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偽神と創造者  作者: 奏沢
2/2

二話 双子と人形技師

《或る少年の日記 2》

20xx年4月15日

今日はひさしぶりにれいはいによばれました。

ぼくはとくべつらしいので、あまりきょうかいにくる人にあうことはできません。

いつもよりたくさんの人たちがおいのりをしていました。

その中には、ぼくと同じくらいの子たちのすがたもありました。

みんな、なかがよさそうです。

ぼくもおともだちがほしいとかんじました。


**********************


ようやく少女を転移させた場所へとたどり着いた。思っていたよりも離れた場所へ送ってしまったらしい。

「あの子は…あ…」

まだ遠くへは行っていないだろうと仮定し、探していると少女の姿を見つけた。その近くには少年もいる。見た目はそっくり、双子だろうか?

「イル、大丈夫だった?」

「大丈夫だよ!ウルは大丈夫だった?」

「大丈夫だよ。」

互いをイル、ウルと呼び合った2人は会話をしている。家族に会えたから安心しているのだろう。

「あの…」

「「あ!おにーさん!」」

声を掛けたら同時に反応してきた、本当に双子みたいだ。

「2人とも、大丈夫みたいだね」

「助けてくれてありがとう!」「ありがとう」

少女が元気よく礼を言い、少年が真似するかのように繰り返す。

動きまで同じだった、まるで同一人物かのように。

「2人はどういう関係なの?」

「双子だよ!!」「姉弟だよ」

口々に答える、やはり双子で間違いないようだ。

「こっちがウルで、そっちがイル!」

「違うよ、さっきまでそっちがイルじゃないか!」

「今変えたの!今からこっちがウルなの!!」

自己紹介をしてくれるのかと思ったら急に揉め始めた。名前を交換しているかのように…

ん?名前を、交換?

わけがわからない…


「おーい!イル、ウル!こんなところにいたのか!」


1人困惑していると男性が走ってきた。ん?あの顔、どこかで見たような…?

あっ…お隣さんだ。

「「ローゼル!!」」

双子が彼の名を呼ぶ。

「すいません、迷惑かけてしまって…おや?キミは…」

「どうも」

ローゼルと呼ばれた男性はすぐこちらに気づいたようだ。

「2人は知り合いなの?」「知り合いなの?」

双子は興味深々だ。心なしか、目が輝いているように見える。

「え…まぁ…」

「あぁ!最近お隣に引っ越してきた子だよ!」

俺が説明する前にローゼルさんが説明してくれた。

「へぇー!」「そうなんだ!」

双子が嬉しそうにはしゃぐ。

「にしても、こんなところで合うなんで偶然だねぇ。」

「はぁ…」

距離の詰め方が上手い、いや、早いと言うべきだろうか。こういうタイプの人間とは、あまり話した経験がない。

「仲良しさんだ!」「仲良しさんなの?」

双子からも質問攻撃、どうやら気になるようだ。

「いや、その…」

「私もキミについて聞きたいなぁ、少しだけでいいからさ!」

完全に会話から外れるタイミングを見失った、その時、


『いつまで話しているつもりだ阿呆!』


突然悪魔が本の中から話し始めた。

「いや、今、人前だから…」

面倒事がまた1つ増えた。

ここで話すのはまずいことくらい理解できる、出来れば騒がないで欲しい。しかし、俺の願いとは裏腹に、

『関係あるかいボケ!吾輩はもう飽きたぞ!さっさと帰らせろ!』

悪魔は声を更に大きくし話し続ける。

「だから、少し静かに…」

『悪魔の声は一般人には聞こえないんだ!こんなところで喋っても問題は…』

「おや?随分と可愛らしい子を連れているじゃないか」

「…!?」

今、なんて言った?コイツに気付いているのか?だが、さっき悪魔は"一般人には声が聞こえない"と言っていた。気づくのは明らかにおかしい。

『お前、吾輩の声が聞こえるのか?』

「あぁ、もちろんだとも」

『お前…まさか…』

悪魔は何か思い当たるらしいが、俺は検討も付かない。何故、彼は悪魔の声を聞けるんだ…?

