表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第六部 真実の【ビクトリア】編
78/117

第1話 【終わりの始まり】

やっと更新出来ました。前の話と同じく、これも生存報告として行わせていただきます。

ただ、書溜めがやっと出来ましたので、出来るだけ投稿はしていきたいと思っています。

それでもよければ、【ビクトリア】をお楽しみください!




 1.光の柱 内部



 吹き抜ける風が、俺の頬に触れて、そして衣服の中を通り抜ける。


タレント(才覚)?」



 俺の問いに、一切の迷いなく、声は答えた。


《イエス。タレント(才覚)。》


《それは、製品版による追加サービスとなっています。》



 へぇ、製品版から、か…。

 …おい、そんなの可笑しいぞ、それなら俺たちがこのゲームに初めてログインした時に、付いているはずだ。


《肯定します。プレイヤー。》


《本来ならばサービス開始初日から3時間後には提供する予定でした。》


《ですが、貴方の他のプレイヤーが、【女神】を封じ込めた為、再起動するまでの間、配布する事は叶いませんでした。》


《プレイヤー、納得いただけましたか?》


 …よし、それは、わかった。


「なら、タレント(才覚)を決定するって、どうやるんだ?」


 …それに対して、声は淡々と告げる。


《プレイヤー。貴方が意思を示す事が、それに繋がります。》


 そんな、許可を求める声に───。


「なら、決定する。俺のタレント(才覚)とは何だ?」


 ───俺は、間髪なく意思を示す。


 それはもう、待ちきれない坊やのように、スキップを連打するゲーマーの様に。


 新しい要素を、早く見たい思いで一杯なのだ。



《プレイヤー。それは、貴方が知りうる事です。》


《では、【ビクトリア】を、お楽しみください。》




 2.コロシアム内部



 飛び散った脳漿は、粒子へと消えていく。

 主人を失った糸や斧は、それと同じく消えていった。


 ───そして、その中心には、黒き影。


 陽に照らされ、徐々に空間に溶け出しているそれは、だが、今に至るまで、隙という隙を見せる事はない。


 その全ては、自らが主人の為に。




「…よう。」


 カツ、カツ、と。

 石の地面を歩く音が聞こえる。

 一定に、そして小刻みに。


「暇、してたか?」


 ───影は、仕掛ける。

 その掌底を、先程まで吹き飛んでいた雑魚へと向ける。

 自身の一撃を、今更お前ごときが何とか出来ると、思うな───!



「………───才能(タレント)。」


 拳が迫るところに、アーサーの手の中から、光が放たれる。


 だからなんだと攻撃を与えようとするところに───。



「───【武装化(アームズ)】、【模範騎士(アルトリウス)】。」


《【模範騎士(アルトリウス)】のタレント(才覚)、ローホルト。》



 その光は、影へと届きうる。


《此処に。》


「………!」


 "同族"の気配に、影は後ずさった。



「【始聖剣(カリブルヌス)】…!」



 ───彼の手に、珠玉の一品と言う他無い鋭さを持つ剣が現れる…。

 刀身の色は白亜。その尺は二.三〇メートル程。


 計り知れない力を感じさせる、長剣であった。


 しかし、影はそれを確認すると、その拳を、アーサーへと撃ち込む…。


 そんな取り回しなくそうな剣ならば、俊敏極まる拳にて通り過ぎて首を取れば良い事、躊躇う理由などない…!


