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第31話 尚美に刺客が送り込まれる。

いつも読んでいただいてありがとうございます。 



それでは、、はじまり、、、はじまり、、、


1901年3月のある日


神田神保町の藤堂龍三邸宅


”尚美”

「ごめんくださ~い、龍ちゃ~んいるの~、勝手にあがるよ~」


奥からバタバタバタと今日の当番をしている、子分が慌ててやってくる、、、

「姐さん、、スンマセン、、どうぞこちらです、」


案内された大部屋はすっかり診療、処置室となっていた。尚美に言われて龍三が大工に作らせた。診察処置台が2台にベッドが4台入っていた、床は畳が外され工事でフローリングのような板場となっている。床は血のシミがいくつもある。


「いつも悪いな~ネエさん、こいつを診てやってくんないか!」そこに龍三が腕を組んで見ていた。藤堂組のかかりつけ長谷川医師が診察をしていた、、尚美がのぞきながら、


「長谷川先生どう~治療できそうかな?~」



長谷川医師

「止血はしているが、ふともものでかい血管が傷ついてしまって、、もうこれは足を切らないと駄目だね、、」


ケガをしている子分

「え~俺のこの足を、、切っちまうですか~!、なんとかできねえですか~かかぁ~とガキが二人いるでぇ~なんとかできねぇ~ですか~たすけてくれよ~」と泣きだしてしまった。



じ~とその傷口をみている尚美、

「え~、、こんなの簡単じゃ~ん、すぐ縫えるよ~まってて私のマイクロサージャリーの道具だすから、、痛み止めのモルヒネは注射してるの~」

そう言ってリュックをおろし中からゴソゴソいろいろ取り出した。


長谷川医師

「あ~大丈夫だ~さっき注射したばかりだ。」

この尚美先生にはいつも脅かされる、、日帝大医学部に臨時で雇われていると言っていたがなんとすごい医療技術を持っておる、、腹を刺されて腸まで切れかかった若頭の腹をかっさばいて縫ってなおしやがったそれも30分でだぞ、誰がそんなこと信じよる、、間違いなくそんな患者はでかい病院の手術台にのってエーテル麻酔をかけてやるもんじゃ、こんな場所でできるもんか~と思っていたが、尚美先生からいろいろ教わったよ、、医学部の薬物学では新しい痛み止めや点滴治療法、五条商会のいろいろな治療道具、とくにこのモルヒネのアンプルはすばらしい、、局所麻酔として傷口に注射をすれば患者の痛みや苦痛がなくなるのだ。あと腰椎麻酔についても教えてくれた麻酔で下腹部の手術ではエーテル麻酔がなくても患者の意識があるなかで手術ができる、、場所を選ばないのだどこでも手術ができるこれも私は教わった、、、、そしてこの切れかかった血管も縫合できるという、そんな事が本当できるのか~信じられない今日はその神の手の手術をじっくりみてやる。



救命救急医の資格を持つ尚美にとって血管を繋ぐ手術は必修だマイクロサージャリーは「微細な外科手術」を意味し、手術用の顕微鏡を用いて1mm以下の血管や神経をつなぎ合わせる難易度の高い手術だ、その手術道具は職人が自分専用の道具を持つように尚美も自費で自分にあった専用のマイクロ手術用の器具を持っていた。




関西の侠組織淀川会は代官山でわけありのでかいお屋敷を購入して本格的に進出してきたのだ。そこでは堅気の金持ち達をあつめて定期的に賭博が開催されイレズミをいれた女サイコロ師が胸にさらしをまいてろこつに肌をさらし大人気となっていた、、、、また近くの料亭もいやがらせで安く店を買取り関西のスケベな技を持っている女たちを連れて来て金持ち相手の売春館として女好きの社長さん達の間では噂となっていた。、、、こうやって彼らは着々と足場を固めてきたのである。連中との小競り合いはしょちゅうだ関東の連中も気が短い江戸っ子達、、相手にも手傷を負わせているが、、



そういう事でここの本部はいつのまにかけが人の為の処置室と入院施設となっていた。すでに3人がけがの治療を受け点滴され横になっている、、、、



ここで少し尚美のまわりの状況について整理してみよう、過去にもどってちょうど1年たった。


第二外科の中村正忠教授教授は6月の世界外科学会で血圧計についての発表で集まった結果と論文との精査をしている。上杉先生は昨年6月1日で助教授になった、今はペニシリン開発者として効果について治験資料を集めている薬学部助教授城島洋介は独逸の試薬でついにペニシリンの結晶化に成功したよ どれくらい効能や保存できるかがこの1月から上杉先生が治験を開始した、ペニシリン入りの生理食塩水もまだつかっているよ、これも便利だといっていた。最終的に上杉先生と城島先生との共同開発で世界にだすつもり、、あとモルヒネで局所麻酔のアンプルを作ってもらい常に携帯できるようにした、ほかに腰椎麻酔の麻酔剤、脊髄くも膜下腔に麻酔薬を注入する麻酔法だ、エーテルの全身麻酔と違い危険はすくない、すでに関係する部署ではあたり前のように使っている。第二外科医局では医局長の”かつじ”が生理食塩水と点滴セットを国内の外科学会で発表、、この点滴セットはさっそく全国の病院で使われる事になる。本人は姉さんのスパルタで腹部のいろいろな手術が完璧にできるようになった。今では他の先生へ指導している、内科の3教授と医学部学部長山口佐久衛門とはすっかり血圧も安定しており漢方とテ〇ミ〇ルタンを交互に使ってもらっている。いまのところは順調だ。



