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第4話  渋沢栄一との面会  その2

いつも読んでいただいてありがとうございます。



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


 ”愛子”

あれから家に帰ってきてからも胸がドキドキしてしょうがない。


今日、近くに住んでいる女学校の友人の家に遊びに行ってきた。行く途中の土手道で前方から馬車がこちらに向かってきので、私は脇によって避けようとしたらうっかり足をすべらせ土手の斜面に体をすべらしてしまった。


右腕で受け身のような姿勢になったが前腕を思いっきり擦りむき真っ黒な土がこびりついてしまった。少し血も流れていたが持っていた手ぬぐいで汚れを落とし痛みがあったが,そのまま友人の家に向かった。


友人の家ですっかり女子トークで盛り上がりお昼もごちそうになって楽しい1日を過ごした。午後も過ぎたので友人の家をでて帰宅のため街道をあるいていたら、見たこともない洋装の恰好をしたお兄さんが不気味な笑顔で声をかけてきた、隣にはとっても品がよく背の高い眼鏡をかけた知的な女性がたっていたが髪はびっくりするぐらい短く男装のような恰好をしていた。


少し驚いたが話を聞いたら道に迷ったという事なので教えてあげた。外国からもどってきたというこで、あの人を訪ねてきたかと思い聞いてみたらお姉さまが突然動揺してしまった。


あまりに滑稽でしたので笑ってしまったら、いきなり右手を掴まれ、朝ケガをしたところをとってもおしゃれな模様をしたハンカチできつくしばってくれた。それどころか、こんな高そうなハンカチを返さなくてもいいというのである。まるで最近読んでいる外国のお話で、町娘と王子様の出会いのようで急に心臓がドキドキしたきた。


それだけでなく突然、私の名前を聞いてきたのである。私はすかっり動揺してしまい、お姉さまの整った顔を見つめてしまった。自分の名前を教え、私はお礼を言って駆け足でその場をさった。


”五条尚美、五条尚美、五条尚美”、私は忘れないように何度も、何度もお姉さまの名前を繰り返し口ずさんだ。



あれ、、、弟さんの名前はなんだったけ?、、、、ま、いっか!



”結城”

時間を忘れ遅くまで俺と姉さんはやりたい事をまとめていた。それから姉さんはこの時代のある人の事について一生懸命に調べていた。


俺は長い1日が終わりベッドに横になったらあっというまに寝てしまった。 


朝、眼がさめて時計を見たら11時を過ぎていた、慌てて起き上がり昨日の事が本当に起きたことなのか、窓から外を眺めてみたが、いつもの街並みはそこにはなかった。


ため息をつきながら俺は姉さんの部屋に声をかけて台所におりてコーヒーの準備をした。そして洗面所で顔を洗い用をたしたら、姉の分のコーヒーを注いであげて、自分のコーヒーを飲みながら、昨日ノートにまとめた計画を読みなおした。


そうこうしていると姉が起きてきて顔を洗い用をたしたらコーヒーを持って俺の前に座った。


「姉さん何時にでようか」


「昼時はうまくないから午後1時過ぎにいきましょうよ。」


「着ていく洋服はどうする、俺はダブルのスーツにネクタイにするけど、姉さんは何着ていくの?」


「そうよね、この時代は膝上のスカートなんかはまずだめでしょ、ロングスカートなんか持ってないし、濃紺のパンツスーツに下に白いブラウスを着ていくわよ。」


「女性のパンツスーツもこの着物の時代に珍しいけど、まあ姉さんのしょぼい胸とボブヘアーだったら男性と間違えられるかもしれないしネ」


そんな事をいったらいきなり脛をけられた。


「なにバカなことを言ってるの、それよりもおなかがすいたからなにか作ってよ」


「ハイ、ハイ、わかりました。」


俺は冷蔵庫の残りもので昼食兼朝飯を作り、姉と食べながら今日の打ち合わせをした。そして時間になり俺はスーツに着替え、必要な物をいろいろとショルダーバックに詰めて玄関で姉さんをまった。


洗面上で30分ほど気合をかけ仕上げて来た姉さんはメガネをはずしコンタクトにしてきた。前にも話したがまるで女優の菜〇緒のような感じで仕上げてきたが、しょぼ胸が残念!!そして平底のパンプスをはいて姉が玄関からでてきた。俺たちは雑木林をぬけて飛鳥山公園にある渋沢邸に向かった。


(渋沢栄一について、日本を代表する経済人として明治維新後にいち民間経済人として約500の企業や約600の社会公共事業に関わった偉大な人である。この時、渋沢栄一は60歳、王子の飛鳥山公園に4800坪の広大な敷地を本宅にして住んでいた。五条兄弟の家から歩いて30分程の距離である。)



渋沢先生の邸宅はこちらから見ると、ちょうど王子駅の反対になる。俺と姉さんは目立たないように町中に入ると、軍服を着た兵隊や、洋服に山高帽子をかぶった紳士それに人力車が往来しすごい賑わいだ、おそらく近くに国立の印刷局や王子製紙、陸軍のでかい施設があるので人の出入りがすごいのであろう。

