第58話 尚美と結城、旅順に出発
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TOYO〇〇のヴェル〇ァイ〇はミニバンに変えさせていただきます。
それでは、、はじまり、、、はじまり、、、
1904年6月
広島県宇品港
乗船を待つ第三軍司令部
司令官乃木大将
「伊地知君、、こんな俳句ができたがどうかね、、」
参謀長伊地知 幸介 (いぢち こうすけ)少将
「はい、拝見させていただきます。”急ぐなよ、旅順の敵は逃げはせず、よく食って寝て戦え”、ハハハハ、これはいいですねさっそく兵士達に回しますよ。」
参謀副長大庭二郎中佐
「それにしても南山の戦いはだいぶ苦戦したと聞いております、4300名の兵が死傷したそうです、一桁間違いではないかと聞き直したとか、ただ戦死者はそれほどではなかったそうです。」
乃木大将
「それだけ、ロシア軍も必死なんでしょう、、」
伊地知少将
「そうだとしても参謀本部の情報部では旅順は”日清戦争当時の旧式野塁に多少の散兵壕を増築せるのみ、永久築城なしと思う”と連絡がありましたから、すぐに攻略できるでしょう。」
当番兵
「失礼します、、閣下に第二軍司令部から電報です、、」
乃木大将
「ご苦労、どれ、、”御長男、、乃木勝典少尉腹部に敵弾を受けるが勇敢にも部下を率いて敵塹壕を占拠する活躍をいたしました。なお敵弾は防弾装備で受け止め身体ご無事なり”」
伊地知少将
「すごいじゃないですか、、勝典君いきなり実戦での活躍これは勲章ものですな、、ハハハハハハ」
(そうだ、、史実ではこの宇品港で長男の戦死報告を聞くはずが変わったのである。)
乃木大将
「この勝典の命を救った防弾装備とは、どのようなものかな、、」
大庭二郎中佐
「はい、現物はまだ見てないですが、、どうも、この第三軍の兵士だけがこの防弾装備を供与されているようです。、確か商工会が金を集めて五条商会が頭部保護用のヘルメットと防弾のベストを開発して5万人分用意したと聞いております。」
乃木大将
「そうか、、五条商会が作ったのか、、息子の命の恩人だな、、、あとで親として礼状を送るから住所を調べてくれ、、」
大庭二郎中佐
「はい、了解いたしました。」
こうして第三軍は旅順要塞攻略の為、宇品港を出港したのである。
1904年7月
結城と尚美、、自宅
「姉さん、、早く~もういくよ、、さっちゃん留守番お願いね、、」
「ちょっと、待ってよ、、最後にトイレにいってくるから、、」
やっと出発準備ができた、、姉さんは7月10日に受賞したイケメン達に囲まれ玲子さんと二人、、どこかのスケベ親父と同じような顔して記念撮影を終わり
数日かけて急いで準備をした、この時代は遠方の目的地にはどれくらいで着くかさっぱり見当がつかない、、
知り合いの英国人から朝鮮の仁川に横浜から現地の外国人商人に荷物を運ぶ貨物船を紹介してもらった。英国籍の船で船舶クレーンで重量物も甲板につめるという事でこれで赤十字が表示されたミニバンで旅順まで行くことができそうだ、、帰りも頼むつもりだ、、
荷物が大変だよ軍隊じゃないから補給品がくるわけじゃない、、一応姉さんは医療部隊に所属しているから向こうにいけばなんとかなるよ、、と言っていたけど青森で使った保存食がまだあったから詰めるだけつんで飲み水も心配でこれも備蓄品のペットボトルをあるだけ積んだよ、車の屋根のルーフキャリアはどこかに探検でも行くような感じで山盛りになり防水キャンパスをかぶせてしっかり固定した。
他に俺のキャンプ用品に姉さんの体を洗うための電動ポンプとシャワーセットなどこの車が電源車のようなものだから使えるものは全部積んだよ、、医薬品や医療関係もつんでいて簡単な手術ならばこの車が役に立つと思うよ、だから後部も風間発動機で座席をはずし荷物でいっぱいさ、姉さんの原動機付自転車も積んで広い戦場だから一人でどこでもいけるさ、、
それから姉さんは軍医学校の勝次さんが用意してくれた軍の特別移動許可書と戦時中だけ有効な少佐の階級章を用意してくれた。、、勝次さんが気をつかって軍医医学校の校長と同じ階級で用意してくれたのだ、これは一個連隊1500名の指揮官と同じだよ、、本人は軍の階級なんてさっぱりわからなくてジャケットのポケットに入れてたけど、、なくさなきゃいいけどな、、
親友のクリストファ・マーク少佐はすでにお仲間の観戦武官といっしょに第三軍の参謀本部に同行しているよたくさんの国からきているからね、、向こうで会うのが楽しみだよ。何か姉さんが夢と違う~とか言ってたけどそんなの知らね~よ、、
こうして俺と姉さんは横浜から旅順に向けて出発した。
1904年7月
銀座”NAOMI”ビル
玲子
「まつこさ~ん、、来月号のゲラ刷りできた~?、」
私は尚美がいないあいだ、留守を頼まれて今日は4階の女性向け月刊誌”NAOMI”の編集部にいる。大忙しである、、よく尚美はこのビルの仕事に軍の医学校まで頑張れるなんてすごいわ、、私はついていけないよ~
玲子
「イケメンコンテストの入賞者の顔写真よく取れているわ、、、さすが一位と二位のこの二人の男子はすごい可愛い顔しているわ、、、、それに二人の投票数はずばぬけている読者年齢は低いのかしら、、」
