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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第五部 トーナメント編
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トーナメント編 プロローグ


『【塔】を渡してくれないか?ザタワくん。』


『…何を、言ってる。』


『ストーリーを進めるためさ、"器"はようやく完成する。』


『俺たちは保守派という話ではないのか…!?』


『違う、我々だけで進めるための機関だ。』


『…!そうか、独占か。』


『アーサーを君の元へ向かわせる。』


『…なら、俺は其奴を殺して、ストーリーの進行を止める。』






「それだけで、攻め込む理由には充分過ぎると、思わないか?」


「【(ザ・タワー)】。」


 俺は、【塔】を、殺す。



    「………聖剣裁定(セットアップ)



    「光属性魔力混合比率三〇%」




      「………照準。」


 俺は、粒子を放出して下降しながら、一条の光を【塔】へと狙い打った。


 そして、それがバリアに塞がれるのを確認すると、白兵戦の構えを取って、外装へと着地した。



 1.ロシアサーバー ジオマ帝国



 …静かな暗闇の中、一つ、不釣り合いにギラギラした光が何度も、何度も都市を包む。



 ───そして、"城"は墜落する。



《エラー、外壁損耗率七層、兵装損耗率八十七%。》


《…擬似人格停止、機能、停止します。》



「…そんな、馬鹿な。」


 【塔】は一人、管制室に佇む。

 何故、こうなった。

 相手はたったの、"一人だけ"だったのに。


「…く、そ。」


 傭兵は皆、死んで。後は俺一人…なのだろう。


 正直、誰彼の安否などは分からない。今は、どう俺一人で奴を殺すか。


 …それか、引きつけるか、だ。


「…………。…?」


 そんな事を考えていたら、一つ、小さな、"青い光"が…。



「───確か、報告にあった…まさか。」


 ナイフを投げ、兵装である魔力銃を構えて警戒する、が。





「───置換(トレース)。」


      「な───」



 青い光が消え、そこから現れた男はいとも容易く、【塔】の心臓を貫いた。



      「アー、サー…!?」



 一瞬。ありえない。【縮地】では、来れない様な場所に居たのに。


 あの報告とも言えぬ事例は、本当であったか。


「………その命、貰い受けます。」


 "光から発生する男"、とは。


 ズグリ、と音を立てて、奴の手刀は俺の体の中に入ってゆく。抵抗する事すら、今は出来ない───!?





「───【放出(バースト)】ッ…!」




 俺の中の"何か"が、取り出される直前に、潜伏していた槍兵は、賭けて───。




     ───殺す。



 その槍は、確かな威力を持って、穴蔵へと忍び込んだ下手人を爆裂させる…。


 そうなる、筈、だった。




     「…が、は…!?」



 気づけば、爆散していたのは、カイン。

 そのトリックには、確かな"タネ"、があった。



    ───【審判(ジャジメント)



 だが、その、カインへと目が向けられた一瞬を逃すわけがない。【塔】程のプレイヤーが。



「ち、めい、傷…。」


「だが、お前に、捕まるよりは…!」


 穴を抜けて、出ようとする。

 ───だが。



「───ッ!?」


 抜けた先には、大量のビットが存在していた…!



「粒子の、ちょっとした応用だ。」


 勝利を確信して、もう追いかけてすら来ない男はこう言った。



「…………ぐ、あぁ!!」


 【塔】を覆い尽くしてなお、余りあるその銃口に打たれ、撃たれて、討ちとられ。


「何故、だ、アーサー…!!」


 その、身体を、魔法が食らってついばめられながら。



「───ナイト、リッチィ…!!」


 哀れな男は、魂の一部を削り取られた。





 2.バゼリ王国 宿舎内


 …訪ねてきたのは、友人だった。


「アーサー、ちょいといいか?」


 その言葉は、今まで臨戦態勢で暮らしてきた俺を快活にするには充分だ。


「ラマンダ君。どうしたんだ。わざわざこんなところまで来るなんて。」


 それに俺のいる部屋まで調べるとは、一体何がどうしたのか。


 とにかく部屋へ招いて、話を聞こう。


「いやさ、まぁ。その、なんだ。」


「トーナメントバトルってイベントがさ、まぁ、運営から、あるわけだよ。」


 トーナメントバトル…。告知は…。一週間前くらいか…って、もうギリギリじゃないか。


「…ほほう、一緒に出てくれ、と。」


「───頼むっ!」



 …成る程、そういう事なら、出ないわけにはいけないな。


 よし、此処はひとつ。女神を復活させる前にやっとくか。その後は基本かかりきりになるからなぁ。


 【審判】【月】【魔術師】【星】【女帝】【塔】…。


 この、半数さえあれば、他の奴は要らないとザスターも言ってたし…。


「よし、乗った!」


「良いのか!なら受付行こうぜ。もう、ギリギリなんだ…っ!」



 そんなこんなで、俺は、いや、俺たちか?

 まぁ、俺たちは、そのトーナメントへと赴くことになったのだ。

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