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サム:”裏切り者”のサム

高評価、ブックマーク、ありがとうございます!!!

■Side-サマンサ


「あ、がっ……足がっ」


「た、たすけ」


「ぎゃぁあああああ!」


 僕を置いて、通過しようとした兵士。

 彼らは等しく、地面をのたうち回っている。


 その様子を見て、ルファシが顔をしかめた。


「何のつもりだ、サム」


「言っただろう? 増援の妨害をするって」


 さて、そろそろ座ったままという訳にも行かないね。

 胸の痛みを堪えて、何とか地面に立つ。

 いてて。


 でも、この痛みが。

 僕がまだ、諦めていない証拠だというなら。

 痛みだって、愛せるさ。


「我が剣は生涯陛下と共に」


 ルファシが大剣を構えて、口を開く。

 その言葉は、大罪剣が陛下から戦鉄の武器を下賜される時の宣言だ。


「あの言葉は、嘘だったのか」


「はは、悪いね? 生憎……僕の剣は、曲がっているんだ」


 お互いに武器を構えて、間合いを図る。

 ククリ刀は一本壊されちゃったけど。

 僕にはまだ、もう一本が残っている。


「俺に、勝てると思っているのか?」


「そっちこそ、序列三位の”傲慢”さん?」


「ふんっ」


 僕の挑発を彼は鼻で笑うと、大きく踏み込んで一撃。

 一歩進みながら、半身になって躱す。

 そのまま、彼の首へ目掛けて一閃。

 だけど、体を捻って鎧で防がれる。


「このっ」


 今度は、大剣が振り上げる様に迫る。

 それをククリ刀で受けた。

 スキルを発動させるけど、彼のスキルで相殺される。


 そのまま力での押し合いになった。

 いてて、力むと傷が……。


「お前……さては負けたな」


「なん、の……事かな?」


 お互いに押し合いながら、会話を続ける。


「お前はこの短期間に二種類もユニークスキルを使ったな」


「君はもう、二つとも知っているだろう?」


「それでも、本当に必要な時以外は、極力使わないのがお前だ。それだけ、余裕が無いんだろう?」


「くっ……」


 ダグラスに斬られた傷が開いて、地面に血溜まりを作る。

 まあ、そもそも治療すらしてなかったんだけど。


「確かに、僕は手負いだ。だけど、それで君が強くなる訳じゃないだろ」


 ふっと、力を抜く。

 大物の大剣は、急には止まれない。

 体制が崩れたところに、顔面へ肘鉄。


 しかし、これも片手で防がれる。

 彼はニヤリと笑って、続けた。


「それに……何だ、その目は」


「僕の目が、どうしたっていうのさ」


「お前の、絶望の底で何も期待しない、死んだ様な目は……相手に恐怖を植え付け、そして、動きを全く読ませなかった。それが、お前の底知れない強さに繋がっていた」


 一度、バックステップ。

 お互いに距離をとって、仕切り直しだ。


「今のお前の目には……希望が宿っているぞ。そんな人間らしい感情を持ったままで、大罪剣に勝てると思っているのか?」


「ははは! 僕の目に、希望が宿っているだって? 存外、ロマンチスト何だね?」


 いてて、いて。

 笑うと傷に障るね。

 ルファシが再び、大剣を構える。


「どう思うかは自由だがな……今のお前なら、俺でも勝てるぞ」


「……やってみろよ。僕は”不沈”のサムだ」







「かふっ……」


 肩口にから脇腹にかけて、大剣で大きく斬られる。

 大量の血飛沫が、ルファシに飛び散った。

 彼はニヤリと笑い、続ける。


「ふんっ。面倒な事をしよって」


 そして、ルファシは……その場に崩れ落ちる。

 僕は彼からククリ刀を引き抜いて、一振り。

 血潮を払う。


 だけど、これまでの戦いに耐えきれなかったらしい。

 ポロリと、折れてしまった。


 近場にあった槍を拾って、杖の変わりにする。


「はぁ、はぁ……んっ。さあ、次は誰だい?」


 朦朧とする、意識の中。

 遠巻きに、僕とルファシの戦いを見守っていた兵士に声をかける。


「ば、化物……」


「な、なんで、いきて……」


「だ、ダメだ……ここは、もう、通れない……!」


 兵士たちは、目に見えて体を震わせて武器を落とす。


「に、逃げろぉぉぉおおおお!!!」


「こんな負け戦、やってられるかぁあああ!!」


 兵士の一人が限界に達して、叫びながら逃げ出す。

 すると、他の兵士たちもそれに追従して、一斉に逃げ出した。


「……」


 誰もいなくなった砂漠で、大岩に背を預ける。


「約束……守ってくれよ、ダグラス」

お疲れ様、サム

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