第9話 人形劇
『魔神王降誕』
発動条件は『地◼️◼️◼️都◼️アスガルド』のクリア。
【魔神王】が復活し、NPCの【勇者】がそれを退治しにいくのを助ける、というメインストーリー。
NPCの【勇者】は【魔神王】を破壊して、【魔神王の魂】を女神へと捧げるために戦っている。
該当イ◼️◼️◼️の◼️◼️◼️条件は◼️◼️を◼️◼️◼️の◼️へと◼️◼️させる事。
その時点でイベントは終了し、プレイヤーは【魔神王の魂】を得る。
なお、World Boss、【魔神王】からの該当アイテムのドロップ率は80%だが、確定では無い。
1.元街道
「う"あぁ"あぁああ"ああぁ"ッ!!!!」
ここは、砂煙舞う荒野、そこにてザスターとエルは動向についての相談をしていたのだが…。
突然にアーサーの咆哮が遠くにいる二人へと届けられる。
「っこ、この声…!」
エルは先程までの憂鬱とした表情を振り払って声の方向へと向き直る。
「アーサー君、か。」
ザスターは走らず、されど足早にその声の方向へと向かう。
2.荒野
街の原型すらない崩された瓦礫の平原に、一つの巨大な肉塊が存在していた。
それは脈動し、時々呻き声を発する、青い塊。
そのまるで生命を冒涜するかのような様相に、少女は───。
「…落ち着きたまえ。」
「あいたぁッ!?」
ザスターのチョップがエルの頭を直撃する。
「余計な事は考えなくて良い。これはアーサー君が戦っている証だ。」
…その言葉は、エルの冷静さを取り戻させる事に成功する。
「…あ、ありがとう…ございます?」
…しかし、チョップされたのは変わらない。
エルは少々疑念をにじみ出しながら感謝の言葉を告げた。
だが、ザスターは大したことでは無い、と、かぶりを振って次の指示を下す。
「ともかく、これなら秒読みにて解決するだろう。」
「アーサー君の粒子が次第にアフラを上回り、侵食して。」
………?
この件に関しては、エルは門外漢だ。(少女だけど)
そんなハテナマークを空高く掲げている少女に、少し呆れるが、これはザスターの性の問題である。
普通なら粒子などと言うものに関しての認識は、【魂装】という次元に収まっているのだろうから。
それをほんの少し考慮出来ない性格なのだ。
「はぁ…。」
(びくっ)
エルはため息に敏感だ。
「エル君、ここはもう、解決したも同然だが…。」
「───余計な、邪魔は排除するべきだろう?」
「───ッ。」
エルはその時、やっと臨戦態勢へと入った。
黒翼が、太陽を覆う。
「よく、俺がいることが分かったな。」
舞い降りた、一人の男。
タイトだ。
「私は、そういう能力に造詣があるのさ。」
この男、既に能力使用無しでの粒子の操作を行えている。
そのため、この男の存在を知覚できた。
「…一応聞きたいのだが、君はこの肉塊をどうする?」
…粒子の器官さえ後付けで複製されれば、精度はアーサーを易々と超えるだろう。
…さて、余談はここまでにして、タイトはザスターへと、その向こう側にいる肉塊へと歩き出す。
「切る。」
「切って、空へ還す。」
エルはその言葉から集中を強めた。
何故なら、目の前の男の強さを見たことがあるのは、自分しかいない。
自身が、隣にいる男を、守らなければならない───。
「ゆくぞ。」
タイトの、踏み込み。
それは、常人を逸するスピードとパワー。
「【王命】。」
「───絡めとれ。」
しかし、翠緑の鎖が、タイトの進行方向上に現れる。
咄嗟に羽を広げて後ろへとホバリング。
