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プロローグ: 神も仏もない

 初投稿です。

 至らぬ点も多々あるかと思いますが精一杯書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。

 投稿は2日に一回のペースであげようと思っています。



「退屈だ」

 俺の思考はその一言に埋め尽くされている。

 退屈な授業、面倒な人間関係、全てを放っぽり出して引きこもっていたい思いながら俺は電車を待っていた。

 その時、--ドンッ--

 いきなり背中を押された。

「え?」

 突然自分の身に起こった事を理解できないまま俺は悟った。

 あぁこれ死んだな‥‥‥と。



 気がつくと目の前には小太りなおっさんがいた。

 まるでホームレスみたいな格好をしているがこの人は一体誰なんだろう。

「あの、すみません。 あなたは誰なんですか?」

「すまん」

 え?なに、この人いきなり謝ってきたんだけど。

「本当にすまん!」

「あ、あの、とにかくこの状況を説明してもらえませんか?俺、さっき電車に轢かれた気がするんですけど」

「そうだな、まず私は神だ」

 ん?聞き間違えたかな?

「私は神で、お前は今天界にいる」

「いやあなたはどうみてもホームレス……」

「失礼な、わしは全界の神じゃ」

 絶句した。

 こいつが本当に神様で目の前にいるってことは俺は……

「俺、俺は本当にさっき轢かれて死んだんですか?」

「すまん、寿命操作ミスっちゃった」

 ミスっちゃった、じゃねーよ!

 後ろに"てへぺろ☆(・ω<)"がついても可笑しくないような言動に怒りを覚えつつ、

「じゃあ俺、この後どうなるんですか?」

 とりあえず一番気になる事について聞いてみた。

 神様の不手際で死んだとなればそのまま天国行きということはないはずだ。なぜなら俺のせいではないのだから。

 丁度いい、現実世界に飽き飽きしていたことだ。

 女の子しかいない世界にでも転生させてもらって一生ハーレム生活をさせてもらおう。

「そうだなぁ、悪いが元の世界で生き返ることはできんのじゃ。お前さんには違う世界に転生して生活してもらうことになる」

「じゃ、じゃあハーレム生活が……」

 勝った……完全に勝ち組だ……俺は弱冠十七歳にして勝ち組となったのだ……

「いや、転生先はわしにも分からんのじゃ。あと言い忘れてたが転生後にお前の記憶は引き継がれないんじゃ」

 は……引き継がれないって……

「本当に申し訳ないがそろそろ時間じゃ」

「いや、ちょ、ちょっとまてっ!」

 急すぎる展開と到底受け入れられないカミングアウトを傍らに俺の体は白い光に包み込まれ始めた。

「嫌だっ!! 俺はハーレム生活を送りたいんだぁあああ!!」

「本当にすまんな」

 視界が真っ白に埋め尽くされるのと同時に俺の意識は消失した。



------------------------



「おい! 泣かないぞ!!」

「旦那様、息はしておられます。落ち着いてください!」

「あなたぁぁぁ……」

 ん?

 気がつくと聞こえるのは怒声と泣き声だった。

 うっすらと見えるのは月明かりと目の前にいる白衣を着た男、横にいるのは誰だろう……

「おい!はやく回復魔術を使え!」

「わ、分かりました」

 -空晶の護り手よ、癒しの光よ-

 そう、聞こえると俺の体が急に発光し始めた、

なんか体が軽くなったな、と感じると同時に理解した。

 俺はさっき"生まれた"のだ。

 しかしおかしいな、さっきの神様によると記憶は消されて転生するはずなんだけど、なぜか俺にはさっきまでに起きたことを全部覚えていた。

 とにかく、いまは目の前の問題を片付けよう。

 この状況から推測するにどうやら俺は産声を上げないために白衣の男の右にいる男、多分父親に死んだと思われているようだ。

 つまり俺が泣き声をあげないと……

 覚悟を決めた。

「あ、あぁああああん、あぁああん」

 くそっ、恥ずかしいぞこれ。

「産声をあげましたぞ!」

「メアリー!赤ちゃんが!」

「やったわぁあああなたぁあ……」

 --なんとか誤魔化せたか。

 しかし奇妙な言葉を聞いた、回復魔術、っていうのは言葉通りの意味なのか?

 もしそうであれば俺はつまり、魔術世界に転生してきたってことか。

 じゃあ俺でも手から炎を出したり、できるってことかなぁ。

そうこう考えてるうちに毛布に包まれた俺は母親の腕に抱かれながらいつのまにか眠ってしまっていた。



------------------------


 目を覚ますとまるで台風が通った後かのような穴が空いた天井が目に入った。

 隙間からは蒼い空と雲に隠れた太陽が光だけを覗かせている。

 

 どうやら俺は寝ていたらしい。

 とりあえず起きる、が、体が思うように動かない。

「あぁ、俺赤ちゃんだったっけ……」

と思わず口にしてハッと気づく、

 ヤバい、聞かれたらマズイ。

 急いで周りを見渡してみるがどうやら父親と母親は別の部屋にいるらしい。

 危なかった。

 何が危ないのかと問われると答え辛いが仮にも此処は異世界でなぜか両親たちが話していたのは日本語だった、その日本語を生後一日にして巧みに操る赤ちゃんなんて存在したら悪魔の子として火刑に処されても不思議ではない。

 これから当分の間は喋れないな……

 しかし落ち込んじゃいられない、赤ん坊の頃にその人の才能は決まるっていうしな、とりあえず魔術、魔術だ。

 よっしゃ、手始めに回復魔術だ、今なら両親も別の部屋にいる。

 たしか呪文は……そうだ、

-空晶の護り手よ、癒しの光よ-


「くーしょーのまもりてよ、いやしのひかりよ!」


……………


 とりあえず一旦俺は諦めた。



----------------------

神様「やっべ、記憶消し忘れちゃったよ……」


 読んでくださり有難うございます。

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