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第二部「破滅を照らす者:賢者との出会い」その4

目次


第10章「天と地の扉を叩く者(Gambler)

星次の『祝福』について

あとがき

おまけ:マーリンの授業『魔法』について


第10章「天と地の扉を叩く者(Gambler)


「それでは…次は誰にする?」

「次は俺でもいいか?」

「はい!大丈夫ですよ!」

次は彼か…先程の私の予想が当たったのを見ると、やはり、『祝福』はその人間の特徴を有したものになるというのは本当のようだ。

ということは、彼の『祝福』は…観察に関するものだろうか?

「じゃあ俺も自己紹介しとくか。俺の名前は『星次(せいじ)』でこいつらと同じ日本人…歳は20だ。よろしくな。」

「あぁ、よろしく頼む。ところで…君は人間観察が得意なのか?」

「いや、俺はギャンブルが好きでな。だから相手を疑ったり、心を読もうとする癖がついたってだけさ。」

「なるほどな…君の観察能力は実に役に立ちそうだ…」

「まぁ、報酬さえくれるんならなんでも手伝ってやるよ。」

「それでは…君も『魔武具』を持っているかね?」

「いや…多分、あんたが言ってた『魔道具』の方だ、あれは武器じゃねぇ…使い方しだいだがな。」

「そうか、『魔道具』なら『魔武具』とほぼ同じだ、出し方は…」

「『|天国と地獄《Eden & Hell》』」

【マーリンが説明を言い終わる前に、星次は手を前に出して『魔道具』の名を呼んでいた。すると、彼のジャケットの袖から、緑色のトランプカードと思われる物が1枚飛び出してきた。そして、彼はそのカードを手馴れた様子で掴んだ。】


挿絵(By みてみん)


「今の…か…カッコイイ!」

「流石の観察眼だな。」

「いや、2人分も同じ説明聞いてるんだ。説明は要らねぇさ。そんで…なるほどな、確かに、実際に出してみたら『祝福』の能力が勝手に浮かんでくるな。」

「そのカードの能力を教えて頂けますか?」

「こいつは…ちょいと特殊っぽくってな…簡単に説明すると、『こいつでギャンブルをした時の結果によって効果が変わる』…らしい。」

「ギャンブルで効果を決めるって…めちゃくちゃじゃないですか!?」

「確かにお前らの『祝福』よりは使い勝手が悪ぃかもしれねぇが…こいつは面白い使い方が出来そうだ。」

【彼はそう言うと不敵な笑みを浮かべた。】

「それで...えーっと...スキルみたいなやつもあるんですか?」

「あぁ、『魔力を多めに消費してギャンブルをすると、失敗した時の代償を無くし、成功した時は消費した魔力が帰ってくるうえにクールタイムも無し』になる。まぁ、その代わり、失敗したらクールタイムは長くなるんだとよ。」

「保険みたいっすね。」

「どうしても失敗できない時にのみ使うのが良いかもしれないですね...ところで、他にも何かありますか?」

「このカードの能力はこれだけなんだが...もうひとつ『祝福』を持ってる。こいつは...確かあんたが言ってた内の...『異能』ってやつか。」

「あぁ、形を持たないタイプの『祝福』は基本的に『異能』だ。」

「あっ!春喜さんが持ってたやつと同じ…でしたっけ?」

「はい!確かそうだったはずです!」

「星次君のはどんなのなんすか?」

「『魔力を消費して、相手の心理を軽く読む』らしい。」

「それは…星次さんにピッタリですね!」

それは…実に良くない…

心理がどこまで読めるかは分からないが、もし彼が私に対してその『異能』を使えば…知ってしまうかも知れない…

「軽く心理を読むと言っていましたが…具体的にはどの程度の事が分かるか教えて頂けますか?」

「そうだな…じゃあ試しにお前だ。」

【彼はそう言うと流輝の方を指さした。】

「えっ!?」

「動揺、興味、不安、恐怖…この4つの中から動揺と興味は俺がお前を選んだ瞬間に感じた感情…不安と恐怖は…教団に勝てるかどうかってな感じだろ?」

「ぜ…ぜぜぜぜ…」

「全部当たってんだな。」

「当たってます…!」

「なるほど…つまり君のその『異能』は、相手の感情をいくつか読み取るという事だな?」

「あぁ。」

「そして、彼の感情からどのような事を考えているのかを推理した…ということかな?」

「流石だな爺さん。100点だ。」

「えっ…後半のは能力でもなんでもないんですか!?」

「…ってかお前が分かりやすすぎるんだよ。」

なるほど…この推理方法は彼の観察眼と推理力があってこそという訳か。

ならば…私が想定していた事態が発生することは無さそうだ。

「まぁ、後はもう何もねぇ。」

「では…最後は君だな。」

「はい!」


星次の『祝福』について


挿絵(By みてみん)


Gift Type:魔道具

Item Type:トランプカード

Name:『|天国と地獄《Eden & Hell》』


Skill


天運の遊戯(Gamble)

このカードで魔力を消費するギャンブルを行い、その結果に応じて効果が変化する。


ギャンブルは成功時の効果を宣言してから行い。

成功時には宣言した効果が反映されるが、失敗時には宣言した効果とは逆の効果が反映される。

ギャンブルは、星次の任意で決められる。


挿絵(By みてみん)

