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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第三部 終末放浪編
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第2話 思索交錯せし戦場



 1.《魔議会》本拠地



 魔物さーんっ、逃げてぇーーっ。




 そう思う私の気持ちをコケにするかのようにスロット(魔物殺し)は立ち塞がる魔物を悉く一撃にて粉砕していく。



 時々魔法が薙ぎ倒される肉壁の裾から顔を出すが、スロットは【闇魔術】で作ったと思われる【魔法弾】を周囲に展開して魔物プレイヤーが使う闇属性の魔法は届くことがない。



「【黒魔法:槍(ダークランス)】!「【黒魔法:吸引(ダークボール)】!」「【黒魔法:刃(ダークブレード)】!!」



 【黒魔法:(ダーク)】…。

 『闇属性の魔法スキルアビリティ。』


 【黒魔法】…。

 『【黒魔導士】職業スキル。派生スキルアビリティを覚えやすくなる。』





 とかカッコいいかけ声でカッコいいエフェクトの魔法が飛び出すのだが、スロットの周りをふよふよしている【魔法弾】に打ち消されてしまう。



 どうにも勿体ないなぁ、あんなにカッコいいのに、とか思ってしまうこの頃。



「………イトウさん。情報助かりました。」



「………私も協力すべきだと感じたからだ。」



 こう、一応上から目線で接してはいるが、実際はガクブルである。魔物プレイヤーのデスペナは本当にマイナスでしか無いのだ。


 下手すればキャラクリからやり直しとか普通にある。


 そしてその効果は…っと。



 …どうやら私は投げ飛ばされたようだ。自衛しろと言うのか、少し泣けてくる。


「…まぁ、ただでやられる気は無いんですけどね!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【吸血】【吸精】…

【吸血】はHPを分速八〇〇〇、【吸精】はMPを【吸血】と同じ速度で吸うことが出来る。それぞれレベル×メートルの範囲までこの効果を適応できる。尚、範囲は収縮出来る。

《吸血鬼》スキルアビリティ

(このスキルは範囲内に三体以上のプレイヤーかNPCが居ないと発動出来ない。)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 私の体から瘴気が溢れ出る。

 …なんとも言えない気分だ。自身から溢れ出た煙が他者の精気や体力を吸うのだから、な。


 私の瘴気の範囲内のものを限定し、【血飛沫の祭宴(コールオブ・ブラッド)】を---






「ッ…!人間ですか!?僕の反撃を受けて死なないって事は!」


「---僕の名ハ、クガン。…確認、名乗りでのPvPの成立。これより戦闘に入ル!」







 ---!丁度聞こえて来た会話に硬直する。…

 まさか、クガンは他国のプレイヤーの筈なのに…!?


(此処に居る筈なんて、無いのに…!)



 クガンは無言のまま、彼に【縮地】をもって、瞬時にスロットの背後に出る。


                ・・・

 スロットは反応できない。いや、しようがないのだ。何故なら---





 ………彼は【縮地】持ちと戦った経験が無いからだ。

 そして、今までの戦いで自分のみが【縮地】を使っていたからこそ、判断が遅れる。





 ---その隙を見逃すほど、クガンはお人好しでは無い。







「【紫電掌】×(コネクト)【魔纏】…!」








「まさかっ!?【精錬極(アビリティコネク)---」






「---【<奈落魔電>】!」





 ---壮大な衝撃音と共に、土埃が上がる。




 衝撃音は数秒経って、去る。



 …………---『バジジジジ』。




 …肉が焼かれる音。共に、払われる土埃。





 ---クガンの右腕に纏われる、その『紫光』はスロットの胸を《貫通》し…。



 ---………ブシャアッ!



 ………………たやすく、引き抜かれた。






「あ……がっ…!?ぐはぁッ…!」



 ………彼の腹から贓物とともに血飛沫が吹き出す。




 そして、それは、4000cc程の血を流し続けた後………急に止まった。





 ………私が彼の『死』をようやく受け入れられたのはこのタイミング。



 だが、『襲撃者』の私を、敵は放っておく筈はない。






 ---今、思えば、此処で逃げる選択肢が出なかったのは、当然だった。



 ……例え、ゲームの世界であっても…。

 



 目の前で死なれるのは、後味が悪すぎる!







「【テレポート】!」


「ナッ、しまっタ…!!」



 私は彼の拠点へと【テレポート】する。

 スロットは…反応がないが、【契約(ギアス)】が未だ続いていると言うことは…!



「…頼んダ。『ファリン』。」



 ---ヒュッ!……ドスゥッ!



 クガンがそう呟いた途端に私の体は衝撃と下腹部への鈍い痛み。



 ---【稲妻投げ】



 私の体は、飛んできた槍により、五メートル程吹き飛ばされた…!





「………クガン。気を抜きすぎデス。私に感謝しなサイ。」




「悪イ、次ハ"薙刀"デ---」




「---却下しマス。クガン。貴方の本気ヲ『見られては』ナラナイ、我らが君主からノ命令デショウ。」




「………了解、シタ。」



 ………彼らがこんな呑気に会話できているのは当然。何故なら---


 ……私の体の『魔石』を寸分狂わず彼女が貫いていたからだ。


「さて、帰りますヨ、クガン…ッ!?」



 だが、諦めない。


 私は、とびきりの【魔法弾】を作り…。


 ---バスゥッ!


 思い切り、放った。


「…チッ。最後の悪足掻きと、言う訳カ…。」





 ………クガンは極大の【魔法弾】からファリンを庇い、右腕を損傷。





「そうだ…。イタチの最後っ屁、と言うやつだな…!」




 だが、私は元々戦闘不能だったのを無理に動かしたお陰でさらに状態は悪くなった。


 …まぁ、生還はもとより望まない所だ。このままハデに散って…!?








「---待つんだ、私が相手になろう。」




 突然の【闇魔術】による治癒、それと共に…。


 …仮面を被った"金髪"の男が、私を守るように立ち塞がっていた…。

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