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第61話 兄弟の復讐

いつも読んでいただいてありがとうございます。



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、



第三軍が攻略すると決めた旅順要塞は全周囲を堡塁と塹壕線で覆った全周囲要塞でどちらかの方面の防御陣地は弱いとかそういう事はなかった。


それでは東北方面と西北方面を攻める方にとって有利な方面はどこかということになるとそれは東北方面でした。


当時 陸上部隊を展開するには鉄道と、野砲なども通れるだけ整備された道路が必要でしたその全ての条件がそろっていたのが東北方面の防御陣地であったわけです 。


しかも西北方面には鉄道は通っておらず、敵前を通過しないといけないというリスクがありそこを野砲や資材を運ぶ事は危険をともなった。


また東北方面ここは要塞の正面ではありましたが本当の弱点である「望台」がありました ここは旅順周辺で一番標高の高い所で、港湾と要塞施設が一望できる所でした。


旅順要塞の攻略という本来の任務と、海軍から要請された旅順艦隊殲滅を同時に叶えられるこの「望台」が東北方面にある以上、ここが主目標になるのは当然であった。


ここさえ落とせば一石二鳥誰もがそう考えていた。、、だがロシア軍もこの東北方面にはすさまじい防御陣地を構築していたのである。、、、


そこに立ちはだかるロシア軍正面防御堡塁は東鶏冠山北堡塁とうけいかんざんきたほるい周囲は約500m、の不規則な五角形で、天然の岩にコンクリートと石、そしてブロックで造られた。内部の構造は複雑で、司令部、兵舎、弾薬庫、治療室、など堡塁の周囲は堀があり、堀の外の斜面には高圧電流が流れる鉄条網が架設されていた。


史実では8月19日からの第一次総攻撃において、日本軍第十一師団はこの堡塁に歩兵による突撃を行ったが、結果は大惨敗に終わった。


夜間、斜面下側から攻める日本軍からは堀が見えずに攻めあがる、ここまでどうにか鉄条網を突破しての、肉弾突撃をしてきた兵がバタバタと堀に落ちていくのである。


落ちたが最後、逃げ場のないその日本兵を堀の内側の陣地から十字砲火を浴びせての皆殺しであった。


日本軍は突撃した部隊が次々行方不明となるため、”お化け屋敷”だとか揶揄してここが強固な要塞だと気づくのである。それから正面からの肉弾突撃をやめてその後、数度に渡って坑道を掘り、堡塁の爆破を試みた12月18日に堡塁の正面で2.3トンのダイナマイトを爆破させこれに乗じて占領した。


日本軍は、この堡塁を突破するために約8,000人の死者を出したのである。




1904年8月


ロシア軍陣地


俺の名前はイワノフ、二十歳だ、弟のミハイル十八歳と一緒にこの塹壕で見張りをしている。、、俺と弟はシベリアのアルハラ村の出身だ、、近くにアムール河が流れていて村の人間は100人もいない、、小さな畑と親父が猟師で毛皮を取って生活していた。親父の名前はバブロフ、母の名前はソフィアと言って俺達を愛情いっぱいで育ててくれた。、、


丸太でできた小さい家だったが、俺と弟は幸せだった。、、それが3年前の夏だった、親父は村の仲間と近くの狩場に行って家には俺達兄弟と母の3人で父の帰りを待っていた。


俺と弟は近くの製材所で午前中手伝いをして遅い昼食を家で食べていた。 母さんは森のそばで畑仕事をしていた、、


母の作ってくれたうまい肉入りスープを食べていたら、、「ギャ~、、」と凄い悲鳴が聞こえて、俺と弟は立ち上がり窓から外をみたら、、見たこともないほどのでかい虎が母の首を咬みながら引きづっていくのが見えた、、俺と弟は怖くて、外には出れなかった、、母を見ると首が不自然に曲がっており半分ちぎれかかっていた。


翌日、親父が帰ってきた、、一晩中怖くて震えていた俺と弟は親父に母の最後を話した。、、、親父は黙って俺達の話を聞くと予備の銃を持って来て俺に渡していろいろな支度をすると、二人で虎の後を追った、、母さんの血の跡をどんどんたどっていった、、2時間もすると小さな水場にでた、、


近くの茂みに母の遺体が隠すようにあった、、”食べ残したんだ、、奴はまた食いにもどる”と親父は言った。、、遺体のそばに罠を幾つも仕掛けて母の遺体をそのままにして家に戻った。2日後、罠にかかった虎を親父と俺は銃で始末した体長は3m、250kgのオスだった。


