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第62話 伊地知参謀長の持病

いつも読んでいただいてありがとうございます。



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


二十八糎榴弾砲にじゅうはちせんちりゅうだんほうは、1880年代に大日本帝国陸軍が開発・採用した榴弾砲。対艦用の海岸砲として日本内地の海岸要塞に配備された。


最大射程7800m、、、重量220kgの砲弾を敵陣に撃ち込む事ができた。砲身重量・閉鎖機共で約11t、旅順要塞攻略で投入要請があってからこれを取り外していたならば、、搬入まで時間がかかっただろが、、バルチック艦隊の到来に備えて内地に備えられていたこの二十八糎榴弾砲は8月の初めに取り外しを開始していたのだ。


その数、30門、それを9月10日までに朝鮮半島の主要な港に配備する予定だったのである。その為、要請後すぐに運搬先を大連港にかえてそこから鉄道で旅順の第三軍に届けられたのである、、そして10月1日に最初の一発が敵陣に撃ち込まれ最終的に18門の二十八糎榴弾砲が運ばれてきたのである。



結城

俺は姉さんと分かれて観戦武官達の宿営地にやってきた。、、いろいろな国からきているフランス、ドイツ帝国、アメリカ合衆国、英国は当然だスぺイン、イタリア、スイス、ノルウェー及びスウェーデンなんかも来ている。そんな中でマークが俺を見つけてやってきた。


そして他の英国人がいるテーブルに連れて行ってもらい、そこいる連中に紹介してくれた。そこには英国を代表するマスメディア”タイムズ”からジェームスという記者も来ていた。


英国の武官も大勢来ておりこの戦争への関心の度合いがわかった、、俺はマークと再会の祝杯をしてごちそうを食べていたら、、記者のジェームスが日本人を絶賛していた。


日本軍の将校たちの威厳ある振る舞い、兵隊一人ひとりの勇敢な戦いぶり、日本人の愛国心と武士道へのこだわり明治維新以来、急激に現代化してきたにもかかわらず、、日本文化独特の良さを保ち続ける日本陸軍に大変感心したようだ。


彼は聞いてきた。

「ユウキ、、南山の戦いで日本軍の兵士が赤十字のゼッケンをつけて兵士の治療をしていたが、すごいな~、、びっくりしたよ、、結構な人数がいたけど、

あれは、医者なのか、、」


結城

「いや、、違うよ、彼らは後方勤務の一般兵士だ、、短期コースで応急処置を研修している衛生兵だよ、、今回は初めての実戦だからどうなんだろう、、」


ジェームス

「いや、、観戦していたけど、勇気があるよ、、弾がとんでる戦いの中で懸命に止血治療していたけどこれで助かる兵士も多いんじゃないか、傷ついた仲間を思う気持ちはすごいよ~、」


他の観戦武官

「あのヘルメットもすごいよ、、普通の軍隊の帽子をかぶっている兵士は榴弾で頭にケガをしていたけど、、ヘルメットは完全に防いでいたからなあ~、、


我が国の兵士にもあれを採用するようレポートには書かせてもらうよ、、それとあのベストはなんなんだ、、多くの兵士に機関銃の弾が当ってバタバタ倒れるんだけど四肢に命中した連中は血を流して倒れていたけど、、そうでない奴らは撃たれた時は倒れるけど、、また起き上がり突撃していくんだぜ、、びっくりしたぜ。、、日本兵は不死身なのかよ、、ユウキはあれが何か知っているか?、、」


結城

「フフフ、、知っているさ、、なんたって俺が特別な材料を開発した防弾プレートだからね、、ヘルメットは英国でも作れるかもしれないが防弾プレートは

安くするからさ、、英国の陸軍で買ってくれないかな、、」


マーク

「エ~、、あれはユウキが作ったのかすごいな~、それじゃ、後で、、友達割引で見積もりを10着もらおうかな、、フフフ、」


結城

「まさか、、それを見本にして開発すんじゃないよな~、、悪い事は言わないよ、、日本で作れって、、人件費も安いし品質もよっぽど英国よりもいいぞ、ハハハハ、、」


マーク

「まさか、、上司を説得するための見本だよ、、採用になればユウキから買うよ、、フフフ」



この戦争からマスメディアが他国の戦場にきて戦況を報告するようになった。特に、”東洋の覇者である日本軍の軍事力のベールを脱ぐ時がきた”とタイムズは大々的に報道してこの戦争の推移を関心をもって見ていたのである。


