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【エター】新興VRMMO記【ビクトリア】  作者: 松田勝平
第一部 メインストーリー編
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第5話 組織の目的

 


 1.ザスターのギルド会議室






「…彼を取り逃がしたのかね。何をやっているのだ?君たちは。」






 枢機卿が冷たく言った。

 枢機卿の名はザスター。我らが盟主であられる。






「魔神王の魂は、裏のメインストーリーを確定するために必要不可欠なのだよ。わかっているね?」






 はっ!盟主殿。






「米国のサーバーも表に落ちた…。この日本も時間の問題だ。我々は裏のメインストーリーを確立せねばならない。」





 話している内容とはかけ離れているほど盟主殿は落ち着いていた。



 



「魔物プレイヤーが半数以上を占め、魔王城が三つ以上建設されている。全マップに一つずつある邪神像も起動した。あとは【魔神王の魂】さえあれば…。」






【魔神王の魂】は現段階では本来なら手に入れることができない。






 メインストーリーを進めることによる【勇者】の出現が必要不可欠だからだ。






「…君たちには彼の監視を任せていた。だがここまでだ。殺せ。必ずね。」






 2.教会


 ---ドバンッ!ドババッ!!



【魔法弾】が飛び交う、今のところどちらも手札を切ろうとしない。






 ミラの方には余裕がある。最悪、教会から外に出させないだけで勝ちだからだ。







 対するアーサーはというと…





(属性変質は必殺だから今は打ち込めない…切り込むか?)





 焦っていた。格上との戦闘経験こそあれど、アーサーは勝負を急いでいた。




 それは、『相手は組織で動いている』という確信からくる焦りであった。




 このゲームは戦闘中に超広域チャットは使えない。



 だが、チャットが伝わらないことが逆にメッセージともなるため、



 長時間チャットが無ければオブジェクト破壊部隊がやってきて、教会と彼は【魔法弾】の嵐を受けてしまう。







 狭い教会内に大量の【魔法弾】がばら撒かれたら彼でも瀕死では済まないだろう。




「…レベル一三五でよく粘りますね。」



 ---ズオッ…。




 彼女は鎌を振り上げる、【魔法弾】を打つ姿勢ではない。



 ---ここだ!



 アーサーが突っ込んだ。相手が何かしらの攻撃をすると断じたからだ。





 何か違うことをしようとすると何かしらの隙が生まれるのが人間というもの、ならばその隙をつくのみ!





 この判断自体は間違ったものではない。






 …ただその隙は、ミラが意図的に作ったものであったのだが。



 彼女のスキルには【暗器術】がある。


 【暗器術】…

 『袖の下に隠せる、もしくは一五センチメートル以下、その2つの条件を持っている物に対して、瞬間的な速度を付与する事ができる。速度は筋力一〇〇に比例して秒速一メートルづつ増える。(このスキルが付与する速度は三〇〇メートル以上にはならない。)』



 彼女の袖に携帯してある棘付きの鎖、それが射出されれば、命中した相手に絶大な質量とダメージを確実に与えるだろう。









 ((鎌の射程内に入った…))





 二人は同じことを考える。



 ---ズォァッ!!



 カウンターの鎌が右から迫ってきた

 




 くぐり抜けて接近するのは簡単だ、だがそれをしてしまうと相手の懐に誘い込まれたことになる。





 それは何故かというと、鎌使いの武器はリーチの長さなのだが、それは超近距離では弱点にもなりうる。





 そんなことを奴が想定していないはずはない!



 ---スゥッ…!


 アーサーはかがんだ。鎌は彼の上をすり抜ける。




 ---ニィ…!



 ミラの笑みが深くなった。この距離まで引きつけられれば十分!





 ---ギャラララララララララッ!!



 彼女のフリーになっている左手のカソックの袖から鎖が射出される。



 (………!)



 アーサーとしてはその時点のかがんだ体制から避けるのは無理があった。






 かと言って受け止めるには相手の攻撃力が未知数だ。


 ナギトの時の様に盾の上から圧殺されるかもしれない。





 ならば!








       「アビリティジェム」








         「解放(リンク)






 ---パァンッ!



【縮地】の効果だ、相手の背後に出る。





 ここで逃げることも出来たが、大前提として、ここに自分がいるとバレてはいけない、そして戦闘状態を解除したら相手はチャットが使えるようになる。



 ザスターの配下なのだ、逃げた間抜けの位置をしっかりと記録するだろう。




 ---なので確実にここで殺す。





 ミラは戸惑っている様に見える。それはそうだろう、今まで、【縮地】のアビリティジェムなんて存在しなかったのだから。






 ここで不意を取られてしまうのもまた当然。

 そして最後に切り札らしき鎖射出を使ってしまったのも大きい。




 ---…ズバシャッッ!!



 ……ミラは無抵抗に俺に切り裂かれた。



 振り返らず、一目散に地表の出口を目指す、少なくとも死に際に声をかけている暇はない。





 体が粒子状になって消えていくので死体処理には困らないが、彼女が生き返れば情報が伝わってしまうため、なるべく早く座標を移動しなくてはならないのだ。





 ………俺は走って階段を上る、胸に奴への報復心を抱えながら。



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