そして母の一部しかない遺体を袋にいれて村の共同墓地に埋葬した。


それから3年後、戦争が始まった親父は村の仲間とすぐに徴兵された、俺と弟も親父について行くと言って志願して親子三人でいっしょの部隊にいられることになった。


それが5月の南山の戦いが始まり3人で塹壕を守り日本兵と戦っていた、となりで弟は震えながらモシン・ナガン小銃のボルトを引きながら引き金を引いていた。



そのとき”ヒュルルル~”と砲弾が落ちてくる音が聞こえ親父が「伏せろ~、」と言って俺と弟の上に体をかぶせてきた。


「ドカ~~ン!~」と近くに砲弾が落ちた、、親父は、、、口から血を流し二度と動かなかった。、、背中にでかい破片がブスリと刺さっていた。


それから俺と弟は日本兵を見境なく銃で撃ち殺しまくった、弟はもう震えることはなかった、、上官が”撃ち方やめ~” 、と言われても隠れて赤いマークを付けた日本兵を二人で5人殺した。


他の日本兵に気づかれてしまい、、こちらに向かって撃ってきたので俺と弟はそこから逃げた、すぐに部隊は旅順要塞に撤退となり再編成で今ここ203高地の守備をしている、、ここに攻め込んでくる日本兵を俺と弟はまた見境なく殺してやる、、とくに赤いマークをつけた奴らは武器をもっていないので殺しやすいぜ、、”親父の仇だ!” 、、


その兄弟は父親の復讐だけで戦っていた。、それは虎が獲物を狙うような眼つきだった。







旅順要塞近くの第一師団 宿営地


若頭、丈一郎達の班の休息テント前


尚美は若頭に旅順に軍医学校の軍医として負傷した兵士の治療を目的でやってきた事を話した。再会を喜んだ若頭は尚美に夕飯を一緒に食べていってくれと誘ったのである。


水アメ屋の留吉

「姐さん、、できましたよ、、どうぞ食べてください、」


若頭大庭 丈一郎

「補給部隊の知り合いから分けてもらった、、何の臓物がわからないけど、、味噌で煮れば立派なもつ煮だ、大根やら飯やらなんでもいれてますが、うまいですよ、、姐さん、、」


尚美

「えっ、、私よりそちらの少尉さんがさきでしょ、、」


お坊ちゃん少尉

「いえ、、少佐殿がお先にお召し上がりください。」


尚美

「やだ~、、尚美でいいですよ、、」


お坊ちゃん少尉

「そうだ、これは今日、手に入れた酒だ、お前達と、飲もうと思って持ってきたんだ、、なんせ、大庭二等兵にはあの南山の戦いで危ないところ助けてもらったからな、、」



そういって持ってきた酒で”カタギ”の二人の新兵も一緒になって6人での酒盛りとなった、、


酒に酔った留吉が代官山の決闘を自慢げに話した。、、それを聞いていた少し酔った芸者の髪結いの杉山、


「なんだって、、あの新聞に大きくでてた代官山で関西やくざを壊滅させたのが、この姐さんだって、、エ~~刀で、、ピストルの弾を、三発もはじいたって、、どうしたら、そんな事が、、その後、組の関係者のドスにサインしたら弾除けのお守りになったて、、、ほんとうですか、、それじゃ、、このお守りにもサイン下さい、、」


そう言って杉山とゲタ作りの須藤もお守りをだして、尚美は持っていたペンでいつもの♡マークのサインをするのである。


お坊ちゃん少尉

「あの~、、尚美先生、、私のお守りにもサイン下さい、、」


少尉に酒をつがれ酔っている尚美

「は~い、、いいですよ、、あれ~、このお守り、、すご~く。いいにおいがする~、、なんで?、、」


お坊ちゃん少尉

「あ、、それですか、、実は母がもし私が戦死してその遺体からくさい臭いがするのは不憫なのでせめて香りだけはと言って資〇堂のオーデコロンを持たされてその香りですよ、、」


酔っている尚美

"チェ、、こんな戦場まで資〇堂の製品があるのかよ、、”

「そう~ですか、、やっぱり、、母親ですよね、、息子が戦死しても死に際を心配するなんて、、いいお母さんですね~」そう言いながらお守りにサインをする尚美、、




さらに酔って口が軽くなってき尚美

「いいかい、、若頭、、もうすぐ総攻撃がはじまるけど、、死ぬんじゃないよみんなロシアのマキシム機関銃でやられっちまうからね、、この、要塞は仕掛けがいっぱいしてあるからね、、


油断すんじゃないよ、東鶏冠山北堡塁とうけいかんざんきたほるいなんかこっちから見えないけど掘りがあって兵隊がバタバタ、落ちて敵の十字砲火で死んじまうんだから、、


なんでさ~、フフフ、乃木の大将、、南山で捕虜にしたロシア兵をこれでもか~と尋問して、、要塞の事聞き出さないのかな~、、バカじゃないの、、拷問すれば、ロシア人なんか何でも喋るわよ、ほんと馬鹿な乃木大将、その仕掛けを知る為にみんな無駄死にするのに、、ホホホ、、」