上空から強襲しようと試みるが…。
「───【高速化】。」
建物の残骸を蹴り、雷光の如き残像を伴って、タイトの背後へと接近するエル。
もごうとするのは、その翼だ。
「来ると、思っていた。」
此処で、彼が優先したのは───。
「【重装化】。」
防御を装甲に任せた、指揮官の殺害。
羽まで覆うその甲冑はそれなりに重いが、魔力でブーストすればどうといったこともない。
「【武装化】ッ!!」
65cm程の短刀が、彼女の手の中に現れる。
それは、才覚の力が鎧などに分散しない分、硬い。
一刀を両手にて振り下ろす。
タイトの甲冑に、ヒビが入った。
なんとかその隙間に剣を突き刺す。
そしてタイトは、翼を消した。
【天狗】は種族として、好きに羽を生やしたり消したりできるのだ。
「…気が変わった。」
「お前から先に、潰してやる。」
空中から、地上へと。
その下降する間も、エルとタイトの剣戟は続く。
エルからすれば、【高速化】が切れる前にタイトを殺さなければならない。
だから、ただ、焦る。
相手を殺すしかない。
「……ふん。」
タイトは、二刀。
エルは、一刀。
形態の差異により、奇しくも、二人の剣は真逆となる。
「…さて、此処で割り込めれば、勝ちなのだが…。」
「そういうわけにも、いくまい。」
ザスターは、一つ呟き、魔力を放つ。
「【攻性防壁】。」
その針は、勢い良く飛び出して影に隠れていた【組織】の構成員を五人指し貫く。
だが、気配は減らない。
「アビリティジェム。」
「解放。」
【探知】の効果だ。
射程範囲内の人数だけで、三十七人。
「…。」
「まぁ、やるしかないのは、変わりがない。」
短刀が障壁の硬度を測ろうと飛んでくて、甲高い音で跳ね返る。
こうなったらもう時間の問題だ。
"食い破られる"。
単純に、【攻性防壁】の防御力が足らないために。
「【攻性防壁】。」
「ハリネズミ。」
その宣言に次いで、殺戮が繰り返される。
だが幾ら殺した所で、増援は止まらない。
ギルドは、強い繋がりで出来ている。相手戦力はほぼ無限と言っても過言ではない…。
「…仕方がない、耐久戦と行くか…。」
「……!」
その目の前に、五十を超える人間が転移してきた。
「【攻性防壁】ッ!!」
その一撃で半数は死亡し、前だけではなく、背後に転移してから襲い掛かかった一団も半壊した。
だが、忽然として人は転移され続け、その都度結界に傷を入れる…。
(すまないがエル君、私は、長くは持たないだろうな…!)
「【攻性防壁】ッ!」
無数の短刀と、魔力壁がぶつかり合う。
…そして、場面は移り変わる。
黒天狗を引き剥がすことに成功した、エルへと。
「そのような有り様では、人一人殺せまい。」
タイトは二刀を踊るように操る。それは今までの腰をしっかり据えた一刀でのスタイルとは大きな差異を生む。
「…舐めるなッ!!」
だが、エルだって負けに来たわけではない。
きっちりとした"勝算"があるからこそ、此処で戦っているのだ。
一刀は、重い。
二刀をジリジリと削っていく。まだ、タイトとエルの間にはレベル差はあるが、サラとの特訓によって、辛うじて競り合えるかどうかのパワーを発揮できる。
周囲を飛び、ヒットアンドアウェイを繰り返すが…。
「───だが、その程度。」
離脱の隙を突いた二刀の同時攻撃により、肉は切り裂かれた。
傷は深い、右腕はもう動かせない。
脚を使って回避しようとするも───。
「【剣鬼】。」
「───捕まえたぞ。」
最強の身体強化スキル。
