表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/54

第15話 番外編 魔女尚美が見た夢 その3





8月19日、、早朝、第三軍は第一次旅順総攻撃を開始した、、、



その作戦の詳細は二龍山にりゅうざん東鶏冠山ひがしけいかんざんの両堡塁要塞を攻撃する事を主目標としていた。


要塞のもっも堅固な部分を突破することでいっきに要塞陥落をねらったのである




尚美は持ってきた双眼鏡で敵要塞を見ると激しい砲弾の雨で山頂や中腹の山肌は噴煙に包まれていた。


激烈な砲撃にもかかわらず、敵要塞はほぼ無傷であり、突撃部隊はことごとく堡塁や砲台に達する前に壊滅していった。


要塞攻略を任せられた第三軍は単純な正面突撃を繰り返し、要塞の周囲には日本兵の遺骸が累々と重なり屍山血河の様子となってきた。


突撃しても火砲、機関銃、小銃による猛撃の前に死屍累々の惨状である。





二龍山にりゅうざん堡塁要塞から300m離れている日本軍塹壕


ここは第九師団第一連隊、一五〇〇名が突撃をまっていた。

タバコを吸う強者もいたが手は震えていた。新婚の妻の顔を思い出している兵もいた。3人の美しい娘さんの写真をジート見つめいる兵士がいる。彼らは今、確実に生きていた。、、、、、


突撃時間が近づいてきた。ベテランの兵士はもう悟った300m先の敵陣地に着く前に俺は死ぬだろうと、、、


ある兵士はしょんべんをちびって震えていた。入隊したての17歳の近藤は胃の中身をはきだしていた。


そして目の前のロシア軍陣地を見て、1500名誰もが無事に帰れないと悟った。


各部隊の指揮官が”着~~剣~~”と大声でさけんだ。


各兵士が三十年式歩兵銃に着剣をはじめた。そこにはふるえる手で銃剣をつける川崎潤一がいたのである。彼は後方兵で戦闘に参加するはずはなかったが山下少尉の命令でここに連れてこられたのである。



各部隊の上官が右手に持ったサーベルを高く突きあげ、”突~撃~~”と発すると塹壕にいた兵士たちが、一斉にワァ~ワァ~ワ~~と大声をあげ塹壕を一気にかけ上がり突撃をしていく。


そこえロシア軍の時限信管がついた榴弾砲があちらこちら上空で爆発する、そのたびに、その破片は降りそそぐのである。バタバタと倒れる兵士ち、、、、

そこはもう阿鼻叫喚、、地獄の世界であった、、、、、、、、



遠くで尚美はその様子を双眼鏡で見ててヘルメットがあれば頭部損傷による死亡率がさがるじゃないかなと思って見ていた。


くれないの乙女は第九師団、救護所で負傷兵が後送されるのを待っていた。


彼女たちの手にはトリアージタッグを束にしてもっていた。





二龍山にりゅうざん堡塁要塞 ロシア軍機銃砲座から50m程にある第一鉄条網の前


”第一連隊の連隊長加藤少佐”

昨日の作戦会議で私は意見具申を伊地知いぢち 幸介こうすけ参謀長にした。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~

「正面攻撃は無謀ではありませんでしょうか。」


「鉄条網を敷いた防御線を3重に渡って施設した近代要塞で、機関銃、大砲、地雷をもって厳重に防禦されておりとても私の第一連隊でここを突破することはできません。」


「兵の消耗を避けるには二龍山にりゅうざん正面攻撃を陽動作戦としてどこか弱点となる場所に全軍をあげて一点突破を意見具申します。そしてその弱点となるのはここ203高地」


