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番外編 初めての遭逢


 1.ザスターのギルド 練習室




 …俺は、初めてここに招待された時、本当に専属なんだなぁ、と思ったりもしたが、過去の話。





「どうしましたか?鍛錬、続けましょう。」



 俺の目の前に余裕ぶっこいてやがる忍者の女、ザスターの部下らしいのだが、俺は彼女から教習らしいものを受けていた。



 ………---ガキンッ…!



「はぁ…っ!はぁ…っ!」



 まただ…。目の前にいたと思ったら消えている。


 もうこれで鎧を傷つけられたのは22回目だ。




「今のが実戦だったらまた死んでいました、アーサー。」


「アガサさん、流石に、これは、キツすぎる…。」


 俺は息を荒げて言った。



「VRに疲労とかありません。まだまだ行きますよ。」


 …まただ。消えた。為すすべがない。


 何回かやっても、音も衣服のこすれも聞こえないのだ、かといって剣を振り回した所で簡単に隙を突かれる…。



 …だが、俺は今まで奴が背後以外から襲ってきた事はないことを観察していた。





(どうやって視界から消えているのかはわからないけど…。)




 ---スッ…!!



(暗殺者が、どう言う角度を狙っているかは、想定できないわけじゃないし…!)



「…ッ!そこだっ!!」



 すぐに振り向けるようにして、後ろに剣を向ける、だが、居ない。これは…。




(想定、通り!)



 俺には奴を探し出さないが…。





「---ガラ空きです!」



 奴から出てくる瞬間を作り出すことは出来る!




「はぁっ!」



 暗殺者が無防備な時は、それこそ事に及ぶ時だ!

 即刻振り向いて…。


 ---ビュオンッ!!



 剣を投げて牽制すれば、奴はタイミングを逃し、俺は手に入れる…!



「…なまっちょろい。」



 …バザーの人混みを避けるように、スッ、と俺の投擲した剣を避けてから掴み、投げ返した。



 剣はない、無いが、俺には…!




「まだ、盾がある…!」



 俺は構えた盾で投げ返された剣をガード。


 そして、その隙を突いて、攻撃態勢に入った忍者女に盾で一撃をかまそうとする。





「…ですから、甘いと…っ!?」





 確かに、普通の盾を振りかぶったのなら攻撃されながら躱されてしまうだろう…。




 だが普通じゃない盾なら?



 【魔法剣】そのスキルの真髄には『魔力を纏わせやすくなる』ことにある。そして【魔力変質】の土属性は、魔力を鉱物並みの硬さへと変化させることが可能だ。



 俺は、盾にニードル状の土属性魔力針をくっつけて、伸ばす。伸ばす軌道は変幻自在だ。つまり…!



 必ず相手に一撃を当てることが出来る…っ!



 奴の短刀ではこの硬い針を防御もできんし、攻撃態勢に入ったからには回避もできない…。



「はぁっ!!」


 ありったけの魔力をつぎ込んで硬度を上げ、そのは針はアガサを貫かんと成長を続ける…!






「…くっ…!」





 ---ズッ…!





「…ぐあっ…!!」



 …渾身の一撃は、奴の肩を微かに抉ぐるに留まった。



 俺はふらふらだ。


 度重なる打撲。痛覚はある程度シャットしているがそれでもフィードバックはかなり来ている…!



 …だが、まだ終わっては居ない!


 まだ忍者女は倒れていない、それが証拠だ!





 俺は急いで剣を回収しようと---ッ!?



 …咄嗟に、頭を、ずらす!





 ヒュッ---ジュッ…!




 飛んできたクナイが頬を掠める。





「…認めます、合格です。アーサー殿。」



 なんでもないように肩にポーションをかけて立ち上がった彼女を尻目に、俺は困惑する。



「直感は実戦で鍛えられると聞きましたが、これほどとは…。」



「…ご、合格…?」





「…あぁ、貴方を教習として、試しました。【枢機卿(カーディナル)】からの指示です。」



 …ザスター、あの人はジョブ名で呼ばれていることが多い。でも始めにこの人は無理ゲー過ぎるだろ…。







「…そして、アーサー殿、貴方は拙者の相方として行動してください。」


「…えっ?」



 え、他の人とかじゃないの?



「機密にはあまり関わって欲しくないようで、信頼できる拙者にのみ任せたいと…。」



  ええーっ!?美人でも先程の教習から見て、厳しそうなことは確定的に明らか。






「では、宜しく頼みますね、アーサー殿!」




 そ、そんなぁ、慈悲は無いんですか!?













 …これはまだ、因縁の始まりの物語。



 …彼が、いずれ、彼女をも殺せる刃をその身に宿すのは、また後の話。

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