それの前には、【高速化】も捉えきれない速さでは無くなる。
一瞬の内に投げられた剣は、フェイントも無しに飛び退いたエルの胴を貫いた。
【高速化】は俊敏を限りなく上昇させるスキル。
意識までは、加速させる事は、出来ない…。
地面へと落ちるエル。
───その時、彼女の意識は、突然にある時の記憶を引っ張り出した。
『よくやってるねー。』
《聞こえる足音。》
『…っはぁ、サラ、さん…。』
《普段の癖で、息切れしかけるが、すぐさまその動悸は失われた。》
『お、お久しぶり、です…。』
『随分と頑張ってるみたいだね。ログアウトもしてないんじゃ無い?』
《思い出されるのは、暗い洞窟。》
情報提供の代わりに、助手にしろと言ってきた物好きが来るまでは、助手などとる気もなかった。
依頼された"戦争"までの、情報集めも存在するためだ。
『…私は、今此処にある現実に乗ろうとしてるだけなんです。』
『わくわくするでしょう?陰謀とかって。』
《ミドガルズの、機械族狩りの時のこと。》
『…君のレベル上げを行なってきて、確認が出来た。』
『はい。』
《助手にするにしては、レベルが低すぎると無理やりに連れてこられたこの洞窟にて。》
『君の才覚は速さの強化…それでいて、筋力自体は本当に変わらない、とね。』
《一人で放り投げられ、初めはどうなることかと思ったが、この人は折を見て私の成長を確認しにきてくれる。》
『…はい。』
《機械族は、装甲が硬く、私の筋力では貫けない。》
《至った結論は───。》
『ですが、筋力自体は、という事です。』
『此処は、良いですね。レベル上げが───。』
《───急所を、容赦なく破壊する事。》
《私は、背後に迫りくる三体の機械の関節をバラバラに破壊する。》
『───とても、捗る。』
《そして、サラさんへと向き直る。》
『…今のレベルは?エル。』
《サラさんは、少々俯き、そう聞いた。》
《だから、答える。》
『…。レベルは、1578まで上昇しました。』
《あなたは、優秀な人材の価値を分かってそうだから。》
《一つ、驚かせてやろうとしたのだ。》
サラは、目を、見開く。
何故ならそこに到達するには、エルのスキルビルドであれば、一日の十四時間ほどを機械族とのレベリングに使わなければならない。
…考えてみれば、彼女のスピードなら、敵がリポップするまでの間にはこの洞窟内にいる魔物を全て破壊できるのか、ならば、効率は段違いなのだろう。
『…つくづく、ゲーム的に壊れているね。』
《そりゃ、どーも、と、心の中で呟く。》
《一人一つのパッシブなど、用意する方がいけないのだ。》
『"表"にするのは、不正解だったかも。』
《…そして、サラさんは、かぶりを振って、こう言った。》
エルの意思の、その全容は、分からない。
…だが、答えは決まった。
『…でも、ま、良いか。これも"代償"だし。」
『君に助手を任せよう。』
元々が、一期一会。
『根気強いのは、嫌いじゃない。』
ここで一つ、手足を増やそう。
《その一言が、私を舞台へと引き戻させる。》
『───よろしく、お願いします。』
「此処は、あまりに対等なプレイヤーが多いと思いませんか?」
出血を厭わず、エルは腹に刺さった剣を引き抜いた。
「時間をかけた人が、勝てるとは限りませんから。」
寡黙な少女が、愚痴を吐き出すように出した極小のエゴ。
お前に、勝つ。
この暴れ馬を、制御、してやる。
脚は、心は、タイトへと、立ち向かおうとしている───!
