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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第四部 プレイヤー戦乱編
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第12話 力を求める意思


 1.戦線 地上




「…始まりましたか。」


 暗殺者は、影に潜む。

 …だが、今回は潜むのが本領では無い。粒子化するまでが、我々の仕事だ。


 …彼女は上空の城を見上げる。


(…アーサー、私が見ない間に随分と成長したものです。)

 

 今回の作戦は、アーサーが主導した作戦だ。



 …そして、彼に与えられた役割は、時間稼ぎ。


「【焉撃槍】ッ!」


「クッ…!?」


 その役目通り、忍者は戦場を転げ回り、逃げ回って時間を稼ごうとする。


 そこに黒い衝撃波と槍の二重攻撃、堪らず体を捻って回避するが…。


「【魔砲】ッ!」


 …回避先には魔光が瞬く。


「…【忍刀:転移】ッ!」



【忍刀:転移】…

『印をつけた短剣と自身を入れ替える。印を付けるには1日のインターバルが必要。』


 何とか一命を取り留めたが、休んでいられる余裕などは無い。


「ッはぁ…!はぁ…ッ!」


 …彼ら程の練度の攻撃に精神的にも、肉体的にも追い詰められ、膝をつきそうになる。だが、対抗(・・)出来る【魔神王】を一柱は増やさなければならない、その思いが彼女に膝をつかせなかった。


 ここで、出来るだけ時間を稼ぐ、という道を取ったのだ。



「【暗黒撃】…!」「【魔砲】ッ!」




 女忍者は、ついに悲鳴をあげる。


(…そろそろ良いでしょう!ミラさんッ!)


 攻撃も防御も出来ず、回避に集中する事五分。集中は切れるわ転移刀の残弾も減るわでアガサの意識は限界に達していたからである。


「……ぐぅ…ッ!」

 不意に、よろける!


 …遂に、限界が、訪れた…!


 そもそもがバランスを崩しやすい荒地での全力の回避行動をする中で、此処まで持ったアガサに賞賛を送るべきだろう。


 最も、彼らがその隙を見逃して、拍手を送るとはとは思わないが。


「【魔砲】ッ!」


(…此処で、仕留めるッ!)



 彼らは、決めにかかる。






「───【波撃(ウェイブ)】ッ!」



 …そこに、彼女は待ったをかけたのである。





「なっ…!【暗黒げ───」


「遅いッ!!」


 ───それは、介入するには絶好のタイミングだ。

 不意の【波撃(ウェイブ)】により、体制を崩した暗黒騎士を無視して、【魔術師】に接近する。


「…ッ!?」


(───狙うは、レイザド。)


 魔法使いは時間さえあれば超火力を用意できる…。


 地を操る。火を操る。水を操る。それら全ては致命傷に繋がる。…長期戦を望む上で、それを使えるのは不都合だ。


 …よって、容赦はしない…!


 折り重なる様に放たれた多段攻撃は…。


「レイザドさんッ!!」


 …庇われる形で、【審判】の鎧に吸い込まれた…!










 2.『不可視の宮殿』最上層





 初めはトロい"初速"だったスピードが、アクセルを踏み込む事で加速するように、戦闘の一挙一動は加速するのだ。


 ───ドドドドドッ!


「ッ!」


 【魔法弾】のガトリングの網を、最小限の動きで回避し、その包囲網を避けて『終焉の稲妻(カラドボルグ)』が撃たれる。


 ───ガキィンッ!


「『圧壊の魔盾(ブリュンヒルデ)』。」


 …だが、傍目から見たら時間が止まるように、全ての物体は『停止』した。


「…っ。」


 当然、【月】でさえ例外ではない。

 周りには光弾の包囲網。

 人間は、いきなり全ての"速度"を失えば、"初速"しか出せなくなる。


 当然、【月】もその理に縛られる存在である。


 ───交じり合う視線と光弾。






「【模倣(トレース)】、【縮地】ッ!」


 空間が歪み、一瞬のうちに抜け出す。

 初速が無ければ、取ってくれば良い。

 【縮地】のスピードを、彼は初速に代用したのだ。


 …そのまま、『アイテムボックス』から鉤爪を両手に取り着け、一度に階段を飛び越して接近する。



「…成る程、接近戦と来たか。」


「面白い。」


 対するアーサーも虚空から大剣を引き抜き、彼らは向かい合う。


「【闇魔術】、【魔法剣:混聖(ロゥ・ド)】…!」


 瞬間、彼の剣の光沢が無くなり、だが、その剣色は鼠色と純白により、歪に濁る。



「【剛撃(バスター)】ッ!」


 ───重い、双撃が繰り出される。が。


 彼に唯一届いた【月】の二連撃は、剣と盾に阻まれる形で防がれた…!


(…なんというステータス、間違いなく前よりは強くなってやがる…。)


 まさか、あの短期間でここまでになるとは…ッ!?


