第16話 結城劇場 その3
"結城”
俺は”エドワード・デービス卿”があの時聞いた、スーザンの御先祖だとわかったときの、目が眩むような驚きからはすぐに立ちなおることができないままでいた。
それでも渋沢先生と一緒に他の客の挨拶している人達にまぎれて、めだたないように挨拶をした。
だが自己紹介をして名刺を渡すその手は震えていた‥‥スーザンと繋がる御先祖様が目の前にいるのだ、、心臓はバクバクして、立っているのもやっとそのくらい衝撃をうけた。
125年先の未来でスーザンママから写真をみせてもらった御先祖さまの、その本人を、、それもきっと、今日その写真を撮影する日にきたわけだからどいう運命なんだろう~
いったいこれからなにがおこるのだろう‥‥
”デービス・エドワード卿”
”フン、あの臭くて品のない中国人よりも、人まねのうまい黄色いサルどもとつきあうほうが金になるため今日よんでやったが、、あの黄色いサルの最後に挨拶したゴジョ、、ウ、、ユウ、、キこの名刺を渡すときも手が震えておったがいったい何者だ”
”あいつが着ていたタキシードの作りは、儂の一族が下立てている、サヴィル・ロウ通りにあるHENRY POOLE & COのつくりじゃないかな?”
“ほかのサルどもが着ていたものよりも何倍もいいものだ。ひょっとしたら儂のものより良さそうだあの生地はどこで手にいれたものだろうか。”
”サルに聞くのは癪だがどうしても知りたい、、、”
ひとりめに目を付けられた結城である。
”デービス・サラ”
”なに、なに、な~にあの最後にあいさつしていた日本人とっても背が高くて髪をオールバックにしてサムライのような感じ、そしてあの眼、あの眼よ、、、お父様は日本人をいつもサル、サルといっていたけど、あの日本人はなにか違う、と~ても気になる。あとで挨拶に行こうかしらあ~~ドキ、ドキする。
ふたりめに目を付けられた結城である。、、、
ひととおりの挨拶が終わると主役であるエドワード・デービス卿はあのグランドピアノの前でご家族との記念撮影を始めた。
”あ~~ここだ、ここだよ……これが俺が見たあの写真になるのか。おれは渋沢先生といっしょにご家族に近づき、わざとはじのほうで写真に写りこんだ。
腰もとでVサインをしながら、その時、、”パシャ~~~”と物凄い音と共にすごい閃光で目が眩んでしまった。
この写真が125年後先の未来まで残りスーザンママがもっていたアルバムに貼ってあるわけか~、、なんか少し不思議な気持ちになった。また誰かがスーザンの隣でこの写真を見せてもらうことがあるのかな~と思うと悲しくなった。
最後にスーザンとあったのは昨年末、ロンドンのホテルで新年のカウントダウンをしていたのに、、、まだ3ヶ月もたってない。
だが今は俺とスーザンとの間には125年もの時間が‥‥離れている‥泣きそうになった。
そうだ!ある事を思い出し、隙をみてそのピカ、ピカのピアノの天板をみた。
そこはキズひとつない少女の肌のような美しい輝きをしていた。
な~んだこれから先に起きるのか~と軽く流していた。、、、
開宴の挨拶もおわり歓談がはじまった。蝶ネクタイを付けたボーイさんたちが 忙しそうに右手に飲みものが載っているトレーでシャンパンを配っていた。食べ物も各テーブルにいろいろなものがあがっていた。
そうだおれはここに商売にきたんだ。渋沢先生といっしょにボーイさんから飲みものをもらい、つまみが盛られた皿をメイドさんからもらったら、近くのテーブルに座った。
そのテーブルにはすぐ後から、渋沢先生に頭を下げながら商工会の偉い方が3人同席した。俺はすぐ立ち上がり、近づいて笑顔で名刺をだして挨拶した。
今日、お招きを受けた日本人5人がこのテーブルにあつまり防御陣地を構築した。
周りは英国人男性多数、あとは俺をエロい目でちら、ちら見る英国の熟女の御夫人も多数。
それと仏蘭西人が若干、、ただその内3名は挙動不振、裏社会の臭いがする。
俺は会場を軽くひと周りして偵察行動をして報告を司令官、渋沢閣下にした。
この仏蘭西人3名には絶対に近づいてはいけません。ここにいる西洋人の中で、一番ひどい言葉で日本人を差別しているからだ。
そして商工会のお偉い3名もそれを聞いてうなづいた。我々はここに鉄壁の防御陣地を構築したのである。これで俺は安心してあとで単独で英国商人を奇襲しようと計画を練った。すでに俺は偵察行動で攻撃目標を決めたから、、、
(なんでわかるって、前に紹介したが英語のほかに仏蘭西語と独逸語も堪能なんだ。)自慢する結城
”オイルライター、ジ〇ポーの話し”
渋沢先生が先日、俺が彫金を頼んだジ〇ポーをテーブルに出した。
それは見事な彫りで、表面に登り龍、桜ふぶき、芸者ガール、それと俺が後で頼んだ、ユニオンジャックと頭蓋骨と交差した剣、ずばり海賊旗だ。コレクターなら垂涎のできばえだ、当然色なんかこの時代つけることなんかできないがこっちのほうがだんぜんシブイ深みがある。
俺は見とれてしまっていた。商工会の人も興味をもってそれぞれ手にとってみていた。前にも話したがライターという言葉は1903年にならないとないりっぱなライターは1913年にできるのだ、だからこの時代タバコを吸う時は全てマッチだ。
(ところで少し余談になるが英国など、この頃のマッチは黄リンでできていたんだが、これが体にとって有害な物質で、大量に吸引すると中毒を引き起こすこともあるんだ。特にマッチの製造従事者たちの健康被害は深刻で、黄リンマッチが普及するにつれて次第に大きな社会問題となったんだ。)
(英国では特に無知な貧乏人の女性や少女たちが大勢、医者にかかることもできずに早死にしていくんだ。え、なぜ女ばかりだってこの時代、女が選べる仕事なんかそうそうあるもんか!)