「───【高速化】。」
最早、体は保つまい。
だが、元々が"時間稼ぎ"。
"相手"に、風穴を空けるまでの。
【高速化】…。
『自身の俊敏値を戦闘終了時まで五倍する。("重複可能")』
『最大連続使用回数は五回。』
『チャージタイムは、三時間。』
ざっと、二十五倍。
しかし、筋力が無いのに、速さだけ増しても意味が無いと感じるだろう。
だが、俊敏とは、意図する方向へと加速する力。
その、初動は、紛れもなく軽い。
小さなジャンプにすら届かぬ踏みつけ。
「加速、します───!」
だが、その踏みつけは、紛れもない"初速"。
加速されるモノの範囲内だ。
そして、タイトへと放たれた、神速の、百二十八閃。
「此処には、対等なプレイヤーが多い…。」
「───それを言うには、お前は尖り過ぎだ。」
【重装化】。
タイトの全身鎧はずたずたに引き裂かれ、遂に布のみの丸裸となるが…。
【剣鬼】は、まだ続く。
「対等で止まる者ではないだろう、お前は。」
「上がり続けて、下がり続ける。」
法外な加速は、本人の視界を狂わせる。
百二十八閃を叩き込むまでに、いくら攻撃を喰らわされたかすらも、覚えていない。
だが、いくら傷を食らっても同じ事。
「"首"は、もうとっくに獲らさせていただきました。」
「あなたは、私が見せていた残像を追ってただけです。」
その連撃を食らわせた後、あまりの負荷に、反動で靭帯はボロボロに削れ、腕の筋肉は輪ゴムのようにはち切れた。
「…切れている、確証は、無いだろうに。」
対するタイトは、五体満足。
鎧の欠損のみで、余裕を保つ…。
「抜かりは、ありません。」
そして、ドサ、と音を立てて、腰を地につける。
「すべて、取りました。」
そして、どさどさ、と。
【組織】の人間の首が落ちる音がする。
「…取れていた、ようだな。」
「しかし、遠いとあまり見えない。」
「…驚いたぞ───。」
まるで、見ていたかのように落ち着いた態度のタイト。
これは何故かと言うと、単純な話、【剣鬼】の効果により、動体視力を強化されていたタイトは、"こと細やかにすべての手順が見えていた"からだ。
「俺は、加速した動体視力の中で初めて、"自身の動き"が、"酷く重く"なった感覚を覚えた。」
「───そしてそんな中で、鈍っている俺を放っておいて、尚且つナイフを投げる事で、ここに縛りつけ…。」
「よもや、その間の一瞬にて全ての伏兵を惨殺するとは、な。」
「俺を狙うだろうと思っていたのだが…。」
「【組織】の伏兵へと向かうとは、予想外だった。」
そう、体が重くなったのだ。
刀を振るだけなら融通は効くが、移動には手こずるだろう。
「……恐縮、です。」
つまりは、初めから、【組織】の兵を全て破壊するための茶番。
だが、これはただの茶番ではない。
タイトの、【剣鬼】。
それの効果を、躱すためでもある。
【剣鬼】…。
『【臨界強化】と【付与:防御無視】の複合スキル。』
『チャージタイムは二十分。』
『最大連続使用回数は、二回。』
【臨界強化】…。
『自身の素早さ、攻撃力をニ.五〇倍上昇させる。自身のレベル×〇.〇〇一秒それを持続させる。その間、"自身の体感速度を上昇"させる。このスキルは戦闘終了時まで再使用出来ない。
(このスキルはレベル一〇〇〇〇から以上は成長しない)』
実際、エルには他人のスキルの情報などはまるで分からない、だが。
だが、この行動は結果的にエルが死ぬまでの間、【臨界強化】を封じる事に貢献しているのだ。
しかし、エルはすでに満身創痍。
【高速化】の効果でさえ、エル自身が【戦闘できる状態ではない】として自発的に切っている…。
「…しかし、賞賛は、ここまでだ。」
「消えろ。」
いくら貢献したとしても、タイトに切られるのは決まっている。
だが、彼女に手ぬかりは無かった。
踏み込み、豪、と音を立て、接近しようとするタイト、だが───。
「ワイヤー…?」
視界の真ん中に、細い光の反射。
「防御に限って言えばですが。」
「明らかにダメージが入る攻撃を、全て抜かりなく防いだのは見事でしたけど…。」
その光は、首元から───。
「私の武装は、【武装化】だけでは、ありませんから…!」
彼女の両の手のひらから出てきたのは、ワイヤーに繋がれた二刀の短剣。
サラから教えられた、小手先の必殺。
縄跳びを首に回すようにした、高速の、ワイヤー掛け。
