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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第三部 終末放浪編
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第3話 応酬される拳撃と剣戟


 1.《魔議会》内部


 ………現状を説明しよう、私の前には金髪の、それもよく確認したらマスクを被っている男が中国サーバーから来たと思われる二人から私を守るかのように立ち塞がっている…。



 ………まず確認すること、



 1.金髪男の目的の確認



 2.私の安全確認



 3.【契約(ギアス)】が、何故まだ続いているのかの確認。



 ………そんなことを考えていると、状況は静かに動き出す。




 クガンが問いかける。




「何処の所属の人間カ?」




 金髪の彼は道化師かのように答えた。




「………お答えできない、私は…、そうだな、通りすがりの【魔神王】とでも---」







 ---ビュオン…!

 彼の肩をファリンの槍が掠めた…!



 空気が、張り詰めていく…!


「---ならば、我らの敵ダ…!…クガン、行きマスヨ。」




「了。」





 最早絶体絶命…!生き残る綱である彼は頼りにならないかもしれないし、もしかしたら、どちらが勝っても私の敵にしかならないかも…!?



 私がそんな最悪の事態を頭の中で巡らせていると、………やっと金髪の彼が口を開いた。





「…私は、スロットという男のフレンドだ。それ以外に協力する理由は、ない。」



 無限に、紫電を纏った槍が、相対する二人の手により投げられる中───。





「------【第二段階(セカンド)】。」





 彼は、"笑みを見せた"。





 〈彼の手から青い閃光。〉


    〈形を変え、それは一つの。〉



   〈【盾】となる----。〉







「………『概念固定(ロード)』、『壊撃の盾(クリームヒルト)』!」













 ………彼のその、"青い"盾。いや、光そのものとも言ってもいい"それ"は……、私に少なくない驚きを与えていた。




 ---ブォォンッ!!





 だが、クガン達は当然それを黙って見ていたわけではない。


 遂に、風切る音を重ねてその"槍衾"としか形容不可能な投げ槍の群が飛んでくる、が。






「………無駄だ。『壊撃の盾(クリームヒルト)』に『斬撃、打撃の類は通用しない』ッ!」




 ---ガィッ…!!ガキィッ…!!



 金属が盾に擦れて微かな音を立てるが、そこから先は"衝撃が吸収されたかのように"力なく弾かれる…。


 私を庇うかの様に、彼は私の前を動かず、防ぐ事に尽力する…。


 ………ドゥッ!!



「………油断の、シスギ…ッ!?」



 先程の槍衾、その影に隠れクガンが金髪男に迫るが…!


 …盾の放つ青い光に擬態するかのように佇んでいた、"ビットのようなもの"に邪魔されて一撃を与えることが出来ない…!



「【周囲絶断(レリヒュート・バロン)】、【魔法剣:蒼穹(クラウ・ソラス)】、【悪殺し(ライニゴング)】!」


 【悪殺し(ライニゴング)】…

 『【第二段階(セカンド)】によりレベルが上昇したので、金髪男は今使用できる。』


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

魔法剣:蒼穹(クラウ・ソラス)】…

 『持っている武器の特徴を質量はそのままに増大させる。 なお、増大させた体積は魔力で補っている。本人の魔力量によって硬度が変化する。』

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 …彼は盾を地面に刺して"設置"し、クガンに向き合う。

 そこに隠れていれば、飛んでくる槍は防ぐことができるだろう。私はしゃがんでいる事にした。


 …彼の持つロングソードは体積的には二メートルの刀身へと変貌する。


 …クガンは逃げたいところだが、クガンは金髪の彼がスロットの協力者である、という事から《魔議会》を守る為に警戒を崩せない…。


 …《魔議会》を守るため…そうか、依頼で彼らは此処にいるのか。


 かくいう私は取り敢えず瀕死のスロットをなんとか探す為に《魔議会》のモンスター達へ【血飛沫の祭宴(コールオブ・ブラッド)】を発動する。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 【血飛沫の祭宴(コールオブ・ブラッド)】…

