表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第ニ部 ギルド浪漫編
25/117

第5話 『赤い月』を打倒せよ!

 


 1.ビフロスト村-村長の家





 ……ついさっき【サイレント】の効果が切れた。


 壁にへばりついている黒い魔物を視認した俺はゆっくりと剣を抜く。



「わわっ、違うんです!私アンナです!」


「…は?」


 俺は呆然とした。だがこの情報が確かだとするのならもうこの村の人間が黒い魔物になっているのは事実だ。



「なんか…私は、みんながいつも寝る時間に私も寝たんです。でも、今日はいつも通りの怖い夢じゃなくてハッキリ自分が化け物にでもなったかのような感覚だったんです。」



「これってなんなのか、旅人さんは知ってませんか?」



「…最近起こっているらしい失踪事件とやらの原因だと思っている。」



「ええっ!?」



「明日、君が僕と話していたことを覚えていたらまた広場で会おう。」



「僕だって分からないことだらけだ」



「わっ、わかりました…!もしも、覚えていたら行きます!」





 2.ビフロスト村-広場


 アンナだ。彼女は俺の姿を視認するやいなや声をかけてきた。…俺は腹を決めた。



「旅人さん!私、覚えてますよ!」



「…!そうか。アンナ、僕と一緒についてきてほしい場所がある。」



「えっ、あっ、はい…。」







 3.ビフロスト村-村長の家



 俺はこの村の住民を皆殺しに出来る。

 だが、しない。

 俺は村長に声をかける。



「旅人さん。どうしたのだ、このような所に。」



 この村長は自分の娘の姿がないことになんの感情も抱かないのだろう。



 一度固めた敵対心も風化してしまっている。



「ビフロスト、という言葉を知っていますか?」



 ビフロスト村は何らかの地名がそのまま名前に入ったと俺は思っている。



 ………反応がなければ手一杯だ。



「⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️、か、なら大丈夫か。

 ………ビフロストとは、わしらの役目みたいなものじゃ。」



 アンナを連れてきたのが功をそうしたらしい。今まで何度か問いたのだが、無視されていた質問に答え始めた。あと、隠れている文字はイベント分岐条件がわかってしまうので運営が隠している。



「ワシらが役目を果たすためには赤き月に供え物を送る必要がある。それは、特別な資質を持つ黒き獣…が必要なんじゃ。」




「お主を今まで試しておった。幻想の存在たるワシらとて、送り出すものは選びたい。」



「………赤き月は特別な資質を持つものを作るために、ワシらを作り続け、ワシらを維持している。」



「お主もこの村の夜を見たじゃろう。」



「…特別な資質を持たぬワシらは殺し合い、赤き月の中に帰るのじゃ。」




「さぁ。時はきた。今日の夜にお主が供え物を捧げ、ワシらは悲願を果たすことが出来る。」




 4.ビフロスト村-広場





 ---空では大量の"黒き獣"が戦い、地上には羽をもがれた死に損ないが倒れ伏す。




 ………俺は隣にいるアンナの肩に手をかけた。




「………赤い月に行きます。手を離さないでください!」








 空は静寂だ。




 俺たちの進む羽音しか音はない。





 赤い月がだんだんと大きくなるに連れて、俺の身体は強い光に照らされる。





 この時俺は、やっと、これが、本当に自分がやりたかった戦いだと気づいた。



 ---だれかを、守る為の戦い。









 そして、俺達は赤い月に降りた。






 5.赤い月-表層部分



 俺の身体が赤い月に触れると、触れた部分から身体が吸い込まれる。



 アンナはもがいているようだが、

 俺はとぷん、と赤い月の中に入った。



 6.赤い月-コア部分







 ………俺は気がつくと倒れていることに気がついた。



 急いで立ち上がる。


「アンナ!」


「うっ…ううん………。」



 良かった、どうやら気絶しているだけのようだ。


 周囲を俺は見渡す。


 ………この空間は俺たちと足場の台座と、中央にある赤い魔石で構成されている。


 俺は赤い魔石に近づいた。

 女の声が響く




      《…供え物を捧げなさい》




         《黒き獣を》




       《我が子を望みます》




 っ…!させるか!


