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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第七部 西方戦線編
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前日譚 依頼



 1.ザスターのギルド-ギルド長室-


  ガチャリ。

 ドアを開ける音がする。


「ザスターさん、なんですか、依頼って…。」


 アーサーだ。

 彼は依頼だかなんだが知らないが、ザスターの部屋に来ていた。


「依頼の件は、後にしようじゃないか。」


「アガサ君、黒板を。」


 ザスターがパチンと指を鳴らすとアガサがいつの間にやら黒板を持って来ていた。


「アーサー殿、お久しぶりです。」


 何故か忍者っぽい黒装束の上に白衣を着ている。


「…あのー、これは。」


「抵抗しないでください。」


 何か言おうとしたところで、鎌が首のすぐそこまで迫り…止まる。


「…ミラさん。」



「はい、ミラです。」


 そして、自分で席を用意して座った。


 何故かこいつも修道衣と共に眼鏡をつけている。


「似合いますか?」



「…悪くは、無いです。」


 俺はおべっかを言った。


「不貞腐れても私と貴方は協力者なんですから、意地でも会話することになりますよ。」


 すると奴はいちゃもんをつけてくる…もっと良いおべっかを言うべきだったか…。


「ふ、不貞腐れてなんか…。」


 なんとか応戦しようと声を挙げるが…。


 そこで、ようやく準備が完成したのか、ザスターは立ち上がった。


「では、講義を始める。」


(先生気分かよこいつ…。)


 因みに、勿論だが、俺も自分で椅子を用意して座った。


「これは、今回の依頼内容に必要な前知識の為、しっかり覚えるように。」


「───。」


 馬鹿みたいな思考が止まった。

 よぅし、依頼のためなら聞いてやろう。


 アガサが横並びに三つの円を書いた。


「まず、我々のバゼリは基本的に、『コロシアム』、【組織】、『BON』で出来ているが…。」


 此処でアガサがそれらの円を凌ぐ大きな円を書いた。


「世界はそうとは行かない。バゼリなんて比ではないスケールの話になってくる。」


「今回話すのは、君達が壊滅させるべき組織…『水銀冠』についてだ。」


 アガサが黒板を消した。


「『水銀冠』は、ナイトケ王国から生まれたギルドで、構成員の数が多い。」


「何故ならば、彼らの目的が、『とにかく戦う。』だからだ。」


 why?とアガサは大きく黒板に書く。


「何故そんな理由で人がついてくるのか…それは、このゲームは始めた時点で人をあまり縛り付けない、と言う点にある。」


「強制イベントが、殆ど存在せず、NPCと関わりが薄くてもクリア出来るためだ。」


「だから思い入れのあるNPCや国家をプレイヤーは見出せないのだ。」


「そこで何に走るかと言うと…探究か、戦闘だ。」


 …筋は通っている。


 【ビクトリア】を、シナリオをクリアするゲームでは無いと思ってしまったプレイヤーが、戦闘に走る。


「成る程、そこで戦闘に走る人が『水銀冠』とやらに入ると。」



「その通りだ、アーサー君。」


「───ただ、それだけでは無い。」



 ……え?

 他にあるのか?


「……懸賞システム、ですか?」



「その通り。」


 ……懸賞、システム?



「よくあるだろう、VRMMOをやって、ランキング上位になれば金が手に入ると言う夢のようなシステム。」


「それが、【ビクトリア】にも導入される。」



「ええ…プレイ人口が多いと破綻するしランキング操作も横行すると思うんですけど。」


 俺はそう言うが、ザスターは無視をして話を続けた。


「割当としては上位千名に五〇万ほど…そして、それ以下の一五万名には五万程らしい、」


「まぁ、詳しくは知らないが、このゲームは月額料金で千五百円程だったか…元は取れるだろう。」


「ランキング操作については…同一プレイヤーを殺害した場合、一定時間内であれば入手できるポイントがほぼ無くなるらしい、との事、簡単にできることでも無い。」


「……話が逸れてしまったな、つまり、キルを稼いでランキングを上げたい、という者も『水銀冠』には入ると言うことだ。」


「…それで、ミラ君には別役を託すのだが…。」


「アーサー君、君は取り敢えず、ナイトケの機密情報を探ってきてくれ。」


 いきなりな流れで本題に入ったな。


「はい。」


「地下にクロノスがあった筈だと噂がある、ならば、直通通路もあるだろう。」


「君にはクロノスへと潜伏して、奇襲をかけてもらおう。」



「───クロノスについて、僕、まだ知らないんですけど。」


 俺は、話についていけてなかった。


「クロノスは我々攻略組がアスガルドへと持ってきた"外"からの生体機械だ。」


「主に魔物の生成を行い、一見巨人に見える外観を持ち、実際には体の全てが消化器官であるらしい。」


「潜伏するときになったら普通に奴の身体に飛び込めば何処からでも消化器官へと辿り着くから、そこを拠点としてアスガルドにいる『水銀冠』の殲滅を頼む。」



「……了解です!」


 事前情報?僕には分からない…。僕は雰囲気で【ビクトリア】をやっている。


 つまり、全然覚える気はない。


「『水銀冠』は寄せ集めだ。敵の練度に大きく差がある…アーサー君なら、どうにかできるだろう。」


「では、健闘を祈る。」



「了解しました。」


 俺は椅子を立ち、ナイトケ王国へと向かおうとする…しかし。


「アーサー殿…。」


 アガサさんが声をかけてきた。


「…どうしました?」


「壊滅と言ってますが、何をやるか分かっていますか?」


 …確かに、そうだ。

 死んでも生き返る奴らを壊滅させるだなんて、できっこないだろう。


「分かりません…。」


 そういうと、アガサさんはやれやれと肩を竦めて、何かをアイテムボックスから取り出した。


「…基本的には、拘束などの手段が一般的ですが…。」


「これを渡しておきます。」


 俺に渡されたのは、一つのジェム。


「…これは?」



「【怨霊化(フェイズ・ゴースト)】と言ったスキルアビリティが入っています。」


「効果としては、『適用した相手を殺害すると、その相手の意識を怨霊へと変える。』という物です。」


 …?


「それが、壊滅となんの関係が…?」



「怨霊にすると、復活するポイントを自力で見つけて移動しなければならないので、非常に時間がかかるそうです。」


 …へぇ、眉唾物ではあるが、それは凄い。


「…はぁ、成る程、つまり、これを掛けながら敵を倒していけば、そのうち壊滅させる事ができる…と。」



「その通りです。」


 俺の答えを聞くと、アガサさんは微笑む。


「…うまく、使わせていただきます、アガサさん。」


 俺は、その言葉を最後に部屋を出る。


「感謝ならば、拙者ではなくザスター殿に…。」



「ありがとうございましたァ!ザスターさん!」


 俺は半ばヤケクソ気味に言った。

 何故だか知らんが、余りアイツに感謝の言葉なぞ伝えたく無いと思っているからだ。



「頑張りたまえよ。アーサー君。」



 …言われなくとも。


 俺は、ナイトケ王国へと向かう。


 【魔神王】である事を、ひた隠しにして───。

 投稿日が決まりしたので、ついでとして、発表させていただきます…。



 一月、一五日に投稿させていただきます!


 待っていただいた皆様方、申し訳ありませんでした。どうか、【ビクトリア】をよろしくお願いします!



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