”尚美”


私は学生時代専門実習で使う為に自費で購入したマイクロサージャリーの器具と医療材料を滅菌バックから取り出した。あんぽんたん清水に椅子をだしてもらい向かいに長谷川先生に座ってもらった。清水にはLEDライトを渡して血管に照明を合わせるようにいった。そして持ってきたカー〇ツァ〇スの2.5倍のルーペ眼鏡をかけると手指消毒をして手術用の手袋をした。長谷川先生の向かいに座ると先生に30ccのシリンジを渡して「これで生理食塩水を血管のまわりが乾かないようにポタポタと垂らしてください」とお願いした。私は血管縫合用のダブルクリップをだすと切れかかった血管の両端を挟み動かないようにした。マイクロサージャリーの独特な形状をした持針器で針付き10-0ナイロンを(髪の毛程の太さ)を掴み、これまた独特な形状の攝子で切れかかった血管をうまくつかむと、2.5倍のルーペ眼鏡でじーと見ながら縫い始めた、、5~6針きれいに縫うと止血しているベルトを緩めてもらった。血流が脈をうちながら流れてきた。すこし白かった血管が赤みを増してきた。縫った所からはもう出血はなかった、、、、、はじめてから15分も経っていなかった。後はペニシリン入りの生理食塩水で傷口を洗い医療用ホチキスできれいに傷を止めた、、そこを消毒して包帯をグルグル回して処置は終わった。



長谷川医師

私は驚愕した、、あっと言う間に終わちまった、、なんだあの細い糸は、、、それに血管をはさんだあのダブルクリップ、、そしてその変わった眼鏡、、私はそれを見せてくださいとお願いしてかけてみた、””ドヒャ~~ン!ナンジャコレハ!拡大鏡という事はなんとなくわかっていた、、それで近くの物を見るとビックリするぐらい拡大して見えた、、、これなら細い血管も縫えるわけだと思いどこで買ったんですか?~と聞いたら、、笑いながらドイツ製です、と言った、、独逸にはすばらしいものがあるな~とうらやましく思った。しりあいの独逸と取引している商人に頼んで手に入れようと思った。




その時玄関のガラス戸をガラガラガラ~と思い切り開けてすっかり元気になった若頭 大庭 丈一郎がバタバタバタとあがってきた。 


「姐さん、、尚美姐さんが来ているて本当か~、、姐さ~ん」と言いながら尚美を完全に慕っている強面の若頭だった。


「飯だ、、飯、、姐さんの好きな肉、、肉だよ、トンカツ食いにいこぜ~」そして尚美の弱点も知り尽くしていた若頭だった。





1901年3月のある日

千鳥ヶ淵の近く九段下の料亭


そこには産婦人科原平蔵教授と上京してきた関西淀川会の親分河田金五郎それに若頭高倉安吾が酒を酌み交わしながら悪だくみの話しをしていた。 


”原平蔵”

「親分さん、ちょっとばかし、、お願いがあるんだが、、儂の親戚の森林太郎を秋の外科の教授選で押すつもりなんだか、1人儂に逆らうおなごがいるんじゃ、どうも裏で動いて儂の派閥を取り込んでおるようじゃ、親分さんとこの兵隊を使って始末してどこぞの海にでも放り込んでくれないか、、そのおなごの名前は英国医師サリバン尚美というんだが、、、」


その名前を聞いて驚いたのが若頭高倉安吾、懐から藤堂組が緊急回状でまわした尚美のだだもれ個人情報と似顔絵、そこにはしっかり英国医師サリバン尚美と書いてあった。高倉は密かに手にいれていたのだ


「平蔵のおじき、、ひょっとしてそれはこのおなごのことですか?」そう言って回状を平蔵に見せた、、


原平蔵

「あ~こいつだ、このおなごだ、、こいつこんなにべっぴんではないがのう~なんだこれ、、なに~藤堂組の龍三と兄弟盃を交わした~なに~ 龍三が弟分だって~ばかじゃねのか~いったいおなごがやくざと兄弟盃を交わすなんて聞いたことね~ぞ~」


金五郎親分にその回状をみせる若頭高倉

「親分これは一石二鳥ですぜ、、おじきをじゃまするおなごそして藤堂組龍三の兄弟分だ。こいつを殺れば連中は大騒ぎですぜ、、」


"そうか~やっとつながった、こいつだ、、絶対にこいつだ、藤堂の若頭の丈一郎を腹を刺して仕留めたと思っていたが、10日もしね~うちにぴんぴんして歩いていやがった。ぶったまげてしまった。普通はもう死んでるぜ、、どうやったかしらね~が、この女だ、、今のうちにぶっ殺さね~と、、いやな予感がするぜ、、、”


金五郎親分

「そうだな~おなごひとり始末するだけで、、おもろいの~ 龍三の手練れがついているかもしれん、ほれ、いつもたのむあの居合の達人に若いのを2~3人つけて始末してもらいな、、」


若頭高倉

「あの300年続く奥義「磯之波」とかいう剣技をもった居合の達人片山一斉の奴ですね、、”まだ30歳はいってね~のに奴にはずいぶん始末してもらっている”、、わかりやした。明日にでも連絡いたします。」














つづく、、、、、






命を狙われているのに何も知らず夜中、、寝ている結城を無理やり起こして、「あ~トンカツ食いすぎた~胸やけがひどい~よ~あんた医院から胃薬とってきて~」と弟をパシリに使う姉であった。








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