またロシア人の捕虜が日本に上陸するのを目撃したフランスのジャーナリストはちっぽけな日本人が、憎しみをあらわに、大いなる白人を侮辱する、身の毛もよだつ光景と思い次のように報じた。


「それは数世紀にわたる侮辱を拭いさる報復だった。それはアジア民族のめざめゆく希望だった。それは西洋という別の人種、呪うべき人種に対する一大痛棒だった。」


そうだよ、、日本人なんかのサルが白人に勝つことはそうとうな。ショックをあたえたわけだ。


英軍参謀本部もこの日露戦争には関心をもっていた。ボーア戦争では勝利したがゲリラ戦での被害も大きかったのである、、20世紀に入っての戦争がどのように行われるのか関心をもっていたのだが、、派遣された将校らが日本をアジアの小国としか思っていないから、冷静的な分析ができなかった。


その人種差別的な偏見から日本人のようなサルからなにかを学ぶつもりなんかないのさ、また軍事的に保守的な考えもあり、革新的な事なんかさっぱり考えようともしていないのさ、、ナポレオンの時代の戦争のように集団戦法での一大決戦で決着がつくとでも思っているのかよ、、まさしく老害、権力や権威だけのジジ~達が現実を見てないのさ、、


ともかく古い考えから抜け出せず、突撃精神だよ、第一次世界大戦でも機関銃が待ち受ける塹壕陣地に肉弾突撃を繰り返すだけだった。ソンム会戦では1日で死傷者が6万人近くでるんだから、この日露戦争をよく見てれば機関銃の威力なんかわかるはずだろ~に、、


さらに日本海海戦で連合艦隊が各艦で集中制御による砲撃で大勝利しているにも関わらず、”集中制御より一門づつ制御する方が正確に射撃できる”とか”戦艦の速度はそれほど重要ではないと思われる”と言った報告をあげているのである、、まあ日本人から、、なんか学ぼうとかなんて気持ちがなくて自分達がどれほど偉いのか確認しにきていたんじゃないかな、、


それにくらべてドイツはこの戦争をよく見ていた、要塞を落とすための攻城砲だよ日本軍の二十八糎榴弾砲に刺激されて、、重量43t、、口径42cmの巨大榴弾砲ディッケ・ベルタとかパリを砲撃するために有効射程130km、重量256 トンのパリ砲とよばれた列車砲なんかつくっているんだからすごいよ、、塹壕攻撃も浸透戦術を考えたり、そして、第二次世界大戦で電撃作戦だろ、よく見ているよ、、





1904年8月17日(第一次総攻撃まであと2日)


救護班の診療所


今日の当番の尚美

”あ~あ、このあいだはしゃべりすぎちゃたわ、、これで、、歴史が変わるかしら、、待てよ、長男の乃木勝典って南山の戦いで死んでなかったっけ、あれ、それじゃもう歴史は変わっているのか、、これからどうなるのかしら、、、、てっ、考えても無駄か、、まあ~死んでいく人が減ればいいよ、、”



そこへ具合の悪い伊地知参謀長 (いぢち)が訪ねてきた。

「ゴホン、、ゴホン、、ゴホン、、ウ~、、誰か軍医はいないか~、、ちょっと診てくれないか、、」


尚美

”え~~、、なんで、こいつここにくるのよ、、もう~、こいつだけはいつ死んでもいいよ、しょうがないな、、”


