トーナメント編 プロローグ
『【塔】を渡してくれないか?ザタワくん。』
『…何を、言ってる。』
『ストーリーを進めるためさ、"器"はようやく完成する。』
『俺たちは保守派という話ではないのか…!?』
『違う、我々だけで進めるための機関だ。』
『…!そうか、独占か。』
『アーサーを君の元へ向かわせる。』
『…なら、俺は其奴を殺して、ストーリーの進行を止める。』
「それだけで、攻め込む理由には充分過ぎると、思わないか?」
「【塔】。」
俺は、【塔】を、殺す。
「………聖剣裁定」
「光属性魔力混合比率三〇%」
「………照準。」
俺は、粒子を放出して下降しながら、一条の光を【塔】へと狙い打った。
そして、それがバリアに塞がれるのを確認すると、白兵戦の構えを取って、外装へと着地した。
1.ロシアサーバー ジオマ帝国
…静かな暗闇の中、一つ、不釣り合いにギラギラした光が何度も、何度も都市を包む。
───そして、"城"は墜落する。
《エラー、外壁損耗率七層、兵装損耗率八十七%。》
《…擬似人格停止、機能、停止します。》
「…そんな、馬鹿な。」
【塔】は一人、管制室に佇む。
何故、こうなった。
相手はたったの、"一人だけ"だったのに。
「…く、そ。」
傭兵は皆、死んで。後は俺一人…なのだろう。
正直、誰彼の安否などは分からない。今は、どう俺一人で奴を殺すか。
…それか、引きつけるか、だ。
「…………。…?」
そんな事を考えていたら、一つ、小さな、"青い光"が…。
「───確か、報告にあった…まさか。」
ナイフを投げ、兵装である魔力銃を構えて警戒する、が。
「───置換。」
「な───」
青い光が消え、そこから現れた男はいとも容易く、【塔】の心臓を貫いた。
「アー、サー…!?」
一瞬。ありえない。【縮地】では、来れない様な場所に居たのに。
あの報告とも言えぬ事例は、本当であったか。
「………その命、貰い受けます。」
"光から発生する男"、とは。
ズグリ、と音を立てて、奴の手刀は俺の体の中に入ってゆく。抵抗する事すら、今は出来ない───!?
「───【放出】ッ…!」
俺の中の"何か"が、取り出される直前に、潜伏していた槍兵は、賭けて───。
───殺す。
その槍は、確かな威力を持って、穴蔵へと忍び込んだ下手人を爆裂させる…。
そうなる、筈、だった。
「…が、は…!?」
気づけば、爆散していたのは、カイン。
そのトリックには、確かな"タネ"、があった。
───【審判】
だが、その、カインへと目が向けられた一瞬を逃すわけがない。【塔】程のプレイヤーが。
「ち、めい、傷…。」
「だが、お前に、捕まるよりは…!」
穴を抜けて、出ようとする。
───だが。
「───ッ!?」
抜けた先には、大量のビットが存在していた…!
「粒子の、ちょっとした応用だ。」
勝利を確信して、もう追いかけてすら来ない男はこう言った。
「…………ぐ、あぁ!!」
【塔】を覆い尽くしてなお、余りあるその銃口に打たれ、撃たれて、討ちとられ。
「何故、だ、アーサー…!!」
その、身体を、魔法が食らってついばめられながら。
「───ナイト、リッチィ…!!」
哀れな男は、魂の一部を削り取られた。
2.バゼリ王国 宿舎内
…訪ねてきたのは、友人だった。
「アーサー、ちょいといいか?」
その言葉は、今まで臨戦態勢で暮らしてきた俺を快活にするには充分だ。
「ラマンダ君。どうしたんだ。わざわざこんなところまで来るなんて。」
それに俺のいる部屋まで調べるとは、一体何がどうしたのか。
とにかく部屋へ招いて、話を聞こう。
「いやさ、まぁ。その、なんだ。」
「トーナメントバトルってイベントがさ、まぁ、運営から、あるわけだよ。」
トーナメントバトル…。告知は…。一週間前くらいか…って、もうギリギリじゃないか。
「…ほほう、一緒に出てくれ、と。」
「───頼むっ!」
…成る程、そういう事なら、出ないわけにはいけないな。
よし、此処はひとつ。女神を復活させる前にやっとくか。その後は基本かかりきりになるからなぁ。
【審判】【月】【魔術師】【星】【女帝】【塔】…。
この、半数さえあれば、他の奴は要らないとザスターも言ってたし…。
「よし、乗った!」
「良いのか!なら受付行こうぜ。もう、ギリギリなんだ…っ!」
そんなこんなで、俺は、いや、俺たちか?
まぁ、俺たちは、そのトーナメントへと赴くことになったのだ。