「ふふふ…かわい子ちゃんは気づいたみたいだね。」

「あの、貴方は一体…?」


「まあ、ここで話すのもなんだし、よかったらうちに来ないかい?」


―――――――――――――――――――――――――――――――


「さーて、改めて自己紹介をしないとだね。ほら、2人とも。」

そう言うとローゼルさんは双子に自己紹介するように促した。

「アタシはイル!」「ボクはウル。」

「あぁ、俺は伊吊、如月伊吊だ。よろしく。」

「「よろしく!!」」

2人が順番に自己紹介する。それに返すように、俺も自己紹介した。

少女の方はイル、少年の方はウルと言うそうだ。しょっちゅう名前を交換している為、ローゼルさんも苦労しているらしい。

「この2人も実は能力者でね、互いが見ている光景がハッキリと伝わるらしい。」

詳しく説明すると、2人の能力は【共有】というものらしい。片方が見ている光景が現在進行形でもう片方にも伝わる上、テレパシーで会話をする事も可能らしい。

なるほど、だからあの時2人揃って"ありがとう"と言ってきたのか。ようやく理解できた。

「ウルの事ならなんでも分かるよ!」

「イルの事ならなんでも分かるよ。」

2人が次々と口にする。仲も良いみたいだ。

微笑ましさと同時に、何故か少し懐かしい感じがした。

「そして私はローゼル、2人の保護者役をしている。よろしくね。」

やはりローゼルさんは2人の面倒を見ているようだ。双子が懐いている理由もよく分かる。

「さて、イル、ウル、これから彼と大事な話をするから、少し席を外して貰えるかな?」

「えーなんで…「わかった、行くよ、イル。」…はーい」

ローゼルさんの言葉にイルは少し不満そうだったが、ウルに丸め込まれて渋々部屋を出て行った。

「…では、少し真面目な話をしようか。」

今までの柔らかい雰囲気とは打って変わって緊張感が襲ってきた。彼の目も、鋭くなったように感じる。

「あの悪魔ちゃんにも出てきて欲しいな。きっとあの子はある程度理解しているはずだからね。」

『…なんのつもりだ。』

彼が一声掛けるとあの悪魔、クロノエルが出てきた。声色から察するに、本当に理解しているようだ。

「伊吊君、君も少しは分かっているかもね。」

「…あぁ。」

"悪魔の声は一般人には聞こえない"確かにあの時クロノエルは言っていた。しかし、ローゼルさんは声を聞くことはもちろんの事、会話すら出来ている。この事が示す答えは

「ローゼルさんは、悪魔と契約したんですか?」


間、静寂が空間を支配する。

彼の目が…少し笑った気がした。


「結構ハッキリ言うんだねぇ、そう言うの嫌いじゃないよ。」

『とっとと言え!契約者!貴様の誤魔化しは効かないぞ!』

答えをはぐらかそうとするローゼルさんに痺れを切らしたのか、クロノエルが大声で叫ぶ。

「まぁまぁそう怒んないでよっ☆」

『イラつくなぁ!コイツ!!』

早く答えてください、この悪魔のイライラがMAXです。

「フフフ、確かに私は悪魔と契約したよ。そしてその悪魔はここに居る。」

そう言って彼が出したのは1つのぬいぐるみ。黒い山羊の形をしている。一見何も無さそうに感じるが、これと悪魔になんの関係があるのだろうか。

「これは…?」

「まぁ、これに関しては悪魔ちゃんから説明して貰った方が良さそうだ。」

そう言うとローゼルさんはクロノエルの方を向いた。

『チッ…悪魔というのは決まって本体とも言える物が存在しており、それの事を"造物"と呼ぶ。例を上げるなら、吾輩の本やそのぬいぐるみの様な物だな。』

「つまり、このぬいぐるみにも同じように悪魔が…?」

「そういう事だよ。」

ローゼルさんがぬいぐるみを指先で2回叩く、すると突如としてぬいぐるみが動き始めた。

「この子が私の契約した悪魔だよ。」

『ギャギャッ』

今のは、鳴き声?確かにこのぬいぐるみ、もとい悪魔から聞こえてきた。

「低級悪魔らしくてね、言葉は話せないそうなんだ。でもこちらの言葉は理解できるらしい。」

『ギャッ』

ローゼルさんに説明され、ぬいぐるみはこちらを向いてドヤ顔した…ように見えた。

「ちなみに名前はヤギ」

『おい!もっと名前ちゃんと考えてやれよ!』

「そのまんま…」

山羊にヤギ…名前を呼ばれて喜んでいるこの子を見ると、なんだか虚しくなってくる。

「契約によって手に入れた力は"人身操作"。元々は物を動かせる程度だったんだけど、もう少し力を付けたくてね。そこで、級を上げたがっていたヤギと意気投合して契約したってワケ。」

悪魔と意気投合…この人、なかなかに凄いのでは?

「あの双子も少し関係あるんだけど、この話はまた今度にしようかなぁ~」

『は!?突然すぎんだろ!!』

これから色々聞けるだろうというタイミングでローゼルさんは突然話をやめてしまった。

「また今度話すよ。伊吊君も今日はゆっくり休むといい。」

「何故ですか?」

「えー、だってさぁ、」


「契約初日ってなかなかにしんどいよ。今までぶっ倒れてないだけ奇跡だって。」


そう言われた途端、いきなり目眩がし始める。

気づいた頃には床に倒れていた。

「人身操作で疲れを軽減してたんだけど、流石に限界だったみたいだねぇ。悪魔ちゃんもちゃんと教えてあげなきゃダメじゃないか。」

『フン!なんで吾輩がコイツの心配をしなきゃいけないんだ!』

「あっはは!確かにねぇ、そんなもんか。」

まずい…意識が…切れ…

「今日のところは私が部屋まで運んであげるから、面倒は見てあげてね?」

『全く…今回だけだからな。』

その2人の会話を最後に


俺の意識は消えていった…。


―――――――――――――――――――――――――――――――


夜明け間近の頃

「ふーん、ここがクラウダねぇ」

「ちょっと、勝手な行動しないでよ!」

2人組がクラウダの入口前に立っていた

「分かってるってー!そんなんしないから!」

「全然分かってない!それを勝手な行動って言うの!!」

走り始めた少年の後を少女が追う

「ここは危険なんだよ!指定紛争地帯!私達の住んでる国とは比べ物にならないんだから!」

少女が必死に説得するも、少年の耳には届かない

「そんな心配すんなって!」


「だって俺、"勇者"だから」

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