プロローグ
1.宿舎前
…俺はこのオンライン界でも有数のナイトプレイヤーなのだが、目の前の鎧兜のアホがふざけたことを言った。
「ナイトはクソ。DPS低いから。」
お分かりであろう
ナイトは廃れている運命にあるのは確定的に明らか。
…このVRMMOには軽く見積もっても四種類の役割がある。
補助、攻撃、弱体化、斥候である。
大体のパーティはバランスを取るため司祭、蛮族、黒魔、足軽などの職を一人ずつ入れる必要がある。 え、ナイトが無いって?
…ナイトは守りの要であるのだが、あるのだが!
…一撃必殺と短期決戦が重視されるこのVRMMOでは不遇扱いされている。
"守る"と言う行為自体がこの【ビクトリア】では役に立たないからだ。
ふと、視界の端に銀光が見えた
---まずい。
斧が迫って来る。
瞬時に盾を構え、受け流す構えを作ったっ…!
---ガキッ、ガイィィィィンッ!!
盾と斧で鍔迫り合いが起こる…!
「お前のことだよ、ナイトプレイヤー。」
さっきの鎧兜のアホが飛びかかってきた。
このゲームのプレイヤーは攻撃力を重視するのが主流となっている。
---スパンッ!
防御重視であるナイトプレイヤーな俺は、重すぎる斬撃を受け流せず両断され死んだ。
2.教会
…粒子状となった体が復元される。
デスペナルティで貯金の半分とポーションがなくなっていた。
…剥ぎ取られたのだ。
(チッ、通り魔かよ。ツいてないな...。)
言葉にはしない。この教会ではナイトとして通っているのだ。
ナイトは清廉潔白でなければならない。
女に話しかける。
この教会は俺が安全なクエストを受けることができる唯一の場所だ。
「アーサーさん!お仕事を手伝いに来てくれたんですね!」
銀髪がサラリと揺れた。
黒を基調としたカソックは彼女に慎ましさを与えている。
手伝うことはあるかと聞くと、元気に[アークデーモン討伐依頼]と書かれている紙を取り出した。
メインクエスト『三邪神の配下』
詳細
{【バゼリ王国穀倉地域】にアークデーモンが現われた。このまま放置しておけば多大な被害が予想される。討伐してくれ。}
報酬
五大属性強化の指輪
当然受ける事にした。
彼女に礼を言ってから穀倉地域へ馬車で向かう。