ものしりの結城だった。
商工会の一人がカチャと蓋を開けジリと親指の腹で火打ちをまわしたらボッと火がついてびっくり、それからみんなでボッ ボッ ボッ ボッボッボッボッ ボッボッボッボッボッ、、、、、
”コラ!!いつまで遊んでいるんだ!!”と結城が一言
こどもが新しいおもちゃで遊ぶように何度も点けては消していた。そして口をそろえて言った””こ、こ、こ、これを売ってくれ、、、”
それは見本なので無理だがやはり反応は俺が思っていた通りだ。
俺は渋沢先生にこれがこの時代に作れるのか聞いてみたらすこし時間がかかるが材料の手配が順調にいけば問題ないそうだ。
よし!わずかだがこれで、この国の俺が手掛ける輸出品のひとつのメドがついた、あとは国際特許が各国どうなっているのかな~と考えていたら‥‥
突然、仏蘭西から奇襲攻撃をうけてしまった。
見張りは、見張りはなにをしていたんだ~と俺が商工会の偉い人をみると。
ボッボッボッボッ、ボッ、ボッとジ〇ポーで遊んでいたのである~~~~
それは裏社会の臭いがするあの仏蘭西人3名だった。
敵襲!~~敵襲!!~~敵襲!!!~~~と俺は司令官・渋沢閣下に注意をよびかけた。
仏蘭西人3人は司令官・渋沢閣下の背後にまわり、英語しかわからない日本人と思っており母国語で俺達を見下し罵倒しはじめた。
仏蘭西人ボス
「このブタやろう!! 生意気に人間様の料理を食ってじゃね~あっちいって
犬のえさでもくっていやがれ~~」
仏蘭西人部下A
「日本のブタには犬のえさはもったいね~犬のクソで十分ですよ。ウフフフ」
仏蘭西人部下B
「ボス、パーティーの帰りにこいつらやっちまいますか、」
俺は両手のひらでバーーーン!!と強くテーブルを叩き、おもいっきり立あがりボスの手前までいき左足を少しだし、両手を胸の前で組んで腰をすこしだけ落としながら上半身を前に倒しこみ ボスの顔面に顔をこれでもか~~~と近づけ夜叉の様な形相でメンチを切った。
”おどれ!!!なにさらしてけつかんじゃぁ。しょうもないことしくさりやがってパチキほりこんだろか。何?わからんようやの~。なめとったら、しまいに、いてまうど。!!!”
(仏蘭西語ですよ、みなさんわかってますか仏蘭西語ですからネ~)尚美
(わからない人の為の訳、、、、結城)
”貴方は一体何をしたんですか?、自分がしたことを判ってるのですか?、つまらない事をしたんですよ。頭突きでもしてあげようか?理解できないのだったら、最後にはあの世に旅立っていただきますよ~。”
まさか仏蘭西語で強烈なメンチと飛んでもね~~~脅し文句を顔面にこれでもか~~と夜叉のような形相で反撃されると思っていなかったボスは、しっぽを足の間にいれて負け犬のように、、俺に三人そろって直立不動で一礼して他のテーブルに去っていった。
つづく、、、、
”尚美”
結城!!それ、わたしのマネ、ね、ね、、高校生のときのマネだよね~~~
(どんな女子校生だったんだよ!!)と心配する尚美パパ