「おめ~は、酒でなんでもしゃべるんだな~、、」マーク少佐とうまい物を食っている結城




少し目が光った酔ってないお坊ちゃん少尉、、尚美にドバドバと酒をつぐ

「それは、、いい案ですね、、尚美先生だったらこの旅順要塞どうやって落としますか、、」



それを飲んで、またまた酔ってさらに口が軽くなってき尚美

「フフフ、よく聞いてくれました、、ヒック、正面攻撃は、大変よ、時間をかけるの、、あのべトンの要塞は普通の大砲じゃ崩せないわね、、28センチ榴弾砲がいるわよ、フフフ、、ヒック、そうでもしないと、、落ちやしないよ、はやく乃木の大将が気がつけばいいんだけど、、


あとは、穴を掘っていくの、坑道よ、、その堀まで坑道を掘って火薬で吹っ飛ばすのよ、火薬をケチちゃだめよ、100kgや200kgじゃなくて2tとか3tで派手に吹っ飛ばすのよ、ヒック、、そうでもしないと、落ちやしないよ、この要塞は


やっぱり、攻めやすいのは203高地ね、、べトンで固めた小さい機銃砲座しかないから、、あの鉄条網と機関銃さえね~なんとか、なればね、、ヒック、いい方法があるのよね、」



手帳にメモをしだしたお坊ちゃん少尉

「ぜひとも、、その方法を教えてください、、」



完全に酔っている尚美

「フフフしょうがないわね、”お、し、え、て、あ、げ、る”、ヒック、、あの草木もない203高地をあの乃木は肉弾攻撃で攻めさせるのよ、鉄条網までにたどり着くまでに機関銃でバタバタ撃たれてしまうのよ、、死んで行く兵士はかわいそう、、ヒック、


それを避ける為まずは山の中腹までは、ジグザグに交通壕を掘り進むのよ、、当然向こうも黙って見てないから、、攻撃してくるけど、、土嚢をしっかり積み上げて迎撃しなさいよ、、フフフ、、そして、、中腹まで行ったら、、今度は、、鉄条網ちかくまで、、そうね、、10mくらいの間隔かしら夜間に兵士が土嚢をもって弾除けの障壁をつくって、、いくのよ、、当然敵も気づくから、大砲の弾が飛んで来たらすぐに、ヒック、交通壕に逃げ込んでね。


そうやって、、鉄条網まで地道に土嚢で障害壁を作ればだいぶ楽かもね、その後は防弾盾を持った工兵が鉄条網を切って、あっ、そうそう、ブリキ缶に火薬と導火線を付けた手投げ弾はすごい効果があるから必ず用意するのよ。中に古い釘なんかいれるともっとすごいわよ、フフフフ、


ヒック、後はやっぱり、、占領してからの支援砲撃ができるかどうか、敵も取返しにくるからさ~、ああ~乃木に教えてやりたい、、、フフフ、


いずれにしても港湾の戦闘艦を叩くにしても28センチ榴弾砲がいるからね、それからね、、まあ、、それが着く前に203高地を落とせば、、海軍に対してメンツはたもてるけど、、フフフ、、なんかしゃべりすぎちゃった、ヒック、ともかく南山のロシア軍捕虜から旅順要塞の事を聞き出すのよ、それが大事よ」



手帳にしっかりメモしたお坊ちゃん少尉

「ありがとうございました、、、大変参考になりました。、、それでは、、私は用事がありますので失礼します。」


そう言って第三軍司令部の方に向かい急いで出かけたお坊ちゃん少尉




真っ赤な顔で酔っている尚美

「ねえ~、、ヒック、、若頭、、あの、さわやかな、少尉さん、なんて名前なのヒック、、」


若頭

「だいぶ、姐さん、、気分良くしゃべっていましてけど、、あのお方は乃木勝典少尉ですよ、、」



赤い顔から、だんだんと青くなりしゃっくりも止まった、、尚美




「ノ、ギ、勝典少尉、、の、、ぎ、乃木、、あの~、若頭、、あの、、少尉はひょっとして乃木司令官の大切な御長男でしょうか?、、」





若頭、、元気よく

「はい!、、そうです、、」





尚美、、、、口を大きく開けて無言、、、”やっちまったぜ ”










つづく、、、、、



その日の夜遅く、第三軍司令部から参謀副長大庭二郎 、 情報参謀山岡熊治 、作戦参謀白井二郎の三名が大連にあるロシア兵捕虜仮収容所に向けて馬を走らせたのである。



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