番外編 カインのイベント
俺たち傭兵は、クライアントに非常に左右される存在だ。
西へ東へえっちらおっちら、暇なんてありゃしねぇのさ。
…ま、依頼受けなきゃ、仕事も文字通りなくなるんだがね。
1.前線
「「モスナさん!?」」
…ン、なんだなんだ。今日は中々穏やかな仕事だと思ったんだがな。
俺は隣にいる男…。クライムに声をかける。ま、お得意様ってやつさ。
「大将、なんか面白そうだぜ。行こう。」
すると、何やら呆れたように顔を手で覆って首をやれやれと振るもんだからいけねぇ。
「なぁ、俺はお前に護衛を頼んだんだけどな。」
「別に良いだろう?アンタ、あの"鎧"の中に閉じこもってるよか、今の方が随分いい腕してるからよぉ、仕事も無くてな。」
「この銃の味が知りたいなら、それこそいつでも教えてやるが?」
…はーぁ、やめだやめだ。
「わーったよ、今回は───。」
【魔砲】が、俺たちの前を過ぎった。
「…前言撤回だ。」
「…へぇ?」
「アイツらを、ぶち殺してやる。」
その視線は、そこで舞っている蝶に向けられていた。
「───撃つのに、スキルはいらねえ。」
───ドォムッ!!
"システムサポート無し"の片手打ちで放たれたその銃弾は───。
───ほぼ一瞬で、俺の目にも微かにしか映らない蝶の羽を正確に穿って、沈めた。
「「モスナさんッ!?」」
「は、は。私は、もうここまで見たいだ…。」
「いや、それ良いから。」
「正直…。なんでアンタ生産職なのにこのイベントに来た訳…?」
「…姫、騎士、ロール。したかった、なぁ…。」
…なんか、呆気なく消えた。
まぁ、ホトケ様は穏やかだったけども。
───接近してきた機械兵の拳での一撃を持ち手で受け流し、右足の駆動部に槍を突っ込んで、ねじり壊す。
「…て、メェ…!!」
「…お前らも、そこでだんまりなんざ、出来るわきゃねぇよなぁ。」
「…ッ!ガイゼル!?」
おっと、お仲間の一人が声を掛けてきた。が、奴さんも中々覚悟できてるやつだったわけでな。
「俺が押さえつける…!殺せェッ!」
「…ほーう。」
なら、俺はそれを食い破れば良いわけだな?
「若輩者にはまだ負けんよ。」
「ほざけッ!!」
拳が迫る。槍は抜けそうにない、機械族の特性的なもんだな。なら、サブウェポンだ。
「銃を撃つのに、スキルはいらねぇってか?」
この距離なら、狙いは充分。跳弾が心配だが、まぁ、クライムのお手製だ。
───なら、問題ねぇさ。
ガチッ!
撃鉄を引くと、目の前の鉄拳が砕け散る。
「───ッ!??」
「ばーか、驚いてんじゃねーよっての…!」
機械兵の肩を土台として、頭上へと上がる。
ここまでくりゃあ、後は脳天に一発よ。
───ドォムッ!
「ガイゼルーーッ!!」
その一射は、機械の頭を呆気なく吹き飛ばした。
「ヒューッ!」
反動で頭から落ちるが、関係ない。
依頼主を探す、何処だ、何処にいる。
「…ああくそ!何処だよ大将…!」
すっかりと戦乱に塗れた戦場を、俺は全力疾走する…。
ああくそ、おーい!何処だぁ大将ー!