「【魔法剣:煌撃(アルスター)】…!」


 しかしアーサーは、その剣を、振り抜かれた影への拳へと突き刺す。

 バックステップにより距離を取って、飛び退きながらも剣を拳にねじ込んだのであった。


 …この剣は、【武装化(アームズ)】により作られた、タレント(才覚)を武器へと変えた代物である。


 そして、その剣は、今まで刺し通せもしなかった皮膚を易々と突き通し、その拳から腕へ、腕から肩へと、忙しなく暴れまわる。


 …そうして、剣は影を切り払った。



「───ッ!」


 …影は、逃げる。片腕を失ったら、分が悪い。それに、この身は一人のものではない。


 だが、アーサーだって黙ってはいない。そのまま逃してなるものかと、地面を蹴って逃げる影を追う、だが───。



「………居ない?」


 影は、コロシアムの外壁近くの影へ寄ると、そこから一瞬で姿を消した。



 まるで、そこに初めから、居なかった様に。


《ログカットモードに移行。プレイヤーとの会話部分を分離。》


《…敵性タレント(才覚)の、この場からの逃走を確認。》


 影が去ったばっかりに、俺はふと、光の柱の方へと振り向く。


《指令を、実行。》



 すると、光の柱から、さまざまなタレント(才覚)と思わしき光が、どんどんと分離していく。



 俺は、それを身近に見ていた。


 そして、綺麗な光だと、そう思った。




 3.宿舎


 …結局、あの柱は無くなった。

 分離し続けた結果だろうか、とにかく、目に見えるものでは無くなったのである。



「お、アーサー。」


 すると、ラマンダ君が話しかけてきた。


「…ラマンダ君。君、その鎧と槍は?」


 帰ってきたアーサーを出迎えたのは、【世界】の格好をしたラマンダ。


 まるで、憑き物が晴れた様にガシャガシャと鎧を動かすその様は、すごい筋力であると言う他ない。



タレント(才覚)だよ。やっと、時間制限が無くなったんだ。」


 ラマンダはそう言って肩を回す。

 今まで使用していた自分だけの能力、それの最大の欠点が無くなった事に自慢げだ。



 …やっべ、【世界】の能力消費してたわ。


 今思い返せば、ラマンダ君の肉体ごと女神の器になってて、その結果【世界】の元となったスキルは全部【世界】ごと持ってかれてた事に気付いた。


 いやさ、俺がラマンダ君の体の中に入った時に、【世界】からスキル"のみ"を取り出そうと思ってたんだけど、結局、それは無理な話で…。


 俺は滝のような汗を流す。


 …そうして、少し考えていると、突然思い出したかのようにラマンダ君は急にしおらしくなった。


「あ、あのさ。」


「…えーと。」


 そうやってどもってばかりなので、俺はちょいと聞き出そうと試みる。


「どうしたんだラマンダ君。」



「…アーサー。」


 するとラマンダは、声を張り上げようとして、でも小さくこう言った。


「───ごめん。」


「俺は、お前を今回のトーナメントに巻き込んだ。」


 …俺は、黙っている。


「元々は、【スキル秘伝書】を手に入れたかっただけだった。【世界】の、燃料を手に入れる為にな。」


「アフラは、そんな俺に向けて、トーナメントの前に戦線布告をしてきたんだ、だけど…。」


「実際、半信半疑だったんだ。【世界】の能力を使う為に、【スキル秘伝書】は必要不可欠。」


「俺に選択肢など、無かった。」


「そして、出来るだけ多くの【スキル秘伝書】を取る為に、タッグへと、お前を巻き込んで、登録してしまった。」


「…そして、このザマだ。」


 彼は、俯いた。


「ラマンダ君。」


「現実なら、それは最低なのかもしれない。」


 その言葉に、彼は少し身を震わせた。


「だけどさ。」


「ゲームなんだから、責任なんて、取る必要も、取る事も出来ないんだ。」


「自分が謝りたいから、謝ったとしても。」


「それで責任は取れない。」


 …ゲームは、自己責任。

 ならば、全てのプレイヤーの行動は、【ロール】という三文字に片付けられてしまう。


 だけど、俺は、ラマンダ君の謝罪は、本当だと思った。


 俺が、そう思いたい。




 俺は最後らへん【世界】のスキルの件考えてなかったけどな…!




