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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第三部 終末放浪編
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終末放浪編 プロローグ





 1.魔王城『イトウ』



 ---全く、今日は厄日だ。




「-----【殿の心得】、【異形狩りの妄執(ベルセルクル)】、【悪魔殺し(ヴァプティズム)】、【魔法剣:煌撃(アルスター)】!!」




「あっ、『魔物殺し』だあああ!!」



 "彼"は、そう叫んだ下位悪魔(インプ)を叩き斬り、超重量と長刀身が売りの剣を振り抜いて、その勢いのまま城の中で剣戟とも言えない虐殺を繰り広げる。



「くそっ、どうなってるんだアイツは!【闇魔術】をさっさと発動させろ!!」


「無理です!闇属性の【魔法弾】の囲いが厚すぎて打っても対消滅します!!」


「だったら近接職だ!アイツの防御も我々と同じで紙の筈だ!」


「アイツの振り回す剣の範囲が広過ぎて無駄っす。死にます。ただのスコアっす。」




「………くそっ。ならば、【大魔術】だ!【連結方陣】を作るまでの時間を作れ!!」




 ---『魔物殺し』は剣を振り回す、


 上、下、地上。リーチが届く範囲なら一撃で悪魔は砕けていく。




 ……突然、剣を納めて居合の形を作る。



 "彼"は目を見開いた…!



「……………【破却(ブレイク)】ッ!!」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


破却(ブレイク)】………

『自身の発動中のスキルを戦闘中、使用不可にする事により、破却したスキルの特性を引き継いだ一撃を放つ。スキルを破却した数×二.〇倍攻撃力が上昇する。(このスキルは五個以上のスキルを破却出来ず、このスキルを使った一撃を使用した後は、破却したスキルと【破却(ブレイク)】は使用できない。)』


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「----【衝撃波(スパーク)】!!」




 ……思い切り振り抜かれたその剣から出る【衝撃波】は横に広がり、広範囲に敵を、文字通り"蒸発"させる。



「………ッ!総員!【周囲(レリフュート)断絶(バロン)】展---」



 そう、司令塔の悪魔が言うより早くに"災害"は広がった。





 2.魔王城『イトウ』最深部




 ---思えば、ここで引き下がっておけば良かったのだろう。







 ツカツカ、と、悪魔の返り血で汚れた道を"彼"は歩く。



 その様は死神、纏う白銀の装束も、赤と黒に染められていた。




「………あなたが、この『魔王城』の主人。」



    「『イトウ』で、合ってますね?」



 "黒い髪"の彼はその"黄金の瞳"を輝かせて言う。



 ………最早、逃げる事は叶わない。【周囲(レリフュート)断絶(バロン)】の術者によって、ロックがかけられている。




「………いかにも、この私が『イトウ』だ。」



「私を殺しても魔王城は止まらない、だから考え直せ、手はまだ取り合える---」




 私は、必死に生き筋を探す。『魔物殺し』は今まで何万回も魔物を鏖殺してきたプレイヤーだ。目的は『魔王城』の停止だと推測する。



「………?あぁ、そう言う事ですか。そうですね……。確かに、あなたの言う通りだ、なら。」


 ------取引をしましょう?



 私は、その言葉に傾くしかなかった。


「簡単です。『魔王城』の停止の仕方を教えてください。そうすれば、あなたを見逃してあげてもいいと思っています。」



「………………」


 答えられる訳がない。


 そもそも私だって偶然ポップした『魔王城』の周囲で一番強かったから城主に成れたわけだし、配下は皆、この城の"機能"を利用したくて集まっていただけだ。



「………駄目ですか。分からないのなら、分からないと仰ってください。」




     「分かりませんから---」



         ………よし!


 私は意を決して、口を開いた。




      「【契約(ギアス)】!!」





        「なっ------」





 ………彼の目は、驚いている。

 まさか、自身を従者(サーヴァント)として【契約(ギアス)】を発動するとは思わなかっただろうから。



「………ッ!!」



 彼の手は剣を抜こうとしている…!?


「こ、殺そうったって、無駄だぞ。わ、私の【契約(ギアス)】は成立している!死んだって、付いていくんだからな!」





 ………【契約(ギアス)】は『主人(マスター)従者(サーヴァント)が無くして成立しない。主人(マスター)との間に従者(サーヴァント)は一つまで制約をつけれる。その代わり、主人(マスター)の命令従わないとペナルティが出る。』という効果を持つ。



「『私を殺さない事』、が制約だッ!や、破ったら、お前のスキルを好きに出来るんだからなッ!!」




 …………嘘だ。だが、【契約(ギアス)】についてwikiには詳しくは載ってないし、バレなきゃ問題ない。



「………ハァ、そうですか。多少は想定外でしたが、協力なさってくれるのなら幸いですね…!」



「………………。」



 ………そう言って彼は、ムリヤリな笑みを浮かべた。



「………やれやれ、はぁ…、………こんな所で立ち話もなんですし、僕の拠点へ連れて行きましょう。」





   「………イトウさん、行きますよ。」







    「…ところで、『魔物殺し』…。」







      「お前の名前は………?」






      「………スロット。」







    「スロットと、呼んでください。」














 ---こうして、私は、傍迷惑な彼の"運命"に引き込まれてしまっていたのである。

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