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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第七部 西方戦線編
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第二話 捜索



 1.バゼリ王国-穀倉地域-


 黄金の穂の中、舞う者が二つ。


「…【炎魔術】ッ!!」


 一つはまだ未熟な男。


「グァアオオアァッ!!」


 もう一つは、知性なき虎。


 爪と剣が重なり合う、しかしそれは長くは続かない。


「くぅ…!詠唱してるとこに…!」


 虎は一方の手が防がれても、もう一方を振りかざす。


 そして、男はこれに切り裂かれながらも回避する。


 詠唱中はスキルの使用ができない為、弾き飛ばすこともできない。


「…!よし、詠唱時間は終了!」


 …最早、満身創痍。


「【大爆発(エクスプロージョン)】ッ!!」


 しかし、だ。


 彼は、一手のみの戦士では無い。


 彼から発射されたその火球は───。


「グギャァァァッ!?」


 虎の身体ごと、その喉を焼く。



「…やった、のか…!?」



 パチパチと火が揺らぐその様子を観察しながら、警戒を解かずに構える。


 …そして、火が消えた頃には…。


 虎の姿は、消え去っていた。





 2.バゼリ王国-《剣の騎士》ギルドハウス-



「先輩!俺、『ビッグタイガー』をようやく倒したんですよッ!」


 活発な音とともに、扉が開け放たれる。


「おま……まじか!俺だってまだアイツ相手はキツいってのによぉ!」


 祝福するのは、ソファに寝転がっていた男。


「はは、これで素材集めも手伝いに行けますね!」


 対面のソファに彼…デロンギは座り、嬉しそうにそれを語る。


「いや、基本的に市販品だからなぁ…。まぁ、機会があれば、やってもらうぜ。」


「はい!」


 そして、一旦クフリンはうなづくと…。


「…そうだ、デロンギ。」


「…どうしました?」


 彼は一度悩み、そしてこう言った。


「お前の"呪い"。」


「新規プレイヤーの初めの死につけられるそれは、特殊だ。」


「…気をつけろ。あまり死に過ぎるな。」


「ペナルティがその分増えるぞ。」




「…本当、ですか。」



「ああ。」

「頭の中に入れておくだけでいい。ちょいと、それは厄介だ。」



「…それは、はぁ…。」


(…あまり、重要そうじゃ無さそうな…。)


 新人は、その事を頭の隅へと置いといて、剣の手入れへと向かう。


 そして、クフリンはその事を確認し、"通信"へと戻った。


「…ギルマス?どうしました?」


「…了解。確かに、遂行できます。」


「ただ、その時、デロンギが…。」


「…はい。上手い言い訳でも、しておきます。」


「…では。」




 3.バゼリ王国-西方戦線-


「…モトナリ、それは本当か。」


 夜の剣の盟主は、同じく指揮を行う修羅の統率者へと問いを飛ばす。


「あぁ、儂は本気だ。」


「儂自身が打って出る。」


 見つめるその目は、失望。


「捕らえられたら、指揮系統が混乱する。」


「私より上位の君が連れ去られたら、それこそ一大事だ。」


 そして彼は、これが最後とばかりに道理を説く。


「だが、儂は、戦いたい。」


「こればかりは、譲れん。」


 …それを聞くと、遂に彼は興味を無くしたかのように彼に背を向ける。


「…チッ、借し一つだ。。」



「ははは、後は頼んだぞ!ナイトリッチ!」



「…無双ゲーも程々にしとけ、な。」

「……行ってこい。」


「了解だ。後は頼んだぞ!」


 そう言ってモトナリは部屋を去る。


 行き着く先は、最前線。


 βから研鑽を重ねたその技量を見せてやると意気込むモトナリをナイトリッチは見つめた。


「…良いのか、モトナリ。」


「時間を稼ぐだけでも、良いと言うのに。」


「…どうせ、我々には勝利の二文字は無い。」


「なのに、全力を出すのか、ここで───。」



 4.ナイトケ王国-地下拘置場-


「…ふほっ、はへ。」


 鎖にて繋がれるは一人の囚人。


 目はバイザーにて塞がれ、口には猿轡、それにより、スキルの発動を封じられている。


「……。」


 しかし、彼は、また、空を仰ぐ。


 その行動が、さも、意味があるかのように、何度も、何度も。


(…しかし。)


(連れてきたタキとやらの、あの一言…。)


『貴方には、たっぷりと利用されてもらわないとな…。』


(…ハッ、今の俺に、価値なんてもの、あるのかな?)



 5.ナイトケ王国-首都-バセラヌ


 路地裏で二人は対面する。


「…そっちの首尾は?」


 お互いに血塗れ。


 両者の獲物たるハルバードと大剣からは血が垂れる。


「いえ、ありません。ですが、興味深い事が…。」


 全ては、"地下"を知る為に。


「なんだ?」


 秘密を解き明かす為、一人は軍への陽動。


 一人は国の資料室への侵入を行った。


「…此処、バレているみたいですね。」


 その結果が、お互いに血塗れとなったこの姿。


「ゴーレムの兵隊か。」



「死んだ瞬間に彼ら、信号を出していました。そのためかと。」


 互いに、満身創痍。


「成る程、これは好都合。」



「…本気で、言ってます?」



「お前の不手際じゃ無い、それに───。」


「───今さっき、取っ掛かりが、ようやく掴めた。」


 手にあるのは、地下への見取り図。



  ───演者が、揃う。


「機密特区地下を、襲撃する。」


「潜れるところまで、潜るぞ。」

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