「ラマンダ君。」


「だけど、俺は、君を、許したい、」


 すると、ラマンダ君は、やっと頭をあげた。


「…それで、良いのか?」



「良いんだよ。」



「…アーサー。」



「でもさ、選択肢は無かったの所は流石にお前【世界】に執着しすぎだと思ったけどさ、そこらへんどうよ。」



「…すまん。でも、そう言うお前も人許すのに大概めんどくさく無いか?」

「それも、あんな長々と…。」


「………。」


「………。」




 4.俺の部屋


 こうやって、俺の、とはつけてはいるが、その実、この部屋は誰のものでもない。


 そう考えると、この世界にのめり込め無くて、泣きそうになる。


「…タレント(才覚)。」


「出てこい。【模範騎士(アルトリウス)】。」


 すると、光が俺の体から飛び出して、その光は騎士の甲冑を模し、俺へと傅く。


《【模範騎士(アルトリウス)】のタレント(才覚)。》


《ローホルト。》


《此処に。》


「お前の情報を開示しろ。」


《イエス、マイロード。》


 【模範騎士(アルトリウス)】…

 『【魔力強化】【魔力強度増強】【筋力増強】【怪力】【韋駄天】【始聖剣(カリブルヌス)】の複合スキル。戦闘時にのみ使用できる。戦闘後に効果が切れる。』


 【魔力強度増強】…。

 『魔力の密度を高める。』


 【始聖剣(カリブルヌス)】…。

 『その剣は、全ての攻撃を増幅する事が出来る。このスキルは一度使ったら三十分間使うことは出来ない。』




「…成る程。つまりは、【模範騎士(アルトリウス)】は実質三十分間のインターバルを置かないと、完全には再使用できないって事か。」


《…。》


「ローホルト。タレント(才覚)は【武装化(アームズ)】以外に何が出来る?」


 ローホルトは、俺に傅いたまま、答える。


《今のような、【騎士形態(ナイト)】を取る事と、【重装化(フル・アームズ)】です。》


「…だいたい、わかった。」


 多分、【武装化(アームズ)】しか使わなそうだからな。


「…あの影は、なんだ。」


 そんな所で俺は、あの影の正体について、聞いてみた。


《【騎士形態】のタレント(才覚)であると推測されます。》


《ログより、私以外の武装が、彼に傷をつけられなかった事がその証明です。》


「…【武装化(アームズ)】でないと、タレント(才覚)へは、対抗できないと?」


《その通りです。マイロード。》


《対抗手段は、現状、それのみとなっています。》



「…そう、か。」


 …鍛冶屋は、どうなってしまうのだろう。

 これではとてもではないが、市販の武器は売れない。

 【武装化(アームズ)】は壊れないし、今のところは、デメリットなど無いからだ。


 【第二段階(セカンド)】であっても、壊れなくて便利なのは同じだが、【第二段階(セカンド)】には時間制限があった。


 …これでは。


《…恐れながら、申し上げます。》


《【武装化(アームズ)】は、タレント(才覚)の力によって発現されます。》


「───……。」


《よって、ですが。》


《【武装化(アームズ)】は、タレント(才覚)のぶつかり合いにて、折れます。》


《…その事を踏まえた上で、ロードの思うように、お使い下さい。》




 …決心が、ついた。


 この力を、満足に使うための。




「───ありがとう。」


「ならば、行くか。」


《何処へ、でしょうか。》



「…いや、適当。」




 5.街道


「話通りの腕前と鎧。成る程、最強と呼ばれるのも無理はない。」


「…私に立ち向かう。どのような理由でか?」


「───決まっている。」


 黄金の鎧武者と、【黒天狗】が空中戦を繰り広げる。


「最強を、頂く為だ…!」




 槍は旋風を巻き起こして翼を翻弄するが、それをうまく制御して【黒天狗】は接近しようと試みる。



「…効かないぞ。私には、そのような剣など。」


「加速が足りないって、言いたいんだろ?」


 一瞬で、目の前に【黒天狗】は移動した。


「───ッ!?」


「お前に、教えてやるよ。」


 ───咄嗟に、魔法壁を作る【世界】。鎧によるスキルだろうか、無言でもかなりの硬度の魔法壁を作り出されている。だが───。



「【黒天狗】種族アビリティ。」


「【魔滅真空】…!!」



 その一言と共に、壁は、初めからなかったかのように解けた。



「───っ獲った…!!」


「【武装化(アームズ)】、【剣鬼(ソードマスター)】…!」


 彼の掌に収まる五尺ほどの黒刀が、一瞬にて、青色の八尺程の刀へと変わる…!