そこを第一連隊長の加藤少佐が指をさした。



「バカモ~ン、我々は名誉ある日本帝国陸軍がそんな弱腰でどうするだ!!、

大和魂と根性があればどのような困難も突破できる。そのような気持ちでいるとはどういうことだ~」と一括した。


私は伊地知いぢち 幸介こうすけ参謀長を睨みつけて思った。

だめだ、、こいつに何もいってもだめだ、こいつの大和魂と根性の為に私の部下1500名が無駄に死んでしまうかと思ったらこいつを今、ぶっ殺してやろうかと思った。だが私はやめた。せめて死んで行く部下たちと一緒にいたいと思った。きっと、きっと、誰かが私達の思いを汲んでこいつに天罰を与える人が来ると思う。その時を部下たち一緒に待つことにしよう。


私はその夜、家族あての遺書を書き遺髪を添えた。


    ~~~~~~~~~~~~~~~~


「連隊長殿~~鉄条網の切断ができました~~~」


それを聞いた私は右手のサーベルを高く突きあげて叫んだ!!

「連~~隊 突撃!!!~~~~~~~~」



”師団本部”


近くで伝令兵が大声で上官に報告しているのが聞こえた。、、、、第一連隊 戦闘開始30分で連隊長以下ことごとく戦死または負傷 全滅!!!!!とさけんでいた。


1500名の兵がたった30分で死ぬかそれとも負傷をしていた。そこの上官はあおざめた顔をして双眼鏡片手に伝令兵といっしょに走りだしていった。


私はすこしほくそ笑んだ、これで山下の奴と酒井は死んだかここに運ばれてくるフフフ、、、



トリアージ・タッグとは判定結果を4色のマーカー付きカードで表示する、一般的に傷病者の右手首に取り付けられる。


黒 カテゴリー0(無呼吸群)

死亡または生命徴候がなく直ちに処置を行っても明らかに救命が不可能なもの


赤 カテゴリーI(最優先治療群)

生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置をすべきもの。


黄 カテゴリーII(待機的治療群)

基本的にバイタルサインが安定しているものの、早期に処置をすべきもの。


緑 カテゴリーIII(保留群)

歩行可能で今すぐの処置や搬送の必要ないもの。


救命処置の優先順位はI → II → IIIとなり、0は最後に救護所へ搬出される。




戦闘が終了すると各申し入れでいったん休戦となる。


その間に赤十字を付けた後方勤務する兵士が担架をもって負傷者を後方へ搬送するのである。


尚美たちが次々運ばれてくる負傷兵を上記のようなルールで手際よく状態を見き分けて救護所へ運ばれる順位を決めるのである。


軍の救護所の中からも点滴いそげ、ペニシリンをもっともってこい、、尚美と上杉医師が広げた治療法が確実にひろがっていた これで前世では亡くなっていた兵士も助かる可能性が高くなったのである。


”尚美”


次々運ばれる負傷兵を手際よく容態を見極めてトリアージ・タッグを右手につけていた。次の負傷者を見たら、太ももに大けがをした、私の顔に唾を吐いた酒井伍長だった。


彼はかすれる様な声を出して「せ~んせ~い せん~せ~い たす~けて~くれ~ せん~せ~~」


私はしばらく彼を見つめていた。


私の体が勝手に動いた、トリーアージは赤 レベル1今すぐに処置をしないといけない、だがレベル1で待っている、負傷兵は救護所からあふれており、待っている間にも死んでいく兵士もいる。こいつもそうだ私はすぐにしゃがみ込み。

「愛子 大至急点滴を持って来て~~」


そして肩から下げていたコンバット救急セットからハサミを取り出すと傷口の生地を切り始めながら彼に聞いた。

「山下少尉はどうしたの?」

「ふ~とび~まし~た。ほう~だん~が~ あ~た~り~ふ~とびまし~た~~ばら~ばら~に ふっと~びま~した。」


ざま~みろと思った。


これで潤一君もいじめられないですむと思った。


止血処理もうまくできて切開したところを攝子でつまみ医療用ホチキスでとめて治療を終わらせた。


「ほら、もう大丈夫だから、これで家族のもとに帰れるわよ、、」


といって彼の顔を見たら大粒の涙を流しながら私を拝んでいた、、、、



ちょと恥かしくなって視線をずらしたらそこにじ~~と私を見つめてる負傷兵が横たわっていた。


私は、、わたしは、、、ワタシ~ハ、、、なんで、、ね なんで、なんで彼がここいるのが分からなかった。 あなた、、馬の世話係よね~~なんでどうして、どうして~ここにいるのよ~~~両目から突然なみだがボロ、ボロ、ボロと流れてきた。