「どうしたんですか、、まず、、ここに座ってください、、」


「ゴホン、、ゴホン、、なんだ~、、おなごの医者か~、、ゴホン、、他に男先生はいね~のかよ、、ゴホン」


「いません、、どうしたんですか、、すごい咳じゃないですか、、」


「ああ~、、最近、、咳がひどくて、寝れね~んだ、ゴホン、しょうがね~、あんたが診てくれや、、」



聴診器のイヤピース両耳にあて

「胸の音を聞きますね~、、上着を脱いで胸を開いてください、、」


尚美は聴診器のチェストピースを伊地知の胸にあてて、呼吸音を聞いた、、

”あちゃちゃ~、ゼーゼーって聞こえるなぁ~、こりゃ喘息だよ、、こいつ、、これは持病じゃないか、、”


「閣下の咳は喘息によるものですね、、以前からじゃないですか、、、」


「ゴホン、、ウ~、、そうだ、、5~6年位前からだ、、こちらに来る前は、ゴホン、、調子が良くて治ったと思ったがここの汚いホコリを吸っていたらまた再発したんだ、、ゴホン、、それからは部屋から出ないようにしていたんだが何とかならないか、、」


”う~ん  吸入ステロイド薬があればいいんだけど、、この時代にはないか、車にそう言えば、せき止めのシロップがあったな、、あれでいいか、、”


「ちょっと、まててくださいね、、咳止めのお薬持ってきますから、、」


「あ~、、分かった頼むよ、ゴホン、明日は、、大切な旅順要塞の攻略会議があるから、、こんな咳では。ゴホン、儂の肉弾攻撃の作戦が、、ゴホン早く薬をくれ、」 



そう言ってミニバンの薬を取りに行った尚美

”あのやろう、、やっぱり、大和魂とかサムライ魂とか言って下の士官の言う事を聞かないで肉弾突撃をやらせるつもりでいるな、、どうしてやろうか、、奴を黙らせる薬はないかな、、確か咳で眠れない、、とか言ってたな、、フフフフそれじゃ~、昼間でも眠たくさせてやろうかな~、、”



それから薬をもって戻ってきた尚美

「閣下、、いいですかこれは咳止めのシロップです、、こうやってこのスプーンに垂らしたら、それをすぐ飲み込まないで喉の奥で一回ためこむようにして

10秒くらいしたら飲み込んでください1日3~4回までですよ、、それとこの錠剤は朝と夜の食後に一錠飲んでください、、少し頭がぼ~としますが、、咳の神経を押さえますので必ず飲んでくださいね、、」


そう言ってシロップを伊地知に飲ませた尚美、、しばらくしたら、、


「あ~、、だいぶ、よくなったよ、、おなごの先生でもやくにたつんだな、、それではこのシロップの瓶と、この薬は朝夜の食後一錠だな、、わかった、」



そう言って伊地知参謀長は司令部のテントに戻ったのである、、、



尚美

”ふん!、睡眠導入剤を渡してやったぜ、、これで、おとなしくしてろや、”



尚美

夕方、私はいろいろなお菓子をもって軍馬の世話をする少年兵の宿営地を訪ねた。、、彼らは秋田県出身で川崎潤一君の親友だったはず、夢の中では伊地知の野郎のなまはげのコスプレをしてくれたんだけど、、、いるかな~と、、、私は宿営地をいろいろと見てまわると4~5人の少年がテントの前でくつろいでいました。




”いたいた、、本当にいたんだ、夢に出て来た子じゃないの、やだ~、、ちょっと感激して泣きそう、、、あっ、あの子ニンジンをツノの代わりにした子じゃないの、こっち見ているどうしよう、、、、”



すぐそばで自分達を見ている大人に気がついた一人の少年が立ち上がり、近づいてきた。




そして、、、




「オジさん、なんかようか?」と言った。




、、、、”パシ~~ン”、と私は思わず彼の頭をはたいてしまった。、、、






相変わらず秋田の純粋な子供たちは尚美をオジサンと思うのであった、、


(うん間違いなく、中身はおじさんだよ、)虐げられる弟、結城




つづく、、、、






















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