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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第八部 アスガルド動乱編
99/117

番外 到達点




 黒いコート。


 そして、短い蒼髪。


 その蒼は、暗く、闇を包む。



「…此処か。」


 その言葉に、短い茶髪の女が反応する。

 彼女は身に纏う厚い鎧をガチャリと鳴らした。


「ああ、ここが最先端だ。」

「…"上"で起こってる事もあるから、速めに調査を終わりにしたい。」


 そう、ここは、海上。


 曇り空に豪雨…荒れ狂う天候の中、一隻の船は進む。


「ワールドアイテム、『天つ羽(ガルーダ)』…まさか、貸出許可が降りるとは、思いませんでしたよ。」


「…それで、此処にいる"怪異"とは?」


 青年は聞く。


 その拳を握り締めながら。



「…まだ、キーを動かしてないらしいから、分からない…と。」


「自分は、そう聞きました。」







 そうした中、波による揺れは次第に大きくなっていて…。


「…これは…!」


「…来る…!」


 甲板に立つ二人は警戒する、すると───。


 ───瞬間、荒れ狂う波の中、巨大なクラーケンが現れた…!






『P u o o o o o o o o n !!』



 そして、瞬時に彼の怪物の脚は甲板を横に幾度となく撫でる…!


 一撫でにて船が水中へと押し込まれ、二撫でされれば空中へと放り出された。


 そんな環境の中、"彼ら"は抵抗を始める…!



「【僕は(対象選択)】【すごく(修飾詞)】【強くなる(効果選択)】。」


「それと、【臨戦強化(ブースト・タイム)】。」


「───【剛撃(バスター)】。」


 その巨大なクラーケンに、空中を蹴って青年は拳を叩き込んだ。


 その挙動すら、見させずに。


 クラーケンの巨躯を揺るがすほどの一撃、しかし───。



「駄目だ、相性悪いみたいですね。」


 しかし、クラーケンは、びくともしていない。


 打撃耐性を持っているようだ…。


 自由落下にて落ちて行く青年、それを捕まえるイカの足。


「…【僕は(対象選択)】【離れない(効果選択)】…骨が折れるぞ、これ…!」


 そのまま締め付けられ、身体中の骨を微塵に砕かれる青年。


「【臨戦強化(ブースト・タイム)】。」


「避けて、アフラ(・・・)。」


 それを見かねた彼女は、背中の太刀を引き抜いた。


「───……【轟撃(ブレイカー)】。」


 空中を蹴り、脳天へと飛び、一撃にて切り裂く。


 【轟撃(ブレイカー)】…。

 『ダメージ二倍の一撃を与える。"進化"スキルアビリティ。』




『P u a a a a a a a a a !?』



 切り裂かれた巨大イカは、海中へと戻っていく。


 遊具()で遊ぼうとしていたら、思わぬしっぺ返しを喰らったからだ。


 切り裂かれた胴体を修復し、叫びながら沈んでいくその姿は、ほんの少し悲しげだった…。



「…助かったよ、ありがとう。セル。」


 身体の自由を取り戻し、空中にいる太刀を持つ女を回収する青年。


 彼の名を、アフラという。


「…骨が折れてるのに、動けるの、ずるい。」


 セル…アフラの腕に抱えられた女は顔をむくませる。


「『強く』なってるからね…しっかし、『天つ羽(ガルーダ)』は此処でリタイア、か。」


 …見かけでは、船は無事であるが、中身の人間は絶大な衝撃を受けて、粉々になっているだろう。


 空中で観察していると、『天つ羽(ガルーダ)』は、荒れ狂う波の中、勢い良く流されていった…。


「甲板にいて良かったね、僕達。」


 そう言いながら、アイテムボックスから浮き輪を取り出すアフラ。


 流石に、この天候の中、"空を蹴って"移動するのは諦めたようだ…。


「…流されるつもり?」


 セルは聞く。


「その通り。」


「運が良くても悪くても…どこかに辿り着くはずだ。」


 ドポン、と音を立てて着水。


 そして、二人は鎖で繋いだ浮き輪に捕まり、漂流を始める。


 彼らの行き着く先は、最果てか、それとも…。







「【女帝(エンプレス)】…っ!おい、しっかりしろ!」


「…ぷはっ!…た、助かった…!やっぱふなつかは最強だな!」


「メガネが流されてしまいました…。無念。」


「…こういう時リーダー役に立ちませんね。」





 意図的に操作される水流…その流れの中にいるのは、不正に乗り込んできたらしい謎の四人。


 彼らも、また、流されながら最果てへの渡航を続ける…。

 生存報告を兼ねた投稿です…すみません、二月下旬の投稿は間に合いませんでした…。


 少なくとも、三月六日までにはこの章分を投稿したいと思います…。


 どうか、【ビクトリア】を、よろしくお願いします。

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