彼は両目を開きわたしを静かに見つめていた、、、、、、


それは私が知っている、、きれいな目をした潤一君ではなかった、、、、


それは死んでいる目をした潤一君だった、、、、


私はすぐに駆け寄り彼の顔を両手でつかみしばらく見つめていた。


彼の顔には私の涙が、、、ぽた、ぽた、ぽた、と落ちた。


私はすぐ愛子をよんで指示した。


「愛子、、私たちの車につんでいる遺体カバーもってきて、それと潤一が好きだったお菓子もお願いね。全部よ!好きだったお菓子は全部もってくるのよ。いつしょに遺体カバーにいれてあげるから。あっちでゆっくり味わってね」


そういって尚美はやさしく彼のまぶたを閉じてあげた、、、、




私は今、伊地知いぢち 幸介こうすけが寝ているテントの前にいる。となりには結城と英国からきたクリストファー・マーク中佐、それと潤一君と同じ、軍馬の世話係4~5名彼らは潤一君と同じ秋田県出身である潤一君が死んで悲しんでいたが、偶然私の計画を知り協力したいと申し出てきた。そして彼らなりにいろいろ準備してきた


テントの中で結城とマークが彼を押さえつけ、私は麻酔剤を彼の腕に注入した。伊地知をテントから引っ張りだすと用意してきた十字架にしばりつけた。

潤一君と同じ秋田出身の親友たちがその十字架のまわりに集まり、伊地知のコスプレをはじめた頭にニンジン2本をうまくしばりあげ、ツノのようにして顔には秋田の伝統行事の仮面ににせて作ったモノをかぶせ、馬の餌のわらで作ったみの着せた、そして右手には包丁の代わりに伊地知のサーベルをはずれないよう強く縛って完成した。


シルバーなら知っている、、知らない読者はこのキワードで検索してね。”泣く子は、いねか~~~”天国の父


あとこの先は危険なので3人で目的地に 静かに、静か~に進んだ。


そして今二龍山にりゅうざん堡塁要塞の激戦が激しかった、機関銃砲座から50m手前に来ている。


ここにきたら8月なのに急に寒くなってきた。まっくらな深夜で私達だけなんだが、まわりに人が集まりはじめてきたような気がしてきた。、、、、、


私達は深い穴をほりその十字架をうまく立ち上げ倒れないように石で補強した そして3人でグータッチをして引き上げようとした瞬間、、、、


「あ~り~~がと~、あり~が~と~、ありが~と~、、、、」とすすり泣きのような声の大合唱が聞こえた。



”そこに第一連隊長が直立して私に敬礼して立っていた。”


後にはここで死んで行った900名程の勇敢な兵士が綺麗な直立不動の姿勢、で部隊整列をして恨みをはらしてくれた喜びの笑顔で私達に敬礼をしていた。


そして、、そして、、連隊長のとなりで潤一君が私におもっいきり手を振っていた。反対の手にはあのお菓子が握られていた。その目はとってもきれいだった。


私は一瞬びっくりしたが、笑顔で親指をたてその腕を彼に向けた。連隊長も親指を立てて私に笑顔を向けて、あ、り、が、と、うのくちぱくで全員静かに消えていった。、、、、



(ミッションコンプリート!!、、)仕置き人尚美





二龍山にりゅうざん堡塁要塞にあるロシア軍機関銃砲座”



ロシア兵のニコライは両手を機銃の上で組んで朝もやの戦場を見つめていた。

朝もやがうすれてきて、、、、、、俺は驚愕したそこに鬼が俺の事を睨んでいたのである、そいつはロシア民族由来の刀のシャーシュカを握って、、、、、 俺達が日本兵を笑いながら殺したことを罰するようにすごい形相で、、