「これは、やられたな───。」
そして、ワイヤーが繋がれた短剣が、引っ張られた。
「…しかし、ジャイアントキリングには、質が悪すぎる。」
そして、当然の如くと言わんばかりに、ワイヤーはひらりひらりと宙を舞う。
切られて、いた。
剣の軌跡は、卓越した観察力を持つエルとしても、その残滓しか見えない。
「両手両足を拘束もせずにただ必殺を仕掛けるばかりだからな。」
「"斬っておいてしまった"。」
二刀の片割れが、ワイヤーを切り、そしてもう一刀が───。
「エル君ッ!?【攻性───。」
───もう一刀が、身体を切り裂くのは、そうは時間はかからなかった。
(…殺される感覚には、慣れない。)
視界の端で、ザスターが魔力針を飛ばすのと共に───。
夥しい程の出血が、粒子と変わる。
「───防壁】ッ!」
ザスターより飛び出した魔力針が、タイトを追う。
「おっと、増援、か。」
「…ではな、願わくば、次もまた戦おう。」
そのとき、今際の際に、こんな事を言われたので…。
「そんなバトルジャンキーは、あなた、だけ、ですよ…!」
最後だと思って、彼女は吐き捨てるように、言い放った。
エルが【組織】の人員を皆殺しにしたあと、更なる増援に来た人員を皆殺しにして、ようやく駆けつけたザスターは、遂にエルの姿を発見した、が…。
「ザスター、さん…。すみません、深傷を…!」
所々が粒子へと変わっている。大気中の粒子で固めたとしても、結合が出来ずに分解されるのが関の山だ。
「…この傷では、無理か。」
「すまない、駆けつけられなかった。」
自身の戦略的敗北であると、大量残滅が出来るエルこそ、構成員狩りへと回せば良かったと。
そう、ザスターは夢想した。
「…ザスターさん。逃げてください。」
「増え続ける構成員を、抑え続けて、それでアーサーさんを守る事は、無理です。」
…そういえば、あの肉塊。
もう既に、あの構成員の数ならば、切り裂かれててもおかしくは無いのでは…。
「そういえば、アーサー君を守るのだったね。」
「───えっ!?」
も、もしかして、忘れてたり───?
「アガサ君。そっちは?」
「───片付きました。」
現れたのは、血に塗れた忍び。
ザスターの部下、アガサ。
(アーサーさんの事…忘れてなくて…良かった…。)
撫で下ろす胸には際限なく血が滴る。
「エル君、その事なら、心配は無用だ。」
しかし、後は任せろと言う協力者に、安心した。
「私には、頼りになる部下がいる。」
「…分かり、ました。」
「すみません、後は、よろしく───。」
か細く、響く声。
「───エル君。」
そして、ザスターはチラリとエルの方を見る。
…そこには、もう、残滓しか残ってはいなかった。
…応えよう。気持ちを切り替える。
引きずっては、いられない。
「…君にも、近づく者が、随分と居たようだね。」
そして、アガサの返り血を見ながら、言う。
基本的にアガサはアンブッシュをするのは上手いが、されるのには、弱い。
だが、元より暗殺を捨てた構成員とは戦いにはならなかったらしい。
見ての通りの無傷だ。
「ご命令の通り、接近を許す事は、していません。」
「…では、何も無いようでしたら、失礼します。」
「ああ、引き続き頼む。」
(…しかし。)
(私のギルドの構成員の増援が、随分と遅い。)
2.『地◼️◼️◼️都◼️アスガルド』
暗い闇の底。
湿った空気、真白い壁。
部屋の隅には、既に用済みとなった拘束具。
「…だから、我々も使えって言ったんだがねぇ…。」
【軍師】。
元より彼は、後方担当だ。
「アフラ奪還に、ザスターのギルドの足止め…。」
「両立は、とても無理だ。それに彼は、我々と同じく、"最強"の残滅兵器を備えている…。」
【戦術試行】を、ただただ、繰り返す。
「…はぁ、仕方ない。」
彼は、立ち上がり、共に円卓に座る数々の仲間へと命令を下した。
「バゼリサーバーを、まだまだ内乱させるために、火種を撒く。」
アフラの協力者は、ザスターだけでは無い。
「対バゼリ【領地戦】の状況は、好転しないだろうけど、それでいい。」
「我々、【水銀冠】が、【組織】にとって変わる───。」
「───世界的組織に、変わるまでは。」
【時はもう、遅い。】
【戦火は広がる。】
【三人目のシナリオライター。】
【幻想を、補強する者。】




