呼ばれるような軌道を描いて油断していた、ロシア兵の首に食い込むと”安じ~”得意のバイブレーションで動脈まで食い込みギャ~と悲鳴をあげてプシュ~と首から血を吹き出しながらそのロシア兵は倒れて出血死で絶命したのである。








つづく、、、、












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