 俺は【周囲絶断(レリヒュート・バロン)】を使って魔石から出た【魔力風(エーテル)】から彼女を守る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


周囲絶断(レリフュート・バロン)】…


 『自分の周囲にレベル×〇.〇五メートルの球状の結界を張る。自分のHP×〇.五の硬度を持つ。(このスキルはレベル一〇〇〇〇以上から成長することはない。)』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







     《守り人よ、感謝します。》






       《贄を捧げなさい》




     《この赤い月に捧げるのです》







 BOSS


 『赤い月のコア』











     〈その赤く光り続ける魔石は〉






 〈形を変え、巨大な【執行者(ヴァルキリー)】と化した〉








   〈巨大な"正義"が貴方へと襲いかかる〉













   《ここで貴方の行いを罰しましょう》

















「………【異形狩りの妄執(ベルセルクル)】!」



 ………っ!使えない。


 アンナは正確には人間ではないからか!




 …………【異形狩りの妄執(ベルセルクル)】は一人でも人族以外のMOBを見逃すと見逃したMOBが消滅するまでロスト扱いになるスキルだ。なので今、アンナが死ななければ発動することはない。



 ---ヒュオッ…!



 俺は『赤い月』の持つハルバードを避けて、超重量と長刀身が売りの剣を抜く。




 ………ヒットアンドアウェイだ。


 俺は『赤い月』を切りつけては移動する作戦に出る。


 《我が子よ、私の糧となるのです。》


 愚策だった。身動きできないアンナが狙われてしまう。



「っ…!【周囲絶断(レリフュート・バロン)】!」



 ---ガキッガキッ…!


 なんとか『赤い月』の攻撃を跳ね返しながら俺は考える。



 ………俺は【不滅の魔神王(ディ・イモータル)】のスキルがあるから無事でいられる。だが、アンナが狙われている以上、俺は庇わなくてはならない。




 その上、相手は硬い。俺が二回ほどぶっ叩いて1F削れないほどだ。



 --------どうする。



      「旅人…さん…?」



 振り返らずにその声に答えた。



       「アンナっ!」



 ---…バリンッ!!



 【周囲絶断(レリフュート・バロン)】が破られる。


 俺はますます余裕がなくなった…!



 【魔法弾】を使って牽制したいが、相手は【魔石】だ。




 【魔石】には魔力をまとった攻撃を食らうたびに大幅に耐性がつき、耐性が100以上になった属性攻撃は体力を回復してしまう。




【魔神王】の時はあまり長期戦にならなくて済んだから【魔法剣:光撃(クルー・ジーン)】を使うことができたが、守りながらとなると、スキルを使用した高火力攻撃を使うことは許されない。







 硬直している間にアンナが倒されてしまう………!





 --------どうする!




     「ッぐあぁっ!」


 俺はハルバードの一太刀をくらってしまった。


 ------吹き飛ばされ、壁に激突する。







「旅人さんッ!」




 ………なるほどな、『赤い月』からアンナだけを逃すのは無理ってことか。このフィールドは逃げれないようになってる。


 壁にぶつかるのは、すり抜けられないのは、そう言うことだ。


 …今は這いつくばっている時間も惜しい。





      「アビリティジェム」






         「解放(リンク)ッ!」







 【縮地】の効果だ。




 俺は一瞬でアンナの前に立つと、両の剣で『赤い月』のハルバードをいなし続ける。


 ---ガンッ!ガキッ!


「もう…!もういいですっ!」


 ---ギギギギィ…!…ガァンッ!!


「私を守るのをやめて戦ってください!」




 ---ガキンッ…!…ガァァァァンッ!!



 ………いやだ。








「旅人さん…限界なんですよねッ!それに…。」




 ---…キィンッ!