「───消えろ。」


 その言葉と共に、一気阿世に刀を振り切る。


「…効かない、な。」


 だが、一太刀では傷一つつかない。


「───ならば、何百と重ねるのみ。」


 刀が、速度を持ったまま何度も何度も鎧を切りつける。

 これは、特に意味がないだろう、そう【世界】は断じた。

 実際、この鎧が割れる気配はない。様子を見てみたが…。


「反撃をしても、良いだろうな…!」


「───ッ!?」


 嫌な気配が、背筋を襲った。


 その時だ。彼は"嵐"を、呼び起こす…!



「はぁッ!!」


 槍が振り抜かれると共に放たれた多重の斬撃。

 それが、"嵐"である。


 ───その嵐は、地上にある家を、4軒ほど粉々に破壊するほどの威力を見せた…!



 その暴風が残した災禍を、見下げながら【黒天狗】は呟く。


「…成る程、少し、特殊らしい。」


 無敵と言って遜色ない鎧。


 最強の文字に相応しい槍。


「だが、ならば、それでも。」


「何百、何千、那由多の彼方まで…!」


 【黒天狗】は、風が放たれてなお翼を翻して接近し続けようとしたが、突然魔力を前方へと放出し、後方へと下がる。


「…ッ!?」


 それは、暴風が際限なく追尾してくる故に。


「…ッ。」


(せめて、アイツが"同調"してくれたら…!)



 一刀にて、その風を斬りはらう。


 【世界】は、その一刀からタイトの意思を、感じとる。


 ───最期まで、戦うと。



「───その刀、脆くは、無かったようだな。」


「…ならば、一撃を下そう。」


 槍を、深く持って構える。

 体を捻るような体制をとって、相手を眼のみで見つめる。


 そのような、隙、と断じれる態勢を取れるのは、この鎧と、暴風の追尾性が、彼にとってどちらも"最高"の領域にあるから。



「───【世界(ワールド)】…!」



 七二のスキル、その性質を半分も発揮はできていなかった。


「第七十二号封印、解号。」


 その力、他のタレント(才覚)には無い、『展開中に、取り込んでいる全てのスキルを扱える』という力。



「───『暴風世界(ミッドガルド)』ッ!!」



 それはついに、破滅を翻す"光嵐"として現れた…!!


 嵐から、一つ、二つと洪水の様に大元から分離した小嵐がタイトを襲う…。


「…ッ!」


 それは、無数の斬撃。この嵐を受け止めようとする者は、無限に近い剣戟を乗り越えなくてはならない…!


 だと言うのに、一つの嵐を凌ぐのみで、タイトの剣は精一杯であるのだ。


「…仕方がない。」


「【騎士形態】、俺を救え…!」


 全力でその嵐から後退しながら、タレント(才覚)を呼び出す。


《しょうがないなぁ…って!》


 タイトの目の前に、剣を持った着流しの少女が現れる。

 そして、共に自らを取り込むであろう光混じりの暴風雨を見上げた…。


 今にもその嵐に呑み込まれそうだ。とてもではないが、スケールが違う。


 新幹線のような速さで富士山が飛び込んで来るようなものだ。



《無理でしょ。》


「そこをなんとか。」


《…いや、実際さ、刃が通らない時点で、もうダメでしょ。》


《それにさ、何故か、【衝撃波(スパーク)】とかの攻撃スキルを───ッ!?》


 一瞬で、魔力を放出し光の群体から抜け出す。

 翼は…使えない。

 あまりにも、翼を広げるには攻撃が細かすぎる…!