酒屋や八百屋、そばや、乾物屋などの商店が並んでいる商店街の前を過ぎたとき、そういえば冷蔵庫の食材がもうないので帰りに買っていこうと姉に伝えた


飛鳥山公園に入ると桜が少しピンクがかっていた。ここは桜の名所で子供の頃は家族で毎年花見にきていたものだった。確か中学の時の初チューもあの桜のかげで、、あれ、、なんか、ちいさくね~、ほぼ若木じゃん、、そっか~これから125年かけて育つのかよ。


そんなふざけた事を思い出しながら渋沢邸の前にやってきた。さすがにでかい邸宅で圧倒されたしまった。確か昨日調べたら4800坪の敷地に日本邸と西洋館がつなぎ合わせて本邸となっている。


めちゃくちゃでかい日本邸の玄関に向かうとちょうど、着物にはかま姿の若い書生さんがほうきで玄関前を掃除していた。こちらに気が付いたので俺と姉さんは頭を下げ近づいていった。こちらの身なりを見てきっと高貴なお客と思ったのか、書生さんはほうきを片付け姿勢をただしこちらに挨拶をしてくれた。


「突然に申し訳ありません。私は五条と申しますが渋沢先生にお会いしてお話したい事があるのですが取り次いで頂くことはできますでしょうか。」と丁寧にお願いをしてみた。


「聞いてきますのでしばらくここでまっていてください。」と言われ、書生さんは家に入っていった。


ここまでは予定通りと姉と目を合わせうなづいた、まちがいなくこの後、渋沢先生は用がないから追い返せとあの書生に言っているはず。


しばらくするとバタバタと書生さんが戻ってきて申し訳なさそうな顔をし「どんな御用件か分からないが知らない客とは会うことはできない」と先生が申しておりましたのでこのままお帰りください。


俺は少しにやりとしながら胸ポケットから封筒をだして


「そうですか、それではこの封筒を渡していただいてこの中身について先生にご相談があるとお伝えしていただけませんでしょうか、もし興味がないと言われればこのまま帰りますのでよろしくお願いします。」


そういって書生さんに封筒を渡すとそれを受け取りまたパタパタ奥に消えていった。


「うまくいくかしら」と姉は一言、俺はにこっと笑い親指を立てた。


すぐにドスン、ドスンと辞典で見た通りの渋沢先生が封筒をもってこちらに歩いてきた。姉の顔を見るとほほがピクピク動き“歴女尚美”と戦っていた。俺は姉の袖をギュとひっぱり気合をいれた。


渋沢先生は俺たちの身なりと自分で言うが、今の時代の平均の10倍くらい外人にも負けない容姿を見てなにかを感じたのか自宅に上がるよう言ってくれた。

うしろで書生さんが少し驚いたような顔してこちらを見ていた。俺は彼に頭を下げ、姉と一緒に先生のあとについていった。


先生は俺たちを西洋館の応接室に案内すると、着物に前掛けをして三つ編みをした女中さんにお茶を用意するよう言いつけて、部屋に入り俺たちに座るようソファーをさした。


先生は主人席に腰かけると封筒から3枚の紙幣を取り出しテーブルの上に並べていきなり言い出した。


「これはいったいなんなんだ!なんで儂と北里君と津田梅子君がこのよう印刷されているんだ。」


そうだ、俺は目の前にいる渋沢先生と面会する為に2024年7月に発行された未来の最新技術の紙幣をこの封筒にいれたのだ。


そして俺と姉はソファーから立ち上がると一礼して


「渋沢先生まず自己紹介させていただきます。私は五条結城と申します。隣は姉の五条尚美です、今日は先生に私たち兄弟を助けていただけないかと思いお願いにまいりました。信じていただけるかわかりませんが、私たち兄弟は今から125年後の未来、2025年の日本から飛ばされてきました。」


俺は最初の一発目に原爆級の爆弾を先生に投げつけた。そしてもう一度頭を下げてからソファーに腰かけた。



 ”渋沢栄一”


昼食を食べ居間でくつろいで新聞を読んでいたら、書生の鈴木君が五条とかいう身なりの良い客が面会を求めていると聞いてきた、今日のスケジュールでは来客の予定もないし、突然訪ねてくる客は大抵は何かしらあやしい団体で金銭の寄付をお願いにくるので同じやからと思い、鈴木君に追い返すよう指示をだした。しばらくすると鈴木君がまたもどってきて儂に封筒を渡して、客がこの中身について相談があるという。儂は何が入っているのか中身をだした。


中に3枚の紙幣のようなものが入っていた。よく見ると儂は驚愕してしまった。そこには儂と北里君と津田梅子君が印刷されており 表面には銀箔が塗布されて光の加減なのか見る角度で3人の顔が立体のように浮き出て顔の表情が変わるのだ。そしてそこには日本銀行券とはっきり印刷されていた。


儂は直観した、”これは本物の紙幣だ”なんでこんなものがと思いそれを封筒にしまい無言で立ち上がり玄関へと向かった。


玄関に行くとそこにはとても日本人とは思えない背の高い男性と、隣には、、男子か?、、、とよく見たら髪の短い女性が男装して非常に整った顔を少し赤らめながら儂をみつめていた。 


