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ペンギー:この幼馴染が強すぎるんだけど!?

■Side-ペンギー


■名前:ペンギー

■年齢:七

■種族:ハーフエルフ

■クラス:ローグⅡメタモルⅡ

■スキル:両手利き、パディング、リカバディ、オーガアーム

■称号:竜の子


 小部屋で、パーソナルの確認をする。


「……」


 怒りっぽい教育係の人が、神妙な顔でそれを見つめていた。


 あはは。

 改めて見ると、冗談みたいなパーソナルだね。

 クラスは、その人の技術が体系化されたモノだ。

 スキルはクラスのランクが上がるたびに、クラスに対応したモノがランダムで得られる。

 得られるスキルは、訓練である程度、狙って得られるけどね。


「ば、化物か……」


 教育係が思わずと行った風に呟く。

 その気持ち、良くわかる。


 一般的に十五歳ぐらいの冒険者が持っているクラスのラングが高くてⅢぐらい。

 七歳でⅡはもう、将来、英雄にでもなるんですかって感じ。


「ついてこい」


 パーソナルの確認が終わると、教育係に案内されて開けた所に通された。


「今日から、こいつらも模擬戦に加える」


 六歳から訓練を初めて、七歳から模擬戦を始めるって。

 何処の戦闘民族かな?

 あ、ここの戦闘民族か。


「おい、ダグラス……あれ見ろよ」


「小さいな」


 むか。

 私だって好きで、チビじゃないんだけどな。






「うぉぉおおお!」


 目の前の少年が、大声をあげながら手斧を振り上げる。


「……」


 私はそれ見て、落ち着いて、半身になって避ける。

 がら空きになった胴体に短剣を叩きつけた。


 戦士が大声を上げる事は、良いと思う。

 だけど、ここまで実力に差があるとそう言う気にはまるでならない。

 この様子だと、隠し持っていた二本目の短剣も出番はないかな。


「……次は、お前たちだな」


 教育係の人に促されて、一際、背の高い少年と組まされる。

 さっき、チビって言った奴だ!!


「君、今日、紹介された子だよな?」


 対峙してみて、眠気が消し飛ぶ。

 私は長年の経験からか、対面した相手の強さとか、個性みたいなのが可視化できる。


 ここの他の子供は、ゴブリンと大差無い。

 ”おで おまえ まるかじり!”て感じ。


「それが、どうかしたの?」


 だからここで一番強い子は、要するにホブゴブリンみたいな性質だと勝手に想像していた。


 間違いだった。

 これは、ホブゴブリンなんかではない。


「初日でここまで勝ち上がるなんて、すごいな」


 体つきと動きから、多分ハーフドワーフかな?

 戦わなくても分かる、驚異的な身体能力。

 技術や冷静さに関しても、他の子供とは格が違う。


 だけど、それらは彼の本質、強さの源泉から見れば些細な事だ。


「なに、やらないの?」


 これは、感情と思考を分離して考えられる。

 これは、必要とあれば目的の為に自分の命も犠牲にできてしまう。

 彼のイメージが、私の中で可視化されていく。


 凍える様な合理性と燃え盛る怒りを携えた鋼鉄の城だ。


「ああ、悪い。はじめよう」


 ほとんど無意識の内に、身体が不意打ちの準備を始めた。


「か!」


 不意打ち君の一撃は防がれる。

 控えめ言って、反射神経が反則。


「まだまだ行くよ」


 隠していた二本目の短剣を構えて、追撃する。

 だけど、なかなか決めきれない。


「……負けると分かっていて、そんなに頑張る必要ある?」


 ゆっくりと、彼に歩み寄る。

 身体能力の差がえぐすぎる。


 いかに私が半生を剣に捧げた元剣聖でも、物理法則は如何ともし難い。

 腕の長さが、足の長さが、筋肉量から生み出される速度が、反応速度が、全てが私を凌駕している。


「はぁ、はぁ……あるんだよ」


「それは、何?」


 立ち止まって、彼の答えを待つ。

 その答えに、ちょっとだけ興味があった。


「一番に成れないからって諦めていたら、何にも得られないだろ!」


 ダメだよ。

 一度目の人生は、私はそれで失敗した。

 だから、もう踏み外さない。


「一番意外に、意味なんて無いよ」


 フェイントを入れながら、突撃する。

 気がつかれて反応されなかったら、これがそのまま本命になるんだけど、きちんと最低限の防御がなされた。

 無意識なのか、分かってやっているのか微妙な所だね。


 翻って右腕を突き出す。

 半ば確信していたけど、当然の様に弾かれる。

 右腕が吹き飛ばされて、肩から嫌な音がした。

 お願い、脱臼ぐらいで済んでて。


 彼はすでに、攻撃に移ろうとしていた。

 だけど、私の攻撃はもう終わっているんだな。


「なん、だと……」


 彼の胴体に、短剣をねじ込む。

 実践ならゴリ押しで反撃されたかもだけど、模擬戦ならこれで十分だよね。


「嘘だろ……無敵のダグラスが負けちまった!」


「何なんだ、あのチビ……ひっ!!」


 チビじゃないよ!

 ちょっとだけ身長が低いだけだよ!!


「お前、すごいな」


 少年が、私に話しかけてくる。

 この子、やばいよね。


「ペンギー」


「俺は、ダグラスだ。ペンギーみたいに強くなるには、どうしたら良いんだ?」


「無理だよ」


 今の戦いで確信したんだけど、この子は今まで負けたことが無かった。

 この模擬戦で、最強の存在だった。

 それなのに、今日初めて来た子に負けて、素直に強くなる方法を聞けるって。

 これが天才か、妬ましい妬ましい。


「それなら、俺はお前に絶対に勝てないって事か?」


「戦いは、相手を理解して、否定し合う行為なんだよ。私は速さで勝ったけど、速さは強さの絶対的な指標じゃない」


「そうか、解った」


 え、嘘、今ので理解できたの!?

 この子、すごいな。

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