  「あなた一人だけならどうとでも…!」




















   「………確かに、それはそうだ。」






「俺が君を守るのをやめたら、俺は勝てる。」













「わかってるのなら…!お願いします!」




「私、旅人さんにたくさん迷惑をかけましたた………。


 私はもう、これ以上、迷惑をかけたくないっ!!」





























       ─────違うね。













       「………えっ?」









      ────【第二段階(セカンド)】!








     「俺が君を守りたいから。」






        「…だから。」








   「君は、俺がどうなっても。守る!」

















 《俺の身体の中の【不滅の魔神王(ディ・イモータル)】が一つの形を形作る。》


 









 《巨大な盾、背後を守り、看過することはない》









 《【守る力(壊撃の盾)】を、ここに得た。》




    






 ガキッッィイイィイインン!!








 ・・・・・・・

 盾に触れるだけで『赤い月』のハルバードが高く飛んで行った。



      ………斬りかかる!


 ---ヒュッ



 だが、相手はすばしこくこの空間を飛び回る。









       「………無駄だ!」


 【魔法弾】とともに『壊撃の盾(クリームヒルト)』の先端から【魂ビット】を六機出す。




 【魂ビット】、俺の魂装が形となり、現れた遠距離武器。



 【魂ビット】は相手を追尾し、二機一組で線をつないで結界を作り、相手を逃げさせない。






 ………俺はこれを【攻性結界(カウンターシールド)】、と名付けた。










 この青い光盾は、俺の魂そのものと言っても過言ではない。レベルが五〇〇〇上昇して、それは更に強固になる…!








 根底理念は、危害を与える敵を近づかせず鏖殺する事!





 ---ドドドドドッ!!


 魔石の表面が砕け散る。



        《っ!バカな!》




 ---そのまま砲撃は止まらず、奴の身体を食い破る!





      《この………わ、たしが…》



     《が、ああ、Aa、aaaあaa…!?》



 ………正義を自称するその【執行者(ヴァルキリー)】は、周囲にルビーを撒き散らしながら砕け散った…!








   〈…『赤い月』だったものが破壊される。〉







   〈煌びやかな色の魔石が周辺に飛び散る〉









      〈………それと同時に、〉







 〈『赤い月』の崩壊によりあなた達は遥か上空に投げ出された〉







        落ちる!


    ………!アンナの羽が消えていた。




    「なーんーでーでーすーかー!!!」



       空中でジタバタしている






        「アンナ!」






      「アビリティジェム…!」




         「解放(リンク)!」







 【浮遊】の効果だ。





 ………俺とアンナはゆっくり降下していく。








 そして





 今ここに、村をかたどる"幻"は崩壊した。






 ………アンナの姿も薄れていく。






「あっ…。旅人…さん…。」



「あ、あのっ!ありがとうございました!」




「私、あなたのおかげで色々なことを知れましたし、あなたのおかげで…。」




「あなたの…おかげで…っ!」





「あの…。名前を、教えてもらえますか?」




 ………アーサーだ。




「…。アーサーさん!ありがとうございました!いつか、また、恩返しさせてください!」



「っ…!さようならっ…!」





 風と共に、




 ---アンナの身体は消えた。












 ストーリークエストクリア!


『幻想ハシゴのビフロスト』

 報酬

【虹の橋】×一










 ………村のあった跡地から、虹の橋が生える。






 その橋を登る。




『あと…。ありがとう…ございました…。』




 …?何か風に紛れたようだ。











 ………………橋を登りきった先にて、



  幻想的な空中大陸を見下ろしていた。





 ストーリークエスト

『英雄大陸アスガルド』

 報酬

【魔道書】(ランクアップ)×一



 受けますか?


 -------YES/NO--------








 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


周囲絶断(レリフュート・バロン)】…


 『自分の周囲にレベル×〇.〇五メートルの球状の結界を張る。自分のHP×〇.五の硬度を持つ。(このスキルはレベル一〇〇〇〇以上から成長することはない。)』


 【盾術】【結界】【魔力操作】などからの派生アビリティ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