プレイヤー戦乱編 プロローグ
1.〈剣の騎士〉ギルドハウス
…『崩界事変』解決後、早一週間。
世界は魔物プレイヤーとのマッチング率が変わらず、人族のステータスが元に戻った為、世界は混沌とし始めていた。
そんな中、俺はギルマスより告げられたイベント内容を反芻している最中だ。
「プレイヤー対抗戦?」
「ほら、もう明日くらいに始まるのさ。」
…プレイヤー対抗戦。サーバー全てのプレイヤーがたった2つの陣営に分けられて戦うお祭り行事。
「今回は初回だし、私達に着いて来るといいっ。」
まぁ、初回なら着いていけばいいっしょ、次があるし。
2.ムーラン共和国陣営(青)
「おい、配置変われよ。」「嫌だね!!」「どうせそこのレアモンス独占する気だろ?」「サボりか!」「とっちめろ!」「俺はマキナだぜ!良いのか!」「知ったことか!」
ぎゃーぎゃーと、人が多いと起こる喧騒は変わり映えすることなく、俺を安心させる。
…おお、こんなに人が集まっているのはザスター討伐の時くらいかも。魔物もいる。
〈赤チームを殺害した者に一ポイント、各所にある《砦》を占領した個人に一〇〇〇〇〇〇ポイントが配当されます。〉
〈基本的に殺害されたプレイヤーのポイントは殺害した個人に移ります。〉
〈団体で殺害、もしくは占領を行なった場合、人数でポイントを割り、分配されます。〉
団体で挑めと言われてもこっちは烏合の衆だ。説明を見ながらクフリンとギルマスに着いて行く。
「…はぁ、『幻獣』成分が足りない…。」
「まぁ〜たギルマスのケモナー癖が始まったよ…。」
「戦争狂いとケモナーって、属性足しすぎでは?」
「まぁ、な。でも慣れりゃあどっちもなかなか…。」
…くだらない話をしていると、空が見えてくる。
やっとむさ苦しい自陣の《砦》から出れたようだ。
3.前線
---ザクっ、ザクっ。
ふぅ、穴掘りは楽しいなぁ…って!?
「なんで僕達は穴掘ってるんですか!?」
それにもう一〇〇メートルくらいは掘ってる気がするし…底見えないし…!
「…ん?当たり前だろ。これから敵んところに地雷仕掛けるための足掛かりにすんだから。」
「それに戦いが温まってきたら魔法で近接は袋叩きさ。始めにルートを確保しておくために必要なんだよね。」
…流石経験者。俺にはわからないほどのお知恵をお持ちだ。
「ようし、これぐらいでいいか。クフりん。【建築】と【植根】を頼むよ。」
「…あいよっと。【建築】、【植根】。」
【建築】…
『材料を用意すれば、建築を一瞬で行うことができる。』
【植根】…
『無機物、有機物に根を生やす。なお、生物に行う場合手で五秒以上触れなくてはならない。』
「…そういえば、二人のスキルビルドってどうなってるんですか?」
「ウェイン君?そういうのはマナー違反じゃあないかなぁ?」
「良いよ、クフリン。どうせ情報が流された所で対策なんて取りようもないだろう?」
「それに、一応大事なスキルは自分で閲覧ロックできるんだからね。はい、これが私のステータスだ。」
『グランデ』レベル6358
【騎乗槍】【魔物ならし】《【騎乗】》【怪力】【筋力増強】【破壊】【槍術】
因みに、ギルマスのプレイヤーネームはここで初めて知った。(プレイヤーネームも偽装できるけど。)
【破壊】…
『全てのオブジェクトへの破壊値を三〇倍する。(破壊値は筋力×〇.二五。耐久値は頑丈値×一〇。』
【騎乗】…
『騎乗している状態で振りほどかれずらくなる。体当たりした場合、騎乗しているものと騎乗されているものの攻撃力を足して二で割り、一.二倍にしたものがダメージとなる。』
…ん?この【騎乗】は…。
「この【騎乗】は継承スキルですか…。」
…"継承スキル"。特殊な条件を満たすことによる称号スキルと、【スキル秘伝書】と、スキルによるスキルの生成以外のスキルを習得する手段である。
【縮地】【騎乗】【暗器術】がこれに当たる。
前にも言ったことがあったが、NPCは一人一つスキルを継承させられるのだ。
…上に挙げたスキルを継承出来るとなれば、皆なりふり構わずそのNPCを追いかけ回すだろう。案外、【組織】がやっていることは理にかなっているのだ。
「…融通してもらって、昔私がいたギルドのギルマスにもらったのさっ!」
「へ〜…、継承スキル…ねぇ…。」
「クフりん、興味あるのかっ。」
「いや、でもな。始めのスキル選択の時に無いスキルとかは継承スキルに行ってんのかなぁって。」
「…ほぅ、興味深いっ、だが。」
「戦争が始まった!潜るぞっ!」
---ドォムッ!ダダダダダッ!
---ガィンッ!ガンッ!ブシャァッ!
「ぐわああーっ!?」「同士討ちするな!」「魔法部隊を先にやれーっ!!」「全員殺しゃあ同じだろう!?」「ハッハァーっ!!」
---矢が振り、魔法が地を削り、剣が舞う。
---俺のプレイヤー対抗戦は、ここで始まったのだ…!




