表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第六部 真実の【ビクトリア】編
77/117

プロローグ

更新が長らく遅れていて申し訳ありません!

ですが、特に速まる事も無いと思いますので、これは生存報告のような物です。


書溜めが遂に尽きてしまい、更になかなか書く時間が取れないなどと、制作にはかなりの苦労があります。


その為、数ヶ月程度はこれから遅れると思います。


それでもよろしいのであれば、どうか、これからも【ビクトリア】をよろしくお願いします。



「ジタン。聞いているんだろ?」


 アフラは、影に向けて話す、


 彼にとって、その影はβ含めて一年間ほど、自身を守って来てくれた始まりの仲間。


 …姿は、今だに見せてはくれないが。


「結局、僕は、君が側にいる、という事実しか、知らないけど…。」


 …影は、少しギョッとする。


「───君になら、任せても良い。」


 その宣言は、信じている者にかけるものとは違い、少し、突き放すようなニュアンスが、現れていた。


「僕は君に期待する訳ではない。今でも、影から出てこない君には、油断を許してはいない。」


 だが、そこで思い出すのは、いつも影が、自身を守っていた、という事。


 …いつも、側にいる影が、姿を見せないのはある種の信頼関係なのかも知れない、とでも思って。


 そんな、当てずっぽうの信頼に、彼は期待してみた。


「ランクアップ四段階目"制御"を果たせなかった僕は、きっと、【世界】には勝てない。」


「でもね、負ける気もないんだ。」


 彼を、力に呑まれた彼を、【組織】に入れれば、多少は復帰のための【スキル秘伝書】を手に入れて融通する事が出来るだろう…。


 彼を救えるのは、現状、僕しかいない。



「だから、僕が彼を、倒せないと思った時は、自滅覚悟で【大予言(ノストラダムス)】を適用するから…。」


「…君が、倒せ。」


 その言葉を受けても、影は動かない。


 もう、その場には居ない、という事なのか、それは分からないが…。



「…じゃあ、頼んだ。」


 アフラだけは、それが居る、と信じていた。





 1.コロシアム内部


 俺たちが、此処から立ち去ろうとする時だった。


 ザスターが、突然魔力針を打ったのである。


「さて、と。」


「【攻性防壁(カウンターシールド)】。」


 あまりにもタイミングをずらして放たれたその針群。


 その針は、途端も無く広がって、そして…。


 ───視界の中央に潜んでいた、小さな影が飛び出した…。



「…やはり、ね。」


 ザスターは得意げに言う。だが、そんな事を気にしている場合では無い!


「粒子、複製…。形態変化…!」


 粒子は、集まり、列を成して、そして、その形は、いつも使っている片手剣となる。


 だが、これでは強度が足りない。長さの割には、密度がスカスカの為だ。

 ナイフのような長さにして、システムサポートの恩恵を受けようと、一つのスキルを発動する。


「【魔法剣:蒼穹(クラウ・ソラス)】…ッ!」


 …成功。硬度はさらに硬くなり、剣はナイフの長さから片手剣へと変わった。


 咄嗟に戦闘準備を整えて、後方を庇うために前へと出る。


 …飛び出してきた影は、黒々とした膜に外面が浸っていて、とてもでは無いが、人型である事以上、性質を見極める事は、出来ない。



「君の弟子、結構判断力は良いね。【家具設置(ガーデニング)】。糸よ、【硬質化】しろ。」


 【家具設置(ガーデニング)】…。

 『物を一瞬で配置するが、図面は一人で、それも脳内で接合部分まで詳しく想像しなくてはならない。』


 【硬質化】…。

 『物を、硬質化する。【精密操作】スキル派生スキルアビリティ。』


 【精密操作】…。

 『全てに対する視界をミクロにする。』



「…スキルキャスト。【振り子斧(ペンデュラム)】。」


 …一瞬で、闘技場の空を糸が覆い尽くし、その糸に斧がかかる。完全に、逃げ場を無くす形となった。


 【家具設置(ガーデニング)】の宣言は無く、ダイレクトな発動だ。



「…スキルキャスト?どうやったんだい?ザスター。」


「…別に、音声認識から、押しボタン式へと切り替えただけさ。」


「それより、見たまえ。」


 アーサーの前に、存在しうる敵。それはアーサーへと、攻撃を仕掛ける。


 まずは掌底。それを粒子の剣によって防がれたら、その後に身体を回して回し蹴り。それにアーサーは、吹き飛ばされる…!


(…ッ!?なんだ、コイツ…!)


