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第67話 旅順の戦い その4

いつも読んでいただいてありがとうございます。



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


二十八糎榴弾砲は9月初めに大連から旅順に送られており203高地越しに旅順艦隊を攻撃できる場所には火砲を据え付ける砲床工事が進んでいた。


砲身や閉鎖機や基礎の部分などで合計でも約33tもある攻城砲である、コンクリートを流して乾かすのに3週間かかるといわれた砲床構築を地面を深く掘り下げたうえ、砂利・土その他補強材を混ぜて入れて突き固めて強固な一定の層を作り、これを何度も繰り返して強固な基盤を作り木材を敷いて砲兵隊は9日でこれを完成させた。そこに数百人の兵士によって特別なトロッコで運ばれてきた砲身や砲架それに架匡が運ばれてきて9月の末には準備が整ったのである。



203高地、午前6:55


乃木少尉

”ピ~、、ピ~、ピ~、、着剣~着剣~“と各中隊長の笛が響いて着剣の声が聞こえてきた、、私は右手で南部式大型自動拳銃を抜くと大声で”着~剣~、突撃準備、”と自分の小隊の兵士に声をかけた。 


部下達のヘルメットや防弾ベストがちゃんとしているか見渡して前方を見ると敵陣地ではまだ「ド~ン、、ド~ン、、」と爆炎が続いていた山からは砂煙や火薬の臭いが風にのってこちらまで漂っている、敵の塹壕までは100mもない、鉄条網までの途中には夜間に設置した土嚢壁が随所に出来ている。


まず、最初の土嚢までが勝負だ、みんな真剣な眼差しで土嚢を見つめていた。


そして突撃ラッパが響いた、私はおもいっきり叫んだ、「とつげき~!!」




ロシア軍頂上陣地


丸太と土嚢を積んだ戦闘指揮所、、ホコリが舞い落ちり、開口部から飛んできた破片で額から血を流しているベドロビッチ少佐、周りでまだ日本軍の砲弾が大地を揺り動かしている、、副官が大声で”日本軍が突撃してきました”、、と言ってきた、私は脇にある電話を取ると、、砲兵隊指揮所の堡塁に連絡した。



「やっと日本のサルがやっと出てきました。一斉砲撃、、おねがいします」、ガチャンと電話を切ると、、双眼鏡で山を登ってくるサルどもを見ていた。


この203高地は、攻撃を受けていない他の砲兵隊の射程距離に入っていたのである。


そして、他にも過酷な砲撃を耐えて生き延びた、、顔を埃で汚れたロシア兵は機関銃座のマキシム機関銃のサイドのハンドルをガチャンと引いてサルにむかっての発射準備を整えていた。


掩蔽壕からも生き延びたロシア兵が塹壕の中をモシン・ナガン銃を抱えながら自分の持ち場へと駆け足で急いだ。





203高地の中央の交通壕から攻撃する第一師団、歩兵第二連隊

連隊長真田中佐


私達の連隊はどうにか鉄条網の手前の土嚢までたどり着いた。ここまで大変な被害だ、敵からの砲撃がまともに我々の連隊に降り注ぎ、、4~5人の兵士が

あちら、こちらでまとめて吹っ飛び、血だらけになっている、、榴散弾はこのヘルメットのおかげで、何度もはじいてくれて大変ありがたいが、、、このままでは動きがとれない、、


「ああ、、ダメだ!、そこの、、小隊うごくな~!」と大声で叫んだが聞こえなかった。、10数名を引き連れた少尉がサーベルを上げて“突撃!、”と叫んで切断した鉄条網を乗り越え敵の塹壕に向かっていったが、、べトンで固められたマキシム機関銃の銃座が生きていて閃光が光った、”バババババババッバ~”と連射によってバタバタと倒れてその小隊は全滅した。


くそ~、、近くの土嚢の遮蔽物から小銃で反撃していた他の小隊の少尉に指示した、、「あの、、機銃座をつぶさないとうごけない、新しくきた手投げ弾はあるか!」


その少尉は部下たちに聞いて手投げ弾を集めてきた、、、私は、、「よ~し、いいか援護射撃するからあの機関銃座の横にできた、でかい穴まで誰かいけるか、」


”はい、、”と若い兵士が手をあげた、彼に少尉が手投げ弾を渡した、、「みんな、、合図したら一斉にあの銃座をに射撃して牽制だ、、、よし、、撃て~」


十数名の兵士が一斉に射撃した”バンバンバババッバン”、、その若い兵士が腰をかがめ走りだしたが穴に取りつく前に機関銃でやられてしまった。、私は心を鬼にして「次は誰だ!、、」と叫んだ。


そうして4人目が無事に穴に取り付いた。彼は持っていた3個の手投げ弾を頭のヘルメットに信管を打ち付けて点火して次々とマキシム機関銃の銃口が飛び出しているべトンの開口部に放り込んだ、、「ドゥ~スン、ドゥ~スン、ぎゃ~、ドゥ~スン、、」とくぐもった爆発音が響き,、機関銃座から白煙が噴出した。