成功時

挿絵(By みてみん)

失敗時

挿絵(By みてみん)


大勝負(Fire Ring)

魔力を多めに消費するギャンブルを行い失敗時の代償を無くす。しかし、失敗時のスキルクールタイムは長くなる。

成功時は消費した魔力が還元されクールタイムが無しになる。



Gift Type:異能

Name:『隠された真実(Poker Face)


魔力を消費し、対象の感情を読み取る。

読み取れる感情は、能力を使用した時点で相手が感じていた感情であり、それより前の感情を読み取ることは出来ない。

この能力を使えるのは人間、又は人間と同レベルの感情や知能を持つ生物のみで、複数の対象の感情を同時に読み取ることは出来ない。


あとがき


ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!


本当は星次と一緒にジョゼフィーヌの能力も書きたかったのですが、合計すると5000~6000文字になってしまったので分けました…


なのでちょっとした世界観の説明的なおまけ書きますね!

おまけも後々、余裕ができたら書いて世界観を演出したいです!


あとコメントや感想もお待ちしております!

次回もお楽しみに!



おまけ:マーリンの授業『魔法』について


「ところで、魔法というのは一体どういうものなのでしょうか?」

「確かに…俺も気になってたんですよね!」

「ふむ…そうだな。軽く教えておこう。」

「まぁ、知ってて損は無ぇな。」

「授業の時間っすね。」

「まず、魔法を使うには様々な種類があってな。一般的なものは、

『想像式魔術《Imaginary Magic》』(イメージ式)

『物理演算・化学式魔術《Physical Calculation Chemistry Magic》』(演算式)

『契約式魔術《Contract Magic》』(契約式)

『通常式魔術《Normal Magic》』(通常式)

の4つの魔術が大まかなものだ。」

「こ…これが大まかってことは…細かくすると本当はもっとあるって事ですか?」

「そうだ、だが全てを説明するのは時間がかかる。今回は最も簡単な魔術を教えておこう。」

「えっ?もしかして…すぐに使える様になったり!?」

「あぁ、出来ると思うぞ。」

「それは素晴らしいですね!」

「では、教えよう。

その魔術は『想像式魔術《Imaginary Magic》』、通称『イメージ式』だ。」

「『イメージ式』か…考えてる事を魔法で作り出す…みたいなことか?」

「流石だな…君の推理能力は素晴らしいものだ。」

「当たってるんすね。」

「この『イメージ式』の仕組みは、例えるならば…

火の玉を出したいときは、脳内で火の玉が手の平の上に浮かび上がっているイメージをするんだ。そして、大切な事は…」

「大切な事は?」

「火の外観、本質、熱など…火の全てをなるべく鮮明に思い描く事だ。そのイメージが鮮明であれば鮮明であるほど、魔法は成功しやすく、威力も上がる。

ちなみに、言葉でイメージ力を上げる『詠唱』も有効だ。

そして、あとはそのイメージが完成したら魔力を流し込むだけだ。」

「簡単そうだけど…難しそうな…」

「確かに、話のみ聞くと難しく聞こえるかもしれないが、私達は日常的にあらゆるものを扱い、あらゆる物を見ている。

そして、ときには感覚のみで物を扱うことも出来るはずだ。」

「なるほどな。つまり魔法使うのに必要な材料はもうあるってことか。」

「ところでマーリンさん…『想像式魔術《Imaginary Magic》』を私なりに理解し、例えを作ってみたのですが…この解釈であっているか確認していただけませんか?」

「あぁ、話してみたまえ。」

「はい!ありがとうございます!では…

まず、この魔術の使い方は大まかに3つの手順があり、使いたい魔法をイメージし、魔術の『器』を作る。

次に、その『器』に魔力という万能の『エネルギー』を流し込む。

すると、『魔法』が完成する。

…という考え方なのですが、どうでしょうか?」

「…上出来だ。そこまで理解出来ていれば『想像式魔術《Imaginary Magic》』を使えるだろう。」

「ありがとうございます!」

「しかし…最後にこれだけは言っておこう。」

「なんか重要そうっすね。」

「どのような魔術であろうと変わらない共通のルールがある。それは…人間の手に負えないような、強大な力を行使しないことだ。」

「人間の手に負えないって例えばどんなのっすか。」

「例えば…世界規模の魔法を準備も無く、生身で、それも1人で使おうとすれば、確実に魔力が足りない。そうなると、足りない分を補おうと、命までもが消費されて死に至る。」

「うわっ…怖っ!…つまり身の丈にあった魔法を使えってことですね…」

「あぁ、そうだ。魔法は、魔力との等価交換であるという事を覚えておくといい。

他には…相手を直接的に確実に殺す魔法というのもダメだ。直接的に確実に殺すというのは、肉体、精神、生命、魂を全て殺す事になる。そんな強力な魔法を使えば、もちろん自分にも反動が返ってくる。」

「じゃあ…魔法で死ねっつったら自分も死ぬって事だな?」

「あぁ、そのイメージで構わない。とにかく、身に余る力の行使や、この世の絶対的な(ことわり)に触れる力の行使は絶対にしない事だ。」

「はい!分かりました!」

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