 『【魔物魔術】【吸血鬼】派生アビリティ、半径、レベル×〇.〇五メートルの範囲のプレイヤー、又はNPCの真下に自身の魔力強度×一.二のダメージと状態異常【出血】を与える杭を配置する。(このアビリティはレベル四〇〇〇から成長する事はなく、範囲内にいる敵が一〇〇体以上いる場合、その数×〇.〇一×〇.五の分ダメージ量が減少する。)』


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ズシャッ!、ズシャッ!…と、肉を貫いている嫌な感覚が私の肌に鳥肌をたてるが、今は御構い無しだ。


 ゲームであっても生きていることには変わりは無いのだから、生き汚く抵抗してやる。



 ………さてと、私はクガンと金髪男の戦場へと目を移す。


 もう守るべき奴らは死んでるぞーっ!馬鹿めーっ!


 ---カァンッ!


 ギィィ…!と、鍔迫り合い。どうやらクガンは手甲で金髪の剣に抵抗しているようだ。


 しかし、クガンが今微妙に押されている…。"ナイトケ勢"を追い詰めるとか、どんなプレイヤーだよ…。


 ガチリッ……カァンッ!!


 ………ガキッ、ガリリリリリィ…ッ!!



 ---クガンが鍔迫り合いの中、得心したように笑みを浮かべた。



「………ファリンッ!」



「何ッ!!」



 ---ドォウンッ!!



 咄嗟に対空に警戒を強めた金髪に刺さるクガンの一撃!


 さっきの叫びはブラフだった!


「阿呆ガッ!今ダ、ファリン!」



 体勢を崩し、私を守る盾からも離れた彼にあの投槍から身を守る術は…!



     「アビリティジェム。」






       「解放(リンク)!」





 ---パァンッ!


 瞬間移動、それ以外にない…!


 ………『一瞬で移動する』相手に慣れていない、という条件はまさに同じ【縮地】使いのクガンに深く当てはまる…!


 咄嗟に"ファリン"を援護する事は出来ないだろう。


 彼はファリンの背後…その真上から"必殺"を振りかぶる---!



「---【衝撃波(スパーク)×(コネクト)剛撃(バスター)】…!」



 まずは、邪魔な援護射撃から…!



「………ッ!?」


 咄嗟にファリンが取ったのは『防御』、だが、この一撃には無力なるものだ…!









「-----【<撃滅衝波(リーズ・スコック)>】!」






 ---…ズゥォォォオアッッッ!!!






 刃が飛ぶ、肥大化し、斬撃が"大きくなる"。









 ………その、巨人の一撃とも言うべき斬撃は…、いとも容易くファリンを槍ごと叩き斬った---!?



「ファリンッ!!【テレポート】ッ!!」







 ---叩き斬る、その筈だった。



 ………血飛沫は、舞わない。その場には金髪の彼だけ。


 剣を振り下ろす、その瞬間───。



 すんでのところで、【テレポート】を発動していたのだ。





「………逃げられたか、すんでの所で。」



 どうやら、【テレポート】で逃げられたらしい…。



 ………今、この場は安全だ。《魔議会》は残滅され、あとは…スロットの、安否のみ…。



「………おい、イ…。」


「………………。」


「…君、スロットに、私の事を伝えておいてくれ、彼は今ログアウトしている筈だからな。」



「---私の名は、アーサー。…では、よろしく頼むよ。」




    「アビリティジェム。」


      「解放(リンク)。」



 ---パァンッ!



 ………そう言って彼は、最後に何らかのアビリティジェムを使用して、音も無く帰っていった…。



「…あっそうだっ!【契約(ギアス)】なら場所が…!」


 ………どうやら、意外に近いところに彼はいるようだ…。アーサーさんが移動しておいてくれたのかな…?

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