私は、、「いまだ~突撃~」と言って、この機銃座で動きがとれなかった数十人の部下と敵の塹壕に飛び込んでいった。




乃木少尉

正面から攻めていた歩兵第二連隊がまともに敵の砲撃を受けていた時、左側面から攻め上げてきた我々の第一連隊、、、敵からの砲撃は散発的にきていたが

マキシム機関銃が生きていた。、丸太で覆った機銃座、、四か所から閃光が光るたびにバタバタと兵士が倒れていくのである。


私の小隊は無事に鉄条網の前の土嚢障壁まで来たのである。、ほとんどの部隊がこの機銃座で身動きができないまま鉄条網の前の土嚢まで前進できていた。


大庭二等兵が、「少尉、、俺があの機銃座をつぶしてきますよ、まかしてください、、」そう言って、、みんなから手投げ弾をもらうと懐に入れて切断されている鉄条網から気づかれないようにほふく前進で機銃座に近づいていった。


私は、、ほかの兵士に機銃座への威嚇射撃を命じた。


機銃座が私達の射撃に反応して、、こちらの土嚢に向けて、”バババババババッバ~”と激しく反撃してきたが、、弾が切れたのか突然静かになった。


頭を出して見るとちょうど銃座の脇に大庭二等兵が張り付き頭のヘルメットに手投げ弾の信管を打ち付けて点火して開口部に放り込んだ。、、「ドゥ~スン、ぎゃ~」と爆発音がしたらまたもう一発ヘルメットに信管を打ち付けて点火して投げ込んだ、、、「ドゥ~スン、ぎゃ~」とまたしても敵の悲鳴が聞こえてきた。


私は南部式大型自動拳銃を右手に持ち「突撃~」と大声を出して敵の塹壕に向かって飛び込んでいった。、、すでに大庭二等兵が銃剣で二人のロシア兵相手に白兵戦を挑んでいた。


大庭二等兵に銃剣を突いてこようとしたデカいロシア人を私は自動拳銃で”バ~ン、バ~ン”と二発撃ち込み、倒した、それでひるんだもう一人はそのすきをついて大庭二等兵が突き刺した。、、そして、私達の小隊と第二陣の小隊も飛び込んできて、塹壕を移動しながら、残りの機関銃座をつぶし頂上を目指してひたすら駆け上った。


第一師団はそれぞれの連隊が三陣に渡る攻撃隊を編成していて、右側面を攻めあがる第一師団歩兵第三連隊は敵の大砲からは死角となっておりて敵の機関銃座も1か所で残りは味方の砲撃でつぶされていた。波のように次から次へと一斉攻撃して第二陣が最後の塹壕に飛び込むと残りの無傷の第三陣が頂上にある最後の敵陣地に突入していった。



一人の、少年のように若い十代の兵士がハァ~ハァ~と息を切らしながら着剣した三十年式歩兵銃を握りしめて頂上の丸太と土嚢を積んだ戦闘指揮所に飛び込んできた。


そこには砲撃で負傷したベドロビッチ少佐が立っており驚いた顔でその日本兵と目を合わせた。その傍には指揮所に直撃した砲撃で耳や鼻から血を流して死んでいる副官が倒れていた。


その若い兵士は鬼のような形相でベドロビッチ少佐の胸めがけて渾身の一撃で銃剣を槍のように突いた。


しかし、彼はその突きをかわして両手でそれを奪い脇に投げ捨てた、、そして勝ちほこったベドロビッチ少佐は、腰のベルトの拳銃が入ったホルスターのカバー外しナガンM1895リボルバー拳銃を抜こうとしたら、、ドス~ンとその若い兵士が体当たりをしてきた。、ベドロビッチ少佐は腹に激痛を感じ下を見ると白木の柄に刃物がついていてその白木の柄を両手でしっかり握った若い兵士が腰だめに刃物をかまえ体重を乗せての最後の一撃だった。


肝臓を刺され床に倒れたベドロビッチ少佐は出血で薄れていく意識の中、、その若い兵士が私の腹から抜き取った血だらけの刃物を、私の軍服でぬぐうと床に落ちていた白木の鞘を拾い刃をしまい、その鞘を両手にもち額にあてて大事そうに拝んでいた。


白鞘に、、”尚美♡”、、の日本語を見つけあれはどこの神様なんんだろう~と思いながら、苦しまず死ねる事を自分の神に感謝しながら私は、、まぶたをゆっくりと閉じた。




この若い兵士は龍三親分の家で眼をキラキラさせながら白鞘に入ったドスを持ってきて「サインを下さい、、」とかわいい声で言ってきた。






、、サイン第一号の尚美姐さんの子分だったのである、、、








こうして激戦が昼前に終わり、、203高地の頂上には旭日旗が強い風にはためいていたのである。






つづく、、、、


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