元大手編集部にいた山田まつこさん
「これは、違いますよね、、おそらく組織票ではないかと思います、、うちの月刊誌の対象年齢は20歳以上で少しお金を持っている世代ですが、この第三位か第四位がその世代の人気投票だと思います、、」
玲子
「じゃ~なんで、、こっちが一位なの?、、」
山田まつこさん
「お金持ちの女学生が買った月刊誌”NAOMI”を学校に持っていってお友だち同士で回し読みとかしてると思います。」
玲子
「あ~、、してた、、私は好きな本があるとすぐ買って読むと、学校に持って行って皆で読んでいたわ、、、」
山田まつこさん
「それですよ、、、若い子の趣味は同じだから、、こんなかわいい顔したイケメンが好みなんでしょ、、本を学校に持ってきた女の子が気に入った子の投票をお友だちにお願いすれば軽く10票くらい集まるかもしれませんよ、、」
玲子
「それよ、、それそれ、 それが推し活よ、、」
山田まつこさん
「う~ん、、お、し、か、つとは何ですか、、」
玲子
「え~と推し活とは、自分が好きな役者さんとか歌舞伎の人とかそういう人を一生懸命に応援することよ、、まつこさんも好きな役者いないの、、」
山田まつこさん
きっぱり、、「いません!」
「そんな”おしかつ”に何の意味があるんですか、、」
玲子
「そうね、、そんな大きい意味はないけど、、自分が好きな人の事や好きなもののことを考えるのはとても楽しいよね、、そういう時間がもっとあってもいいと思うのよ、、」
「そうだ、、この入賞者の上位5人に休日にお金を払って集まってもらって、どこかでかい会場で来月号を買って持ってきた人にサイン会でもしましょうよ
そうよ、、それそれ、、サイン会、、あっ、、握手もよ、、触れるの、、そうよ握手、、最高じゃないの本を買えば自分の押してるイケメンに会えてサインと握手これよ、、来月号に告知して発売日から一週間くらいずらした日曜日、場所は屋根のある広い場所よ、、まつこさんお願い手配してちょうだい、、」
山田まつこさん
「そりゃ~面白そうだ、、了解しました、、すぐ手配します、、、」
こうして玲子の発案した。月刊誌”NAOMI”を買って持っていけば自分の押しのイケメンからサインと握手をしてもらえるんだ、、娯楽のないこの時代とんでもない女子達が一生懸命におしゃれをして会場に集まり、、大盛況だった。女子達の思いはいつの時代も同じだよ、、、、、
1904年8月
ロシア軍旅順要塞を包囲する第三軍傘下の第一師団、、兵士宿営地
夕飯時
俺は関東最大の任侠組織藤堂組の若頭の大庭 丈一郎だ、日清戦争の時の予備役兵だ、、第一師団は東京に師団司令部があり最初の徴兵ではお呼びが来なかったが三か月前に第三軍が編成されたらいきなりの徴兵だ、たまったもんじゃねぇや、、それに前の戦争で上官を殴っちまってまた二等兵からだよ、、留吉は上等兵でお呼びがかかったのさ、
ほかにも関連団体の連中が徴兵されて、、5~60人くらいきてんじゃねえかな、、このあいだの南山の戦いではさすがに誰か死ぬと思ったが、誰一人弾にもあたらなかった、みんなはお守りのドスを見て姐さんの弾除けのサインのおかげだと思って感謝している。、、
おかしい俺もサインしてもらったが腹に二発、背中に一発受けて死ぬほど痛かった、、留吉も胸に一発受けている、俺達にはお守りの効き目はないようだ、たしか姐さんあの時は半分寝て書いていたからな、、もうご利益はねえか、、
だけど誰が考えた防弾プレートか知らないがそいつに感謝しないといけない、こうやって生きているからな、、衛生兵が来てくれて痛み止めの注射で楽になったさ、、あいつらも大変さ弾が飛んでるなか、倒れた仲間の兵士のそばによって治療をしてくれるからみんな喜んでいたぜ、、
この班には新兵だけで、俺と留吉それに芸者の髪結いの杉下市蔵とゲタ作りの須藤栄吉がいっしょだ、、この二人は組とは関係がない”カタギ”の新兵だよ徴兵組さ、初めての戦争だから俺と留吉で面倒みているんだ
留吉
「兄貴~、、食料の補給部隊に所属しているお面売りの山田から鶏肉もらってきました、、、」
丈一郎
「よ~し、、よくやったひさしぶりの肉だ、、市蔵さん味噌汁は煮えてきたかい」
市蔵
「もう少しですよ、、それにしてもこのヘルメットは、いいナベになりますよね、、この、ふちのでっぱりがいいですよ、、でかい石が3個でもあれば支えられてちょうどいいですよ、、あとこの餅もいれますか、、」
丈一郎
「なんでもいれっちまえこの飯も入れて雑炊だ、、鶏肉もドスで細かく切っていれてしまえよ、、、栄吉さんほら食べるぞこっちこいや、、」
(あの~それ、鍋じゃなくて頭を守るものですよ、)ヘルメット開発者の結城
つづく、、、、、
旅順近くの検問所、
「こら!、、お前たち、、何だこの車は、、どこに向かっている、この先は戦場だぞ、、なにか、、あやしいな、、、すぐ車から降りないか、、なんだその書類は、」
”この許可書を持つ者についての移動はすべて許可する 満洲軍総司令部総司令官 大山巌 (おおやま いわお)”
「はっ!、、失礼しました。、、、、えっ、、軍の救護班の本部駐屯場所ですか、、この先をず~と4~5㎞先で左のほうです、、」
助手席の尚美
「サンキュウ~、、じゃね~、、」
ついに、二人は旅順に到着したのである、、、