「…どうした、鈍っているんじゃないか?」


 ───ガァンッ!

 大地を震わす程の震脚によって、一度に【月】の武器を身体ごと吹き飛ばした…!


「…っ、【模倣(トレース)】、【縮地】ッ!」


 とにかく、今はここで奴に張り付くしかない。それこそ弾幕戦となったらどうなるかは、もう答えは出ている…!


「ハァッ!」


 拳撃がアーサーの背後から繰り出される…。


「…つまらん。背後から攻撃されるなど見えている───ッ!?」


 …その拳の量は、二つ、では無かった。

 "こちらに飛んでくる鉤爪"と二つの拳。


 いずれの攻撃も必殺。それを前にしたアーサーは───。




 ───こちらの足を掬うように繰り出される、足払いへの反応が遅れた…!


(しまっ───!?)



「【模倣(トレース)】、【第二段階(セカンド)】───!」


 青き光は、彼の手に集まる。


「【瞬間防御(プロテクション)】…っ!」




「【終焉の稲妻(カラドボルグ)】ッ!」


 ───抵抗できるとは、思うな。


 彼の一撃は、【瞬間防御(プロテクション)】により硬化した筈の、今にも倒れようとするアーサーの肉体を、まるで新聞紙の様にビリビリに引き裂いた…!





 ───ズ、



「が"ぁ"ァ"あ"あ"ぁ"あ"ァ"あ"あ"ぁ"ア"あ"ぁ"ッ"!!!???」



    ン───。



 喉が割れんばかりの断末魔。


 絶え間なく断面から血が、まるで彼の驚愕と苦悶を表す様に噴出される。



「腕を、よくも、が、ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"…ッ!」



 そうだ、その通り。

 正しく破壊と振るわれた彼の稲妻は、アーサーの右半身を正しく切り取ったのだ…!、


「ハァッ、あ、に、げ。」


 血飛沫が窓にビチビヂと塗りたくられる。---移動、しないと。


 歩いているとも言えないその這いずりで、アーサーは窓へとたどり着く、が。




「───逃すわけ、無いだろう。」


 奴が窓を破る前に、ここで殺す。


 …二太刀目の稲妻が、ついにアーサーの首に振り落とされた…!















 3.『不可視の宮殿』内部:回想



『さて、と。』


 俺の目の前に座るザスターは、"俺が隠そうとした【魔神王の魂】"を持って対面に座る。


『………これは、なんだね?』


『すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!』


 【魔神王の魂】は取り返せなかった、と、虚偽報告すると彼はこう言って【魔神王の魂】を取り出してきた。俺の懐には何も無かった。


 …要は、まんまと盗まれてしまったのだ。


 全く、ザスター印の暗殺者は皆化け物みたいな感知力を持っている。せっかく隠そうとした【魔神王の魂】もすぐバレてしまったのだ。マジ可哀想俺。


 …はぁ、軽口は無しにして、今回ばかりはもう、無限リスキルかなぁ…。


 …終わった。


『…全く、では、次の質問に移ろう。』


 …そうですよね、許しませんよね。磔でも火炙りでもなんでも…って、え?


『なんだね、そんな素っ頓狂な顔をして、私だってこういう時はある。』


 いや、だって、俺は、【魔神王の魂】を…。


 その様なことを言うと、彼は何やら深刻そうに頭を抑えて、聞こえない様な独り言をぶつぶつとしていた。


『…はぁ、まさか、ここまで社畜根性が染み付いていたとは。……はぁ。』


 そのあと、唐突にこう言った。


『アーサー君!君はいつまでも私の部下なつもりは無いだろうね!』


 …は?いや、もう辞めてますし、つーかいきなり何?


『…これは、怒るべき時であるのだよ。実際に取り返して見せたのは君なのだから。』


『そして、これは今、君に所有権があるのだ。』


 …いや、あんたに睨まれたらこの世界で生きてく場所が無くなるからこうしてんだけど…。なんだ、その目は。まるで俺があんたに依存しているように言うじゃないか。

 ───舐め腐っている。


   『…話を、戻そう。』




 ───重圧が、俺を襲う。



『君は、"何故そこまで【魔神王の魂】に執着する"のかな?』



 彼の笑顔はたまに、暴力的な程俺にプレッシャーを与える。だが。




 ───だが、俺は、物怖じしない。いや、今回ばかりは、しなかったのだ。



『俺が、更なる力を手に入れる為に。』



 …答えは、スッと出てくる。

 力への渇望。その為に俺は全てを利用するのであると。




『───なら、君は、どう力を手に入れる?』
















 4.『不可視の宮殿』



 俺は。


   「あ、ビリティ、ジェム。」


 お前なんかに、止められない---!


    「解放(リンク)。」



      「なっ!?」


 飛ばせ、俺を。


 ()に…!




 5.戦線 上空




 下には、"プレイヤーが集まっている"!



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