 ───ドゴォンッ!と、一つ大きな音がなって、壁が崩される。それを聞きながらも、主に中距離が得意な残された彼らは、一度に意見を固めた。



「「アーサー君が来るまで籠城しよう。」」


「…我々に、後退の二文字は無い。良いね?」


「分かってるさ、ザスター。僕の方も、此処で持ちこたえれば増援が来る手筈だ。」


「まぁ、つまりは、僕らが持ちこたえれば、せっかく作り直した光の柱を、壊すのも遅れるだろう?」



「…よく、分かってるじゃないか。よし、報酬は追加しよう。何が良い?」


「スキルキャストを。」


 …影が、迫ってくる…!


「オーケーだ。【攻性防壁(カウンターシールド)】ッ!!」



 そうして、放たれた一撃は、それも一瞬で影へと辿り着いて、貫こうとし、そしてザチャリオも当然何もしない訳が無い。


 その指を曲げるだけで、普通の相手なら、四肢を切断されるだろう。


 ───果たして、【予言】の力も無しに、アーサーの剣を素手で受けられる者が、普通だと、言い切れるのならば、だが。


「…ザスター、これ、切れなくないか?」


「…ほう、成る程。表の、追加要素か。」


 その身体は、切れない。

 物理的なダメージを、与える事が出来ない、と。


 このVRMMOのトッププレイヤーたる彼らの斬撃が防がれた事が、それを悠々と物語る。


 …だが、諦める事はない。こんな鬼札でさえも───。



「巻けば、終わりなんだよね。」


 指を、クイっと動かした。


 それだけの動きで、コロシアムに広がっていた糸は収縮し、そして…。


 その影を、捕らえるに至った。


「…成る程、ならば…。【王命(ヴィータ・レアル)】。」


「その影を縛る糸を、離れさせるな!」


 その後に放たれた光の円環。それは、今にも解けようとする糸を、その強制力によって固定する事を可能にする…!


 ───だが、均衡は一秒と保たれない。

 女神復活の為に【星】をアーサーに取り上げられたザスターの【王命(ヴィータ・レアル)】は、今こそ精確で精密な操作を可能にするが、それを実現するための強制力を、持ち得ない為だ…!


 結局のところ、影が今までやっていた事は、実力を引き出す為の手心を加えた攻撃に過ぎない。


 身体を縛る糸は、影がその四肢を広げるたびに弾け飛ぶばかりだ…。


「───ザスター。」


 そして、その言葉を最後に、【戦車】は、消えた。


 その顔面を思い切り影に殴られて、その衝撃により頭が弾け飛ぶ。

 だが、【戦車】の目はザスターへと向いていた。

 『逃げろ。』と。


 その目から、最後に言い残した言葉は、きっとそんなものだろうと、ザスターは受け取った。


 しゅるる、と、全ての糸が、ザスターの【振り子斧(ペンデュラム)】をも巻き込み、【戦車】へと集まる。そして…。


 糸によって、斧が振るわれる…!



「【戦車】…。いや、ユシュエン。」


 …ユシュエンは死亡時に、全ての糸が自身に向けて放たれる様にしたのだろう。


「ならば、アーサー君を見つけなければ…!」


 ただ、その最期の遺志で行った、何丁もの斧の連続攻撃でさえ、あまり意味を成さない。


 一撃が、鉄をも砕くのだ。振るわれた斧を刃ごと拳で潰し、巻きつこうとする糸は、とてもではないが、影のスピードとパワーについてくる事は出来ない…。


 稼げる時間は、精々、十五秒。


「───充分!」


「【攻性防壁(カウンターシールド)】ッ!」


 【攻性防壁(カウンターシールド)】によって、瓦礫の中のアーサーをサルベージした、ザスターは…。



「…行けぇっ!!」


 その身体を、光柱へと思い切り、放り投げた…。


「βでは、加護を受け取る為には…!」


 それに、入る必要がある。


 言葉は続かない。十五秒も持たなかった。

 ザスターの初動の三秒のみで、悠々とユシュエンを砕いて脱出した影は…。


 ───その拳にてザスターの、頭を砕き割った。



(…光の柱。あれはまだ、一本しかない。)


 βでは、プレイヤーが意思を示せば、その場に出たというのに。



(…まぁ、なるように、なるさ。)




 2.光の柱 内部



《…プレイヤーにより、待機状態を覚醒。》



《確認しました。対象。【人族】。》



《階位は、四。》



《意識、覚醒確認。》




「…あれ、ここは…。」


 …朝焼けの、綺麗な草原。


 まさに、キャラメイク時の景色と、そこはまるで瓜二つのようだった。



 …大きな風が吹いてきて、朝露が、俺の顔に飛んでくる。



《プレイヤーネーム、アーサー。》


 …そうしていると、どうしてか頭にアナウンスが入ってきた。


 というか、俺は何故また此処にいるんだろう。


《あなたのタレント(才能)を、決定します。》


《許可を、プレイヤー。》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