「───危な、かった。」


《───て、まだッ、ヤバイし…!》


 攻撃は、本格的になる。

 最高速で後退しているというのに、暴風雨から抜け出した光の奔流が、彼を追う…。


 そして、タイトを捕ろうと、それは拡大を続ける。


《しょーじき、無理でしょ。》


《私の力は、あくまでも身体能力を上げるだけなんだから。》


 光を潜り抜けながら、彼らは言葉を交わす。馴れ合いのようにも見えるようなやり取りが、その間で交わされた。


「…バカ、言うな。」


《私はバカじゃ無いし。》


「甘えてんじゃねぇよ。」


「ここで負けたら、一生勝てねー。」


 そして、彼は彼らを集めた"影"を思い出した。



「アフラには悪いが…。」


「これも、いい機会だ。きっとこいつは表の攻略を始める。」


「なら、この機会以外に、奴に勝てる場など、用意出来る筈がない。」


《…バトルジャンキー?》


「その通りだ。」


 いくつもの乱流を躱し、大きな暴風を抜けようと試みるが、それもここらで限界だ…。


 ───勝負に、出よう。


《【剣鬼(ソードマスター)】、その力は一刀にて、全てを切り開く事。》


「つまりは、全てを投げうつ事で、最大の一撃を放つ事ができる…。」


「斬り合いの末を望む俺には、勿体無い力だと思ったが…。」


「───頼らざるを、得ない。」



《…なら、許可出してあげる。》


《使いなよ。【剣鬼(ソードマスター)】。》


 すると、アナウンスが、彼の中に流れた。


《……スキルアビリティが、アンロックされました。》


 彼の従者は、最後に一つ。


《使うと言うなら、コレを必殺のスキルにしてね。》


《───私なら、こんな状況は易々と乗り越えられるんだから。》



「…はっ、言ってろ。【武装化(アームズ)】、そして───。」


「───【剣鬼(ソードマスター)】ッ!」



 【剣鬼(ソードマスター)】。

 その能力は、剣を鋭くする。


 その事に、ただただ傾倒する。



「…辿り着く剣。」


 【臨戦強化(ブースト・タイム)】。

 それにより、羽の筋力が強化され、一瞬の羽ばたきで光嵐へとたどり着く。


「…突き抜け───。」


 そのまま、手を振る事で嵐を吹き飛ばす。

 魔力を、それと共に放って、衝撃をさらに拡大させながら。


「…ッうぉぉぉ…!!!」


 嵐は、手を切り刻みながら、必死に抵抗する…!


「───ぉぉおぉぉおおッ!!!」



 …魔力を伴っていても、本来なら、この光嵐を吹き飛ばす事は容易ではない。


 【臨戦強化(ブースト・タイム)】による、筋力の強化を受けていても、それは同様だ。



「ッ打ち、払え───!」


 ───だが、嵐は、ここに払われた。

 全部とはいかないか、詰め寄るには、充分な範囲を払ったのだ。


 …実際に、この嵐を吹き飛ばす事が出来たのは、ひとえに、今まで、必死に時間を稼いでいたからである。


 その稼いだ時間が、嵐を消耗させる事に成功していたのだ。


「───ッ!?」


 打ち払って、薄い、されどまだ深い光嵐の先に佇む鎧を纏う男は、驚愕する。

 なにせ、いくら彼の突進力が高いと言っても、この嵐を打ち払う術はないと思っていたからだ。



 …それ故の油断は、彼にとって命取りであった。



「───切り殺すッ!」


 嵐は、タイトが逃げていた間も拡大を続けている。そのため、残った距離は目視2キロメートル以上。


 …だが、【臨戦強化(ブーストタイム)】であれば。



「───ッアァ!!」


 一瞬で、その様な距離も、残った光嵐も、飛び越えられる───!


「【世界(ワールド)】ッ!!」



 二度目の、閃光。

 だが、それを2キロメートル以上離れたタイトに放ったのは───。



 ───タイトが、既に自身の懐に来た後であった。


 伸び切る腕。


 【世界】は、今ここに至って、自身の敗北を察する。


「これで、終わりだ───ッ!」



 …【防御無視】を行なった彼の青色の刀が、鎧をすり抜ける様にして、【世界】の身体を、切り取った!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