ダグラス:猫獣人、サイ○人疑惑
■Side-ダグラス
翌日、俺たちはニバンメの街を後にして、樹海にたどり着いた。
全員、ガチのフル装備だ。
サムが待ちきれないといった様子で口を開く。
「それで、僕たちは何をすれば良いのかな?」
「カタツムリを探してくれ」
「それが解決に繋がるなら、僕は世界中のカタツムリを君に届けるけど、どう関係があるんだい?」
「この手の寄生虫には中間宿主がいるから、それを特定したい」
今度は、レジーナが質問をする。
「そうすると、どうなるの?」
「中間宿主がいなくなれば、寄生虫は成体になれず、死ぬ事になる」
俺の話を聞いて、サムは納得した様にうなずいた。
「つまり、この地域から中間宿主がいなくなれば、間接的にゴブリン病の原因を根絶できるわけだ」
「……そうだな」
人間の都合で、一つの種族を根絶させる。
前世の世界でさえ、倫理の枠を超えてこれは達成された。
この世界でそれが実現可能か、はともかく。
問題視される事はないだろう。
俺たちは数時間にわたり、水辺を中心にカタツムリを探し続けた。
次々に見つかるカタツムリを、顕微鏡で確認していく。
史実では、幼生体が侵入する所まで確認していたが。
それは時間がかかりすぎる。
カタツムリの中から、診療所でみた個体と同様の寄生虫が見つかれば確定として良いだろう。
「ねえ、あれは?」
しばらくして、ペンギーが遠くを指差す。
サムがそちらをみて、答えた。
「ああ、あれもカタツムリだね」
そこには、全長、1メートルのウネウネと動くカタツムリがいた。
しかも、殻が宮殿の形をしている。
「な、なななんだあれは」
あまりの事に動揺しながら、問いかける。
サムがそれに答えた。
「パレス・スネイル。この地方だけに生息する魔物だね」
「……やるか」
俺が想像していたのと、だいぶ違うが。
可能性はあるよな。
そう思って、武器を手に取る。
だが、サムがそれを制した。
「そういえば、僕の新しい武器を説明してなかっただろう? ここでお披露目させてくれよ」
そう言うと、彼女は背中の武器に手を回す。
やがて、ゆっくりと、鞘からそれを抜き放った。
「細い……」
それは、凡そ武器と呼べない物だった。
あまりに、細い。
当然だが、剣は細い方が、強度が落ちる。
凡そ160センチはある刀身に、幅が3センチ程しかない。
とても、実用に耐える代物には思えなかった。
「おい、大丈夫なのか?」
「これは君に壊された戦鉄の武器を鍛え直した物だ、安心してくれ」
でた、ファンタジー金属。
彼女はゆったりした動きで魔物に近づくと、一振り。
残像を残す程、加速された一撃が放たれる。
彼女の力に耐えきれなかった刀身が鞭の様にしなり……。
魔物を殻ごと、両断した。
「なん……だと……」
思わず、お洒落ポイントを下げそうなセリフを吐いてしまった。
武器のしなりを利用してインパクト時の威力を上げるのは、解る。
細くて長い剣はより、しなりやすい訳だが。
何事にも限度と言う物がある。
「どうして、折れない?」
俺の質問に、彼女はニヤリと笑って答えた。
「この武器には、非破壊のスキルがついている」
「は?」
「君の武器の”壊刃”やペンギーちゃんの武器の”自由”に比べれば些細なスキルだけどね?」
いや、いやいやいや。
ちょっと、ちょっと待って欲しい。
確かに、確かに。
”武器が壊れない”というのは。
一見すると、強さに直結するスキルには思えない。
「壊れはしないが、ちゃんと金属としてしなって、元の状態に戻ると?」
「そうだね」
ねぇ、ねぇねぇ。
その細くて長い刀身で、剣の達人がそれをやるのってさ。
事実上の”絶対切断”という事では?
そして、何より。
「なあ、サムの”デットエンド”はどんなスキルなんだ?」
「攻撃を武器で完全に受けた時に、相手の衝撃を無効化するスキルだね」
「武器同士の撃ち合いでも発動するのか?」
「もちろん」
もし、サムにその武器で斬りかかられて。
衝撃を無効化された状態で受けれる奴って、存在しうるのか?
なあ、それって事実上の”防御不可”って事では?
「そ、そうか……」
負けると強くなって帰ってくるって。
サイ○人かお前は。