(ニコライく~~ん、それは日本軍のサーベルですよ~)天国の父


俺は機関銃の発射レバーをガチャーンと引き 


大声で「鬼だ~~鬼だ~~~みんな起きろ!!~」と叫んだ


(ちがいま~~す 鬼ではありませ~~ん、秋田が生んだ、なまはげで~~す)おちゃめな天国の母


そして鬼に向けてトリガーを引いた、バババババババババ~~~~ン


4~5mほど離れた両隣りの機銃砲座も気が付き同じように。バババババババババババ~ンと打ち出した。


50名程の兵も起き出してパパパ~ンパン~パンパ~ン


さらに鬼をみて恐怖にかられた兵は手投げ弾をこれでもか~~~と陣地にあった30発全て投げつけた。、、


(やりすぎよ~~)とさっきおちゃめだった天国の母


そこには何もなかった、でこぼこと穴があき、木片があちらこちら肉片や血だまりさえなかった。完全に伊地知いぢち 幸介こうすけは消滅してしまった。



(ざま~みろ、死んでいった、みんなに詫びをいれてこ~い、あれ!!、お前はあえないか、みんな天国だし)仕置き人尚美




その日の朝、日本軍の再攻撃が始まった。ここを攻めあがってきた部隊は驚いた、、まわりの部隊は苦戦していたが ロシア軍のここを守っていたはずの3丁の機関銃砲座は火を吹くこともなく、また守っていた兵士からも弾一発飛んでこなかった。かわりにとんで来るのは石礫だけで、我が部隊は1人もかけずに

この陣地を占領することができた。どうも銃の弾が一発もなかったようである





私たちが野営地にむかってあるいていたらロシア軍陣地のほうから機関銃の音や爆発音が聞こえてきた。


結城がうしろから喜んで肩をバン、バン、バンバンバンバン叩いてたはずが幸子に変わっていた。


「教祖様おぎてくれ、朝だべ~、はよ起きれ~、メシどうするだ~~」



私は寝ぼけた顔にスルメの食いかけの足をペターとくっけて上半身をあげた 右手にはカラのコップを握っていた。テーブルには一升びんが転がり、こぼれた酒でビショビショだった。


あの夢はなんだったろう~~と、ぼ~~と考えていたら当然電気が走りひらめいた。


「まだ 間にあうじゃないのよ~~」


(よく 気が付いた!!!!)と父と母





あれからしばらくして、私はいま秋田県にきている、そしてある一軒の農家の前に来た。私は玄関先の庭で妹と遊ぶ10歳前後の兄を涙を流しがら見つめていた。少年のその目はとてもきれいだった。 



彼が私にきづいて駆け足でよってきた。 


そして


「オジさん、なんかようか?」と言った。


パシ~~ンと私は思わず彼の頭をはたいてしまった。



2年後その少年は五条商会で働いていた。そしてもう少ししたら ”くれないの乙女”のスタッフではなく、しもべにするつもりだった。フフフフフ、、





番外編 魔女尚美が見た夢、、おわり、、、



パチパチパチ パチ~とは読者は拍手をしなかった。


ぜん ぜ~~ん面白くな~~~いと言ったかどうかは分からない


なに!!~~~と、怒った尚美である。


「尚美ちゃ~~~ん、このスラ〇ダン〇の続きないの~ハイタッチで終わりなの~~」


と聞いてくる。点滴ガートル台をカラカラ押してマンガ好きになった。正岡 子規である。








さてさてやっと皆様おまちかね。 

次回から結城劇場の続きからはじまりますよ。お楽しみにしてください。



つづく













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
木製迫撃砲花火筒の流用が作中時点で登場ししていなかったっけ❓
 戦争は噺のネタとしては必須なんだろうけど、元金の目処もついて、相場と山師でビッグモーカルな未来しか見えない状況でやらんでもとは思う。  現地のダミー会社に日本国債買わせて還元しちゃえば良い訳だし、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