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第113話 公安警察


近代警察制度の黎明期である1874年1月15日、東京に内務省の機関として東京警視庁が設置され、その長には、後年「日本警察の父」と呼ばれた川路利良が任命された。長官の呼称は「警視長」「大警視」と名を変えたが、1881年1月14日、警視庁が再び設置された際「警視総監」と定められた。公共の安全と秩序を維持することを目的とする警察の誕生である。


台風災害が起きる一年前にさかのぼったある日


日露戦争が終わると、国内に戻ってきた兵士は国を命がけで守った栄誉の目で国民からみられていた、しかし大勢の兵士の中には粗暴な兵士もいて、酒に酔って一般の人々に迷惑をかける様な事案が多発した。


それを見た任務に忠実な警官が、公共の安全と秩序のために兵士をとがめて、警察署に連行してもすぐに、上官の将校が飛んできて「我々は陛下の直属の組織である、警官ごときが我々を罰することなどできない!」と脅かし、その兵士を連れていくのであった。まるで治外法権である。


そんな時に大きな事件が起きた、東京の街を走る電車に乗るために一般の人々が並んでいたら、一人の若い士官が並ばずにあたりまえのように一番前に割り込んだのである。


それを偶然目撃した一人の年配の巡査が、近づきその士官に「こら~、割り込むな~、後ろへ並べ!、」と注意したのである。


その士官がその巡査に対して、「戦場で命をかけて戦う皇軍の兵に対して、その言葉使いはどういうことだ~!」と激怒してその巡査の胸ぐらを右手でつかみ思いっきり殴りつけたのである。その勢いで巡査は後に飛ばされた、年配の巡査は頭から倒れ込み、偶然に電車が走る鉄製のレールに後頭部を打ち付けてしまい意識をなくしたのである。


その士官は介抱することなく、その場から逃げるように去っていき、病院に運ばれたその巡査はその後、脳内出血で亡くなったのである。


目撃者の証言で巡査が所属する所轄署の署長が、殺人事件としてその士官が所属する連隊に犯人の引き渡しを求めると、その士官からは「巡査がいきなり暴言をはいて、先に手をだしてきた。こちらはそれを避けるためにその手を振り払ったら勝手に転んでしまったので、こちらには責任はない、」と言い張り、

それを聞いた彼の上官はむしろ「皇軍の士官に暴言を吐く事は、陛下にたいして暴言を吐いたことである。所属する署長からの謝罪を要求する。」と言い張り逆に警察に謝罪させるとういうとんでもない事件が起きたのである。これにより警察の内部には軍人に対する異様に不満な状況が溜まっていったのであった。


そして伊藤博文閣下が国粋主義者に刺殺される事件が起きると、過激な思想をもつ軍人は「国を外国に売った売国奴の奴らは、これからも背中を気を付けて歩けよ!」とふてぶてしい事を言う軍の将官まで出てきたのである。


そんな時に警視庁第17代警視総監亀井英三郎のもとに、政府の政務官である五条結城がある計画書をもって訪ねてきたのである。


しばらく部屋で打ち合わせを済ませて、五条結城が帰ると亀井警視総監は喜々とした顔になり、すぐに副官や各部署の長を呼びつけて会議が始まったのである。


五条結城が警視総監と打ち合わせした内容は、軍の皇軍としての権利である、統帥権を取り上げて、警察の捜査権が陸軍大将であっても、逮捕できる政府の一機関に格下げする計画に協力することだった。


そのための組織として、公共の安全を維持することを目的として、外国政府による対日工作や国家体制を脅かす事案に対応する、諜報活動組織である公安警察の設立、特に今回は国粋主義者の団体や一部の軍の士官による国家反乱の計画がないか気づかれないように諜報活動するのである。この公安警察は政府の直轄組織となり、政務官の俺がしばらくのあいだ責任者となった。


それと政府要人や各国から来日する要人等の護衛を専門にする警護部の設立、

それと強力な武器をもった組織に対抗する為、同じような強力な殺傷兵器をもたせた警察機動隊の設立も指示してきたのだ、そのための当別予算が大蔵省の戦費回収特別局から、警視庁へと潤沢な資金が流れたのである。これにより、今まで軍の犯罪行為で、さんざんひどい目にあわされた警視庁は署員あげての組織作りが始まったのである。


警視庁には、江戸時代から続く将軍直轄の諜報組織である、御庭番の組織がそのまま引き継がれた一族が警察に所属していた。


その名は服部半蔵から12代目にあたる人物で、服部半蔵元政を所属長とした諜報部門で警察の予算も少なく、いくつかの小さな犯罪組織の調査を専門としていた。


そこの部門が改めて公安警察として、格上げされ政府直轄の諜報機関となったのである。


服部半蔵元政とその娘の服部汐音 (しおね)が立憲政友会の事務所にいた俺の所に挨拶にきたのである。


50歳を過ぎた鋭い目つきをした、精悍な元政と20代と思われる髪の長い汐音が俺を値踏みするような目で見ながら挨拶してきた。


俺は”まじか~、あの服部半蔵の子孫だぜ~、こんな連中が警察組織にいたのかよ、ひょっとして未来でも活躍していたのかな~何しろ公安だからな~秘密組織だぜ~”と、ちょっと興奮しながら事務室のソファーに座ってもらった。


「五条さん、新しい事務所をありがとうございます、これで肩身のせまい思いをしなくてすみます。」

そうだ、公安警察として独立させ、事務所の近くの貸ビルを借りたのだ。


「そりゃ~そうですよ、国家の秩序維持と安全のために、反体制的運動や組織を取り締まる警察活動をする公安警察、政府の直轄の諜報組織になりますので、

あなたが率いる部下は全員、警察官としての身分と報酬がきちんと支払われます、それに諜報にかかる費用や情報者への謝礼などの資金も十分に用意しますので、その特殊な任務遂行のために使ってください。ところで汐音さんのような女性の捜査員もいるのですか」


「フフフフ、、いますよ、昔から男というものは女には油断しますからね~、情報収集には寝床の中で油断した相手から聞くのが一番ですよ」


“ゲゲゲ、まじか~、ドラマと同じじゃないか~”


「ですが最近は、我々がよく使うのは「ゼロ」とか「サクラ」と呼ばれる内部通報者を育成することですかね~」


”ぎゃ~、それってSエスだよね~”

※捜査対象者に近い人物を“公安のスパイ”に仕立て上げるのだ。


「そ、それは、どうやって協力者をしたてるのですか、」


「やはり、手っ取り早いのは金ですかね、賭け事で金がないとか、だらしない生活で金に困っている奴が対象者の近くにいないか調べたり、あとは行きつけの飲み屋を調べて偶然を装って隣に座り、話しかけたりする。これを何度か繰り返して親しくなり、信頼感を得た上で、協力を要請して説得にあたったり家族の祝いやお見舞いなど、何かにつけて金品を渡して、場合によっては、自分の偽家族を紹介して安心感を持たせることまでやりますよ。」


「あまりやりませんが、最後の手段は大事にしている家族などを人質にして情報を取りに行かせることもあります。」


”まじか~”

「そうですか、さすが代々続く諜報機関ですよね~」


「あの~、後で電話盗聴器と無線送信機に防弾装備などこちらでも近代装備を用意しますので、それと皆さんには車やバイクも用意しますので申し訳ありませんが、王子のカザマで練習してください、いつでもいいですから連絡しておきますので公安と言ってもらえればいいです。」


汐音

「え~、本当ですか~、車ですよ、女でも練習させてくれるんですか、」


「フフフフ、、男よりもすごい運転をする女性教官もいますのでその人から教えてもらってください、名前は玲子さんと言います。」


「わかりました。玲子さんですね、私、車を自分で運転したかったんです。必ず練習に行きます。」




こうして一部の過激な思想をもつ軍人との対決の為の準備ができたのである。





つづく、、、、







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