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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
番外 連綿と続く戦場の姿
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番外編 【鍛冶屋】ジブリールのイベント




 ───職人の朝は、早い。


 何度も使い古されたフレーズだが、古いと言っても馬鹿にはならない。


 商品の数と質を程よくするためには、時間が最も必要だからだ。



 「…よし、これなら。」


 買い、叩かれない筈…!

 私は、意気揚々とバザーへと赴いた。



 1.バザー


「サー寄ってらっしゃい見てらっしゃい!」


 多数の売り子がそんな事を言って、随分とこの場は賑やかだ。


(…少し、私には居辛い空間ですが。)


 もともと、一人が好きだ。

 でも、鍛冶屋と自分の趣向と、比べてみたら、鍛冶屋の方が大事だったのだろう。



 だから、今から店を開くわけで…。


「あ、アーサーさん。」


「ああ、ジブリールさん、こんにちは。」


 結構昔馴染みのお得意様、実際に剣もオーダーメイドで何個か作っている方です。


 最近は、あまり見ていませんでしたが、と聞くと、どうやらそれはギルドの仲間達と共にイベントの方へと行っていた、から。らしいです。


 あと、他にも、普段どんな事をやっている、とか、バザーを回りながら少し話し込んでしまいました。


 …数少ない友達ですが、戦闘と、生産の区分分けで余り喋る事が出来ないのは、少し残念です。


 そしてバザーも一周して、私の店の所に戻ってきたら彼がいきなり話を切り出しました。


「お店が開く前に相談したかった事があるんですが…。」


 そう言って彼は、大剣と片手剣を取り出します。


 …って、あー。


 外から見てもわかります。これは酷い使い方をしましたね。


「刃こぼれし過ぎて所々欠けてますよ…。本当に、どんな使い方をしたんですか…?」



「…えーと、ちょっと手入れする時間が足らなくて…。」


 どうにもバツの悪そうに言って来たが、 別にどうともしない。


「あと、最近ザスター…まぁ、師匠からの修行も厳しくなって来てて…。」


 この世界は信用も必要だが、基本的に金の関係、であるため。



「…えと、また、オーダーメイド。頼まれてくれませんか…?」


 …基本的には、金の関係、なのですがねぇ…。


「…はぁ、分かりました。アークデーモンの魔石の代金分は、働きましょう!」


「───ッ。ありがとうございます!」


「いえ、でも、話は後日にお願いします。」


「あ、はい。」



 2.ザスターのギルド内部


「粒子をもっと意識するんだ。一粒一粒。そして、それを固めてナイフを作る。できるね?」



 アーサー君が、アルカナの打倒を目指すと言ってからは、こうして訓練をさせているのだが…。



「うおおおおおおお!!!!」


「俺の小指よォ!分離しろぉぉぉぉ!!!!」



 すると、小指の付け根のみが青く光って、実際に取れる。



「うわっ…。マジで……?」



 …と、このように。

 まぁ、なんだ。鍛え甲斐が、あると言うものじゃないか。


「アーサー君。」


「よし、次は猫耳を…!」


「【攻性防壁(カウンターシールド)】───!」


「はい!何でしょうか!」


「…はぁ、分かれば良いんだがね。」


「次の課題は、粒子でナイフを作る事だ。」


「…それは簡単では無い、その為、アーサー君、君にはちょっと【アルカナ】を殺して来てもらう。」



「………………えっ?」




「…なんだね?その顔は。勿論、理由はある。」

「君の技術の完成を待つよりは、先に力を奪って置かなくては、いつ、誰に奪われるか分かったものでは無いからだ。」


「やってくれるだろう?」


 すると、アーサー君は、大きな溜息をしてからこう言った。


「…今すぐに、とは。」


「言わない。」


「ならオッケーです。」


「よし。」


 3.ジブリールの工房(ギルド《乱数調整》)



 鉄を打つのにも、時間は必要だ。


 素材は【魔鉱石(マナタイト)】。私の工房で最も余っているそれをハンマーで圧縮して、密度を高め、そしてまた溶かし、叩きを繰り返す。


 すると、アーサーへと打ったあのオーダーメイドの剣の事を思い出した。


 ああ、オーダーメイドとしては初めてだったあの時を思い出すと少し恥ずかしくなる。


 相手のスタイルも聞かずに、ただ余っていたマナタイトを使って打った二品。


 その時は格好つけて、製法は教えられないとか言っていたが、今じゃとても言う気にはなれない。



「…と、完成。」


 重量は少し重くなってしまったが、これもまた至高。


 まぁ、つまりは、頑張って上手くできた、と言う事である。


 …そんな所にコンコン、とノックが。


「あのー、ジブリールさん!いらっしゃいますか?」


 アーサーさんの声がした。

 と、と、なら二つとも持って行って、ついでに買ってもらおう…!


「あ、はい!」


 私は、今日も剣を持って、客人の元へと赴くのであった。





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