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第66話 旅順の戦い その3

いつも読んでいただいてありがとうございます。

加藤少佐の所属と階級について変更させてもらいます。、所属の第九師団はそのままで歩兵第七連隊で中佐とさせていただきます。


それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


1904年9月


結城

俺はこの旅順攻略戦が史実と大きく違い堅実な攻城戦に変わった事に気がついた。  


なんで8月19日から数日間かけて大勢の兵士が敵陣に向かい機関銃と敵からの砲撃でバタバタとやられると思っていたが、、そんな事は起きなかった、、それどころか、、203高地では堅実に塹壕のような交通壕が頂上に向かってジグザグに作られていくし、、第十一師団は東鶏冠山北堡塁や二龍山堡塁と盤龍山堡塁向けての坑道を掘り始めた、、それどころか暇な兵士がブリキ缶に火薬を詰めて手投げ弾を作ってるし、


これはもう少し時間がたってからだろ、、誰が教えたんだ、、と、思ったが、一人しか思いつかなかった、、姉さんだ、、、そう思い姉さんに事情を聞いたら、、酒で酔っ払いべらべらとよけいなお喋りを乃木少尉に聞かせて歴史が変わっちまったそうだ。


まあ、ヘルメットやら防弾装備もこの時代にはないからな、これで優秀な士官や兵士が大勢助かっただろう、、、内地にいるプライドが高いキャリア軍人達とは違い現実の戦いを勇敢に経験して死ななかった士官達がまた新しい兵器を作ったり、高級官僚を叩きつぶし出世して、あたらしく歴史に残る人物もでてくるかもしれないな、、それもしょうがないか、、そうだったら早く旅順の戦いが終わらないかな~もう東京に帰りたいよ、、二十八糎榴弾砲はどうなってんだろうと思っていた。





柳樹房りゅうじゅぼう第三軍司令部


第一師団長の松村務本まつむらかねもと中将とその参謀それに第九師団、歩兵第七連隊加藤中佐と海軍の岩村団次郎中佐がでかいテーブルの前に座っていた。


その上には作戦地図が上がっており向かいには乃木司令官と参謀副長大庭と作戦参謀白井に203高地攻略についての作戦会議をしていた。伊地知参謀長は体調を崩して欠席だった。




松村務本中将

「工兵隊の努力で中腹までの交通壕が三方の方面より掘り進め完成いたしました。、、また、各方面とも、鉄条網までの土嚢による障壁も3陣までまばらではありますが十分な数を置いてあります。、、これにより敵陣への突撃が容易になり必ず203高地を陥落させてみせます。」



白井

「それでは、明日の朝6:00にすでに配置についた第三軍の配備された全ての野砲と重砲120門による一斉砲撃を敵陣に打ち込みます、一時間後の午前7:00に突撃を開始してください、それから敵塹壕に取り付くまで砲撃は続けますので各兵士によくお伝えください。」


「それは、味方にも大砲の弾が飛んでくるかも知れないということですか、」


「砲兵の観測員も配置して味方歩兵の前方を狙いますが流れ弾もあります、ですが敵の機関銃の威力を考えると、少しでも砲撃で敵をひるませ突撃の援護をいたします。」


「了解しました。」


大庭

「内地の大阪砲兵工廠より手投げ弾が届いております、、使い方は箱の中に入っておりますので兵士に説明して活用してください、、」



「ありがとうございます、、ブリキ缶はあまり威力がなくて、困っておりましたから、新しい手投げ弾は期待しております。」



白井

「それと山頂を占領後は第七連隊の加藤中佐が支援で第三軍に配備された保式機関砲20門を装備して守りにつきますので、第一師団の攻撃に参加した連隊は

一度下山後、、再編成してから装備を整えて第七連隊と交代してください、、以上です。」



岩村

「海軍として知りたいのはそこから旅順艦隊が見えるかどうかです、、頂上を落としたらすぐ確認してください、、」


白井

「海軍さん任せてください、必ず旅順湾は丸見えですよ、、あとは二十八糎榴弾砲の取付が終わったら艦隊は壊滅ですよ、」


加藤中佐

「敵が奪回に来た時は支援砲撃していただけるでしょうか。」


白井

「もちろんですよ、、加藤中佐、第一師団が再準備ができるまでの翌日の朝まで頂上の確保おねがいします。」


加藤中佐

「はい、了解しました。」



会議の最後の挨拶をする乃木司令官

「ご苦労様です、、兵士の命は消耗品ではありませんので無謀な突撃は避けて下さい、、よろしくお願いします、」



松村

「はい!、、必ず、明日の攻撃で203高地を陥落させてみせます。」


こうして第一師団の203高地の攻撃準備ができたのである。



当日の朝

朝やけが差し込んできた203高地、ザク、ザク、ザク、と足音を立て隊列を組んだ第一師団の約12000名、各連隊はそれぞれの配置につくために三方に作られた交通壕を腰をかがめ三十年式歩兵銃をもって進んでいた。そこには尚美とあの馬鹿な学生二人が防弾チョキの上から赤十字のゼッケンをつけ衛生兵のヘルメットをかぶり若頭の小隊についてきたのである、、砲撃まであと30分であった、、