儂は先ほどの事も含め二人のいでだちから何か尋常じゃないものを感じ家に上がるようにいった。そして隣の西洋館の応接室に向かう途中で女中見習いの幸子がいたのでお茶を持ってくるよう言いつけ部屋に入った。二人が座ると先ほどの紙幣をだし、儂はこれが何なのか興奮して問いただした。



 ”結城”


”俺の爆弾発言に渋沢先生は、口を開けたまま一瞬時間が止まった。”


「な、な、何を貴様は言っているのだ!!125年後の未来!2025年だと何をほざいているのだ!!」


渋沢先生は顔を真っ赤にしてつばを飛ばしながら答えた。


そう、そう、間違いなくこんな事を言われれば俺でも同じ反応するようね。


「先生、少し落ち着いて下さい、どうしてこうなったのか、昨日、私達兄弟に起きたことについて説明させていただきます。」


そういって俺は、墓地で納骨をしてからの一連の事について説明をはじめた。


   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そして、最後に起きた異常な現象によって気を失い、気が付いたら姉と二人で自宅と併設している病院が敷地ごとこの時代に飛ばされてしまったというところで話しを締めた。


ちょうどその時、ノックをして先ほどの三つ編みのおさげをした女中さんがお茶を運んできてテーブルに置き一礼してでていった。


俺はちょうど興奮してしゃべりすぎたのでそのお茶を手に取り一気に飲んだ。


先生も興奮して俺の話を聞いていたのか同じ様に飲み干していた。


姉を見ると顔を赤らめうるんだ瞳で先生見つめておりいつの間にかバックからサイン帳とマジックを出していた。


”ゲ、サイン、もらうつもりかい!”


俺はさりげなくそのサイン帳とマジックを脇に寄せて、、、


「先生にはこのお話だけではわかって頂けないと思い、そこにあります紙幣を持参しました。それは2025年の日本で使用されている最新のお金です。」


「そこに使われている偽造防止の技術は見て頂いた通りこの時代の日本いや先進国である英国や米国、仏国、独逸国であっても絶対再現はできません。」


「そしてこれを見てください、、」


俺は姉に軽く肘うちをしながらスマホを取り出した。姉もやっと正気にもどり 同じようにスマホを取り出した。


そして今度は姉から話をきりだした。

「こ、こ、これについては私の方から説明します。これは私たちの時代ではスマートフォンと呼ばれているものです。もともとは個人が持つ携帯用の電話でしたが、あ、、すみません、渋沢のおじ様は電話の事はわかりますか?」


”やばい!先生ではなくおじ様になっている”

歴女尚美がでてきやがった!


「ああ知っている。この屋敷にも電話を引いている、月額で40円もかかるから国内での数はすくないが、確か米国で発明されたものだとか、」


「はい、私達の時代でもそのような電話は会社や家庭でも引いております。ですがこのスマートフォンはこのようにケーブルのような線もなく、だいたい12~3歳くらいからお年寄りまで一人1台は持っております。そしてこれは日本の何処にいても知人との会話ができますし、場合によっては外国にいってもつかえます。」


「そして知人と電話以外ではこのように手紙のようなやりとりもできます。」

そういって姉は友人とやり取りしていたラインをみせた。


「あとはですね、ウフフ、、おじ様、驚かないでくださいネ、これは写真を撮ってその画像を記念に残すことができす。」


”ゲゲ、今度はおじ様って!俺が驚くわ!!”


それは昨日俺と姉が考えて、先生がわかるような場所の画像を整理したものだそこには俺や姉さんが写っているもので浅草にある雷門や浅草寺、皇居と高層ビル群、羽田空港の飛行機などナド、先生は無言で食い入るようにその画像をみていた。


そして今度は俺から先生に説明した。


「このスマートフォンには、まだ先生が驚くような機能が沢山ありますが、ただ時間がいくらあってもたりませんので説明を省かせて頂きます。」


「そして、最後にこれをご覧ください」


俺はスマートフォンの画面を先生に見せて再生ボタンを押した。そこには姉が先生にスマホの説明をしている様子を俺が動画で録画していたのだ、姉と先生との会話のやりとりなどの音声もはっきり聞き取れる内容だった。そしてその画面に俺は二本の指で拡大したり縮小したりしてみせた。



”これが2025年のテクノロジーだぜ!”


俺は営業で鍛え上げたプレゼンテーション、そうプレゼンを昨日から姉と準備して今全力を出し切った。完璧だぜ!


渋沢先生は声を失くしていた。両腕を組み椅子の背にもたれかかり、顔を上にむけて目をつむっていた。


しばらく沈黙が続いた。、、、


突然、先生が笑い出したそれも豪快に笑い出したのだ。。

それから先生は両手で顔をパーンと叩き、突然立ち上がり頭を下げて言ってくれた。


 


 、、、”2025年、未来からようこそ”、、、、



そして右手を出して俺と握手をして、姉とも握手をしたのである。








つづく、、、、、

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