第二部「破滅を照らす者:賢者との出会い」その6
目次
第13章「Grand Wizard」
第14章「少し不思議で、いつも通りで」
あとがき
第13章「Grand Wizard」
「それでは、改めて自己紹介をさせてもらおう。とはいっても…申し訳ないが私にも事情があってね、話せないことも多いということを先に謝っておく。」
「いえ、少しでも誠実に対応しようとして頂けただけでも、私は嬉しいです!」
「そ…そうですよ!それに、マーリンさんは俺たちの恩人ですし!」
むしろ知らない人に何でも話す方がおかしい気がするし…
「別に気にしないっすよ。」
「あぁ、俺にも話せねぇことはあるし…お互い様だな。」
【マーリンは皆の言葉に微笑んだ。】
「ありがとう…それでは、どこから話そうか…」
「じゃあ…お…俺たちはマーリンさんのことは…マーリンさんってそのまま呼べばいいですか?」
「あぁ、そうだな。私も本名は言えないからマーリンと呼んでくれて構わない。そうだ、私の生い立ちを軽く話しておこう。」
マ…マーリンさんの生い立ち…!
マーリンさんって凄そう…ってか絶対すごい人だし気になる!
「私は、魔術師や特殊な力を持つ者たちの町で生まれ育ったんだ。」
「えっ…マ…マーリンさん以外にもまだ魔術師がいるんですか!?」
「あぁ、君たちが分かっていないだけで魔術師は世界中に居るし、普通に社会に出て生活している者も居るぞ。」
「す…凄いですね…」
「それでは続きを…私は運がいいことに生まれつき魔法の才能に恵まれていてね。16歳の時には、嬉しいことに町一番の魔術師と言われたよ。」
16歳で魔術師の町で一番って…
やっぱりとんでもない人じゃん!
「凄いっすね。」
「そして、私は魔法を更に極めるために世界中を旅して周ったんだ。」
「マーリンさんはなぜ魔法を極めようとしたのですか?」
「そうだな…一つは、世界を見て周りたかったから、2つめは、自分の限界を調べたかったから、3つめは…」
【彼はそういうと、どこか遠くを見るような目をして言葉を切りまた話し始めた。】
「世界中の人々の…役に立ちたいと思ったからだ。」
「素敵な理由ですね…!」
「そして、旅を終えて歳をとった私は、世界の秩序を守る為に魔法が絡む事件の情報を収集し、秘密裏に阻止・解決してきたんだ。」
「え…えぇ!?そ…そんな物凄いことを!?」
「いや、そんなに大したことでは無い。そもそも魔法関連の事件は簡単に発生するものでは無いし、発生したとしても大抵は規模が小さいんだ。だが…」
だが…?
「まれに…今回の様に大規模で計画性のある事件が発生することもある。そして、この様な事件を解決するのは極めて困難で、世界規模で影響を及ぼす場合もある。」
「こ…今回の様に…?極めて困難で…?」
しかも…マーリンさんから見ても極めて困難って…?
その事件を解決するのを…手伝うって言っちゃったんだよね?
一般人の…一般人以下のスペックのこの俺が??
これ……俺詰んだ?
「なぁ、あんたは今までどれくらいやばい事件を解決してきたんだ?」
「私が若い時に解決した大事件は世界を…いやこの世とあの世を滅ぼす程の厄災を鎮め…」
「ん?」
「は?」
「えっ?」
「歳をとってからのものは…全ての『魔導師』を統べる『絶世の魔導師《Grand Wizard》』の階級を有するお方が亡くなった後に、魔導師のテロリスト達が起こしたテロを完全に鎮圧し、その後に私が『絶世の魔導師《Grand Wizard》』を正式に継承した事もあったな…」
「ぐ…グランドウィザード?」
「あんた…さらっとすげぇこと言ってねぇか!?」
「は…はい…全ての魔導師を統べるのが『絶世の魔導師《Grand Wizard》』とのことでした。つまり…その階級を継承されているマーリンさんは…」
「魔導師の一番偉い人っすね。」
「す…すす…すご…凄いって言葉じゃ足りないくらいに凄いですね……」
「まぁ、今はその階級を信頼出来る人間に渡して、個人で好きに行動させてもらっているのだがね。」
「えっ!?な…何でそんな凄いものを?」
「名誉というものは大したものでは無い。それはただ、他者からの評価として贈られるものであり、時にはそれが足枷になることも有り得る。その足枷に満足して玉座を墓場とするより、私はできる限り人々を助けて、今を楽しみながら満足して人生を終えたいと思っただけだ。」
「か…かっこいい…!」
俺も歳をとったらマーリンさんみたいな紳士になりたいな…
まぁ、まだまだ先だけど…
「私も…とても素晴らしい考え方だと思います!」
「さて、老人の昔話はここまでだ。時間はかかってしまったが、これでやっと作戦計画を行い…実行に移すことが出来そうだ。」
「あぁ、そうだな。」
「初めて魔法に触れたり、新たな能力に目覚めたばかりで混乱しているだろう?君達はここで少し休んでいてくれ。」
「確かに…もう驚き過ぎて混乱の連続だったなぁ…」
「そっすね。話も少し難しかったっすね。」
「そうだな。」
「それと、ジョゼフィーヌ。」
【マーリンはジョゼフィーヌに声をかけた。】
「すまないが君は私に着いてきてくれないか?作戦の計画を行うのは勿論の事だが、君個人に関する話がある。」
「はい!分かりました!」
「君達もそれで構わないか?」
「あぁ、良いぜ。」
「じゃ…じゃあその間に休ませて頂きます!正直…まだ何が何だか…」
「そうっすよね。」
「とりあえず…君は着いてきてくれ。部屋を移そう。」
「はい!分かりました!」
「私達は8時までには戻ってくる。今から一時間後だ。」
「それでは皆さん、また後程!」
「あぁ、さっさと済ませてこいよ?」
「待ってますね!」
「まぁゆっくり待っとくっすよ。」
第14章「少し不思議で、いつも通りで」
「よし…!」
【流輝は、的に刺さった『彗星』を満足気に眺めていた。】
さっきよりも上手くいった!
「戻れ!」
【彼が『彗星』にそう命じると、的に刺さっていたはずの『彗星』は白い光となって消えると同時に、同じ様な光が彼の右手に現れると短剣の形に変形し、彼の『魔武具』であるダガーの『彗星』となった。】
最初は扱えるか不安だったけど…
思った通りにっていうか…
体が勝手に動くっていうか…
まぁ、それは置いといて!
良い感じに扱えてるじゃん!
投げるのもできたし…
『|霊操《Poltergeist》』でも的に当てられたし!
「練習してて偉いっすね。」
「はっ!?…えっ?いやー…足でまといになりたくないだけなので…」
「そう思えるだけでも凄いっすけどね。」
び…びっくりした…!
集中し過ぎてて…いきなり声かけられて心臓が飛び出るかと思った…!
「あっ!そういえば春喜さん、今って何時か分かります?」
確か…マーリンさんとジョゼフィーヌさんは8時に戻って来るって言ってたよね?
「あの時計があってたら7時58分っすね。」
【彼は部屋の壁に掛けられていた時計を指さしながらそう話した。】
「あともう少しで2人が帰ってくるっすね。」
「そうですね…一体どんな作戦になったのかなぁ…」
「簡単だと嬉しいっすね。」
「そうだと良いのになぁ…って…星次さんは?」
「あっちから歩いて来てるっすよ。」
【彼はそう言うと、足音がする方へと指を指した。】
「…あれ?あっちって…2人が移動した方向でしたよね…?おーい!星次さ〜ん!」
「何だようるせぇな…」
「何してたんすか。」
「そりゃもちろん盗み聞きしに行って帰ってきたんだろうが。」
「えっ…!?」
いやいやいやいや!
なにそんな「えっ?当たり前だよね?」みたいな反応と顔しながら非常識なこと言ってんの!?
「まぁ、な〜んにも聞こえ無かったけどな…」
「そうだったんすね。」
「てか盗み聞きは良くないですよ…」
【彼等が話していると、星次が来た方角からまた足音が聞こえた。すると、ジョゼフィーヌとマーリンの姿が見え、彼女が彼等に話かけた。】
「ただいま戻りました!私達は先程、やっと作戦の立案が終わったところです!」
「あっ!お疲れ様です!」
「ふむ…時間通りに戻って来れたな。ところで…君達は、しっかり休めたかね?」
「あぁ、それはもうバッチリな。」
お…大嘘だ…
「そんで…どんな作戦になったんだ?時間が無くなってきてるし、ササッと確認して動き始めねぇとそろそろヤバいんじゃねぇか?」
「あぁ、君の言う通りだな。では…作戦会議を始めてもいいかな?」
す…凄い…
何だか何時もよりも真剣さが増してる感じがする!
「良いぜ。」
「OKっす。」
「はい!」
「それではジョゼフィーヌ、私が大部分の説明を行う。君も作戦の再確認と説明を頼む。」
「はい!分かりました。」
《id:3》《b》あとがき《/b》
ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!
今回はあまり話が進みませんでしたが、次回は作戦会議や作戦の説明になります。
第二部の賢者との出会いは、あと2回ほどの投稿で終わると思いますので、pixivの方とも間に合わせるために早く投稿していこうと思います!
コメント・感想もお待ちしております!
それでは次回もお楽しみに!