ロシア軍頂上陣地


第一師団の動きを頂上の丸太と土嚢を積み上げ補強してある戦闘指揮所から双眼鏡でベドロビッチ少佐がつぶさに見ていた。



副官が「少佐、、兵士は全員、配置につきました。」と報告をいれた。


「悪いが、、参謀本部のコンドラチェンコ少将に電話をすぐ入れてくれ、、」


俺は副官にそう指示した、、



”敵が多すぎる、、おそらく一個師団での総攻めだ、、こちらの3倍はいるんじゃないか、、くそ、、、ここはべトンで固めた堡塁と堀がないからやばいぞ。

丸太と土嚢で固めた機銃座がほとんどだ、、小さいべトンで固めた砲座もあるが、この数で三方から攻められたら時間の問題だ、、”


「少佐、、コンドラチェンコ少将につながりました。」


そう言われ俺はひったくるようにその受話器をとった、、



「コンドラチェンコ少将、、こちら203高地守備隊のベドロビッチですが、、応援がこなければ、、ここはもうおしまいです。、えっどうしたって、、敵ですよ日本のサルどもが三方からの総攻めです、一個師団がまるまるこの山のふもとから登ってきます、、こちらの3倍以上はいます大至急応援を下さい、、はい、、えっ、、”部隊編成してからここまでは急いでも午後までかかる”それまでここを死守するんですね、はい、わかりました、、、」ガチャンと電話をきった。



私は丸太の壁に掛けてあったイコン(聖像)に向かい十字を切って、、、、今日の戦いでは苦しまないで死ねるようお願いをした。



、、、ぜったい、、午後まではもたないだろう、、、



朝6:00それは壮絶な砲撃から始まった、、、史実と違い要塞全面での攻撃をしなかったので、砲弾の備蓄は十分に蓄えられていて、、さらに第三軍のほぼすべての野砲おび重砲がこの203高地の敵陣地に照準をあわせて砲撃がはじまった。



尚美

私は炊事兵が朝早く起きて作った戦闘携帯食の味噌をつけて焦がした焼おにぎりを口にほうばりながら交通壕のふちの土嚢から頂上を見ていた。


「ド~ン、、ド~ン、、ドド~ン、、ド~ン、、、」まるで山が噴火しているような噴煙と爆炎が山を多いつくしていた。、ここまで埃と火薬の臭いがやってくる。、、あの砲撃で敵は塹壕の中で震えているんだろうと思っていた。



隣りには若頭が私達を気にして、、「姐さん、、気を付けてくださいね、、必ず戦闘が終わってから飛び出してきてくださいね、、敵の機関銃の弾はどこ飛んでいくかわかりませんから、そっちの学生さんも気をつけるんだよ、、」



馬鹿の庄吉が

「サリバン先生なんで僕たちも戦場にこないといけないですか、、救護所で治療すればいいでしょ、、」



「あんた達~、、この兵隊さん達がお国の為戦っているんだよ、せめて衛生兵も経験して兵隊さんの気持ちになってみなさいよ、それに衛生兵が足りないんだよ、、なんせ7人も殺されているからね~、、あなた達がおとりなってくれればいいのよ、そうでもしないと優秀な衛生兵がいなくなってしまうのよ。」


馬鹿の一郎

「ひどいですよ、僕達がおとりになるんですか、死んでしまいますよ。」


「大丈夫だよ、私とこの若頭が必ず守ってやるから、そしてその卑怯な兵士を片付けてやるよ、、」


「ところで、あの砲弾がドカン、ドカン落ちている敵はどこの国かわかるかしら庄吉答えて、、」


「エ~、、外国ですよね、英国ですか~、」


「ばかやろ~!、、英国は同盟国だろ~が、、」


「次~、、一郎、、ちゃんと答えてみてよ~、、」


「エ~、、僕も英国かと思ってました、じゃ、、米国、、」


「ガ~ン、、頼む、、若頭、、こいつら、一回殺してくれ、、」


「フフフ、、兄さん達、、敵はロシアですよ、、ロシア人が満州までやってきて自分の国にしようとしているんですよ、、俺らよりいい学校でてんでしょがフフフ、、」


馬鹿二人声が声をそろえて

「エ~、あれってロシア人、先生じゃここはシベリアですか、」



尚美、「てめ~ら、死ね!」右手で腰のリボルバーに手をかけて抜こうとするところを、若頭が右手を掴み止める。



「兄さん達、、日本をでるのは初めてなんだよな、、ここは旅順だよ、中国さ、すぐ隣は朝鮮だから、、そんな遠くには来ていないな~、ハハハハハ、」



「姐さんも落ちついてくださいよ。、、面白い事、言うやつらじゃないですか姐さんに何度も冗談いってからかうなんて大物だよ、、ハハハハハ」



「バカヤロ~、、こいつら、、本気でそう思っているんだよ、、」



それを言われてあさってを見てとぼける馬鹿二人、、






、、、、若頭、、馬鹿二人を見つめて、”まじか~~”、、、